2023年度報告


 ベルマークを集めて自分の学校の備品を充実させると同時に、ハンディのある学校への支援の輪を広げることができる。これがベルマーク運動です。2023年度もたくさんのマークが寄せられ、多様な商品が「お買いもの」として購入されました。これをもとに、ベルマーク財団では様々な援助事業を実施することができました。財団の2023年度の活動を以下に報告します。

■参加団体は約2万6,000

 ベルマーク運動には現在、約2万6,000の学校(団体)が参加しています。1960年に参加校数2,263校で始まった運動ですが、わずか5年後には1万校を突破。その後も、ベルマークの理念に賛同した学校によって、全国に運動は広がり続け、1970年代になると2万校を超えました。

 学校別の参加率は、小学校が7割、中学校が6割です。幼稚園・保育園、小・中学校、高等学校のほかに、2006年4月からは大学や公民館などの生涯学習施設にも参加資格を拡大し、より多くの方が運動に関わることができるようになりました。

 ※財団のマークに関する締め日は毎月20日です。締め日後、協賛会社への請求等を経て、翌月に活動実績が確定します。そのため、年度締めは2月20日と定めています。2023年度は、2023年2月21日から2024年2月20日となります。

■子どもたちが主体となって

 ベルマークの魅力のひとつが、子どもにも扱いやすいことです。マークを切り取って集めるという流れは子どもにとっても理解しやすく、また現金と異なり、学校でも取り扱いやすいという性質をもっています。子どもたちの社会貢献活動への興味・関心を高めるきっかけになったという声も財団に届いています。中学生や高校生になると、生徒だけで活動に取り組む学校も多くあります。

保護者と子どもの「コラボ活動」/川崎市立下小田中小が300万点達成

■協賛会社

 自社の商品にベルマークを付けて、運動の根幹を支えているのが「協賛会社」です。参加団体はマーク1点につき1円のベルマーク預金を貯めることができますが、その1円は協賛会社に支払っていただいています。2023年度は46の協賛会社が食品や飲料品、学用品、日用品、衣料品、保険証券などのさまざまな商品にベルマークを付けてくれました。どの商品も、消費者に広く親しまれている商品ばかりです。

 ベルマーク運動と、自社製品のリサイクルを連動させている協賛会社もあります。飲み終わった飲料の紙パック容器や、使い終わったプリンターのインク・トナーカートリッジをメーカーの回収センターに送ると、ベルマーク点数証明書が参加団体のもとに返送されます。重量や個数によって、点数が確定するしくみです。その証明書を、通常のマークと同じように財団に送ると、ベルマーク預金に加算されます。回収センターに届いた紙パック容器やカートリッジは資源としてリサイクルされ、環境保全に役立っています。


◎キャンペーン

 自社商品にベルマークが付いていることを活用して、キャンペーンを実施してくださる協賛会社もあります。オリジナルのベルマークをデザインしたり、キャラクターを使ったコンテストを実施したりと、楽しくマークを集められる工夫に満ちた企画でした。

第49回ショウワノートキャンペーン表彰式/東京・台東区立松葉小

マミーマートと協賛会社7社(キリンビバレッジ、キユーピー、日清食品、湖池屋、ブルボン、森永製菓、明治)が「ベル探し」キャンペーン

スミフルジャパンと財団がインスタグラムで「おえかきコンテスト」開催

湖池屋SDGs劇場「サスとテナ」を放映、オリジナルデザインのベルマークも

クツワの文具が学びをサポート/新デザインのベルマークも登場

◎イベント

協賛会社が展示会などのイベントに出展した際には、その様子を財団ホームページでもご紹介させていただくことがあります。各社の様々な取り組みについて、ベルマーク運動の参加団体の皆さんにも知っていただきたいからです。

環境に配慮した取り組みを紹介/エコプロ2023に協賛会社が出展

◎マーク収集に取り組む協賛会社も

 ベルマークを集めて、寄贈する取り組みを続けている協賛会社もあります。社内だけでなく、グループ会社やお客さまに協力を呼びかける例も多く、運動の認知度のさらなる向上にもつながっています。

セイコーエプソンが11万6630点を財団に寄贈

ヴァンフォーレ甲府などがマーク寄贈、収集開始から10年(あいおいニッセイ同和損保)

ニチレイが6年連続財団にマークを寄贈

タカラ・エムシーとキリンビバレッジ、オイスカ高に3度目の寄贈

ジブラルタ生命保険が100万点収集、財団に寄贈

◎財団から感謝状贈呈

 長年にわたって運動に協賛してくださる企業が多く、そのご貢献に対して感謝状をお贈りしています。

石井食品が市場調査費1億円を突破

■財団への「寄贈マーク」に関心集まる

 運動に参加していない団体や個人でも、マークを集めて財団に送れば「寄贈マーク」として支援に活用することができます。寄贈マークは以前から受け付けていましたが、コロナ禍以降、到着件数が大幅に増えました。その要因は「在宅のスキマ時間を活用してできるボランティア活動」として改めてベルマークが着目されたからではないかと考えています。

岡山県玉野市の小学生ボランティア「ちょボラ隊」がベルマークを寄贈

海外の子どもたちの力になりたい/成田市立吾妻小「ベテラン募金会社」が寄贈

株式会社ナックが15年連続でマークを寄贈

■協力会社

 参加団体は、貯めたベルマーク預金で「協力会社」から備品・教材を購入します。2023年度も13の協力会社が運動を支えてくれました。協力会社が取り扱う商品は、体育用品、楽器、文房具、書籍、時計など多岐にわたり、ほぼすべての学用品を網羅しているといっても過言ではありません。商品を掲載した「お買いものガイド」は年2回、4月と10月に発行し、参加団体に送付しています。お買いもの額の1割は、自動的にベルマーク財団に戻され、さまざまな支援活動に活用されます。


創立40周年の記念にバスケットゴールを/東京・町田市立小山田南小

◎特別授業を提供する「教育応援隊」

 ベルマーク預金は、備品・教材の購入以外にも使い道があります。それが、子どもたちに特別な体験を提供するソフト事業「教育応援隊」です。2023年度も4つのプログラムを実施しました。

オーサー・ビジット

 本の著者(オーサー)が学校を訪問(ビジット)し、特別授業をする朝日新聞社との共催事業です。2023年度も、絵本作家の宮西達也さんと、教育評論家の尾木直樹さんが講師を務めました。

宮西達也さんは大阪が一番大好き!?/太子町立山田小でオーサー・ビジット

自分のこと、好きですか?/高岡市立横田小で尾木ママがオーサー・ビジット

ミズノ・走り方教室

 協力会社のミズノから派遣されたコーチが、子どもたちに走り方のコツを伝授してくれます。実技指導が中心で、実際に体を動かしながら楽しく学ぶことができる教室です。2023年度は10校で開催しました。

速く、かっこよく、楽しく/東京・第四砂町小でミズノ・走り方教室

絵本を届ける運動

 アジアの国々に教育支援を行っているNGO、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会の活動です。ベルマーク財団は、この運動を2000年から支援しています。カンボジアやラオス、ミャンマー(ビルマ)難民キャンプなどの子どもたちに絵本を贈る活動で、日本語の絵本に、現地語の翻訳シールを貼って完成させます。中学校・高等学校を対象としており、2023年度は計20校が参加しました。

長野・東御市立東部中が「絵本を届ける運動」に参加

防災科学教室

 国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)とベルマーク財団が共催しています。災害の起こる仕組みや備える方法などを学べる教室です。講師は、防災科研の研究者が務めます。2023年度は2校で開催しました。

災害時の自分の行動を考えよう/八王子盲学校で防災科学教室

なぜ?で学ぶ土砂崩れのキケン/奈良・辰市小で防災科学教室

※上記以外の実施校

ミズノ・走り方教室

 横浜市立東山田小(神奈川県)/大阪市立関目東小(大阪府)/横浜市立鴨居小(神奈川県)/奈良市立朱雀小(奈良県)/太子町立山田小(大阪府)/長久手市立西小(愛知県)/所沢市立北秋津小(埼玉県)/奈良市立富雄北小(奈良県)/足立区立寺地小(東京都)

絵本を届ける運動

 南丹市立桜が丘中(京都府)/南丹市立園部中(京都府)/駒沢学園女子中・高(東京都稲城市)/神戸市立神陵台中(兵庫県)/松陰中・高(兵庫県神戸市)/刈谷市立刈谷南中(愛知県)/函館白百合学園中高(北海道函館市)/長崎市立長崎商高(長崎県)/名護市立大宮中(沖縄県)/多摩市立東愛宕中(東京都)/藤枝市立青島中(静岡県)/東久留米市立久留米中(東京都)/府立中央聴覚支援学校(大阪府)/宇都宮市立陽西中(栃木県)/府立堺聴覚支援学校(大阪府)/丹波篠山市立西紀中(兵庫県)/豊中市立第八中(大阪府)/広島市立国泰寺中(広島県)/府立生野聴覚支援学校(大阪府)


■へき地学校など計148校に備品・教材を寄贈

 ベルマーク運動は、山間部や離島などにあるへき地学校の先生が教育環境の窮状を訴えたことから始まりました。その後、支援の輪は広がり、現在は特別支援学校や病院内に設置されている院内学級、海外の日本人学校にも備品や教材を贈っています。

 財団は2023年度、へき地学校100校、特別支援学校40校、4つの院内学級、海外の日本人学校4校を支援しました。へき地学校には1校につき20万円相当の備品・教材を、特別支援学校のうち養護学校には希望の備品・教材、盲学校には拡大読書器、ろう学校には短焦点プロジェクター、院内学級にはタブレット類、日本人学校にも各学校が希望する備品や教材を贈りました。

2023年度、へき地学校・特別支援学校など144校を支援

2023年度の日本人学校支援先は4校

◎子どもたちに学びの機会も提供

 へき地学校に通う子どもたちを対象に、一輪車講習会や理科実験教室を実施して学びの機会を提供しています。

※実施校

一輪車講習会

 曽於市立光神小(鹿児島県)福岡市立勝馬小(福岡県)熱海市立初島小中(静岡県)安芸高田市立川根小(広島県)上天草市立教良木小(熊本県)出水市立大川内小(鹿児島県)出水市立上場小(鹿児島県)

理科実験教室

 大田原市立須賀川小(栃木県)静岡市立梅ケ島小中(静岡県)長岡市立太田小中(新潟県)中之条町立六合中(群馬県)

■東日本大震災被災校支援

 マグニチュード9.0、最大震度7を観測した東日本大震災。震災発生直後、財団は被災校にノートや鉛筆を寄贈しました。それから13年が経った現在まで、被災校支援を継続しています。2023年度は、岩手・宮城・福島3県の小・中学校計110校に総額600万円相当を支援しました。

 また、東日本大震災に関連する支援として、学校の防災力向上に取り組む宮城教育大学の防災教育研修機構や、福島と水俣の中学生交流事業への助成も実施しました。

東日本大震災から12年、2023年度は110校に600万円相当を支援

■友愛援助

 ベルマークには、国内外の子どもたちに支援の手を差し伸べられる「友愛援助」というしくみがあります。貯めたベルマーク預金を直接寄付にあてることができるのです。

 2023 年度の対象事業は、活動実績のあるNGO などの団体を通した海外援助、国内の子ども食堂への援助、そして財団が実施する東日本大震災被災校援助でした。のべ104の参加団体から219万円の申し込みがありました。さらに、2023年2月に発生したトルコ・シリア大地震への「緊急友愛援助」も募集し、集まった寄付金に財団の援助資金を合わせた108万円をユニセフに寄付しました。

 2023年度、寄付額に財団資金も加えた355万円(教育応援隊「絵本を届ける運動」分を含む)をNGOなどの支援団体に贈呈しました。

第26回友愛援助、10事業を募集

■広報活動

◎ホームページと新聞

 ベルマーク運動についての情報は財団ホームページで公開しています。参加団体がどのように活動しているかや、協賛会社のキャンペーンのお知らせ、協力会社の商品情報、支援先から届いた感謝メッセージもご紹介しています。ホームページからは注文書や申込書などの書類も取り出すことができます。

 「ベルマーク新聞」は、直近のトピックスを簡潔にまとめた広報紙です。月に1回、PDF形式で発行しています。

◎大台達成校

 運動に参加登録して以来、集めたベルマークが50万点、100万点、200万点……(以降100万点刻み)を超えた参加団体を「大台達成校」と呼んでいます。達成したタイミングで、財団から感謝状をお贈りしています。

大台達成校(大台達成校を訪ねて・大台達成校アンケート)

◎ベルマーク便りコンクール

 ベルマークに関する情報を、学校内外に伝える広報物を対象とした参加団体向けのコンクールです。2023年度で38回目となりました。近年は、プリントや冊子に加えて、ブログや動画の応募も増えています。

ベルマーク便りコンクール2023、入賞21校が決まる

◎さまざまなPR活動

 ベルマーク運動の魅力を広く知ってもらうため、X(旧Twitter)やInstagramも運用しています。

 ほかにも、小学生が児童書の魅力を伝える本の「帯」を作る「本の帯創作コンクール」(大阪読書推進会など主催)には、賞のひとつに「ベルマーク賞」を設けています。さらに「スナッグゴルフ対抗戦JGTOカップ全国大会」(一般社団法人日本ゴルフツアー機構など主催)を後援し、子どもたちの学びを後押ししています。

「本の帯コンクール」ベルマーク賞受賞者が決定

スナッグゴルフ全国大会にベルマーク回収ブース

以 上
公益財団法人 ベルマーク教育助成財団

ベルマーク商品

ロジカルエアー フェイス柄 方眼5mm A4

ベルマーク検収

今週の作業日:1/14~1/17
10/22までの受付分を作業中