ホーム » 読んでみたい本

読んでみたい本

  ベルマーク新聞の「読んでみたい本」のコーナーで20年以上、児童・生徒・PTA向けに、本を紹介し続けている児童文学者・鈴木喜代春さんの「書評コーナー」を、ベルマーク財団のホームページでもご紹介します。書評は3カ月に1度更新していきます。


おかあさんはなかないの? 『おかあさんはなかないの?』
(平田昌広文、森川百合香絵)

 「なみちゃん」は、ころんで足から血が出る。「いたいいたい」と泣く。「がまんして」と「お母さん」が言う。こうして「お母さん」と「なみちゃん」の、楽しくて、美しくて、優しい会話がつづく。お母さんは答える。「おばけが出ても泣かない」「きらいなピーマンでも泣かないで食べる」と。 そして「泣かない」「お母さん」が「もしも、なみちゃんが、お母さんのことが、嫌いになって、どこかに行って帰ってこなかったら…」と、お母さんは言って考える。とたんに「なみちゃん」は、びっくりして「だいじょうぶだよ。なみ、お母さんのこと、嫌いにならないから、だからお母さんは泣いちゃだめ」と叫んで、お母さんにだっこされる。大人をこえる子どもの優しさに胸があつくなる。幼児以上。

(アリス館・本体1300円+税)
    
    
おむすびにんじゃの おいしいごはん 『おむすびにんじゃの おいしいごはん』
(本間ちひろ作、土井善晴監修)

 毎日毎日、おいしくいただいているご飯だ。「お米」が「ご飯」になるまでを、「詩」と「絵」で、きっちりと、とらえて、明るくてやさしい。 「はらぺこうたのじゅつ」から「のこりでにっこりのじゅつ」まで、そこにあるのは「いのち」の喜びである。「おちゃづけ チャーハン おぞうすい さいごのさいごの ひとつぶまで みんな にこにこ おいしいごはん」。小学校初級以上。

(リーブル・本体1048円+税)
    
    
だっこだっこ 『だっこだっこ』
(つちだよしはる作・絵) パンを買いにいく。くまの子。ふくろうの子が、お母さんに、だっこされている。もぐらの子が、お母さんにだっこされている。 いそぐくまの子は、つまづいてころぶ。カンガルーのお母さんに助けられ、パンを買って家へ帰る。お母さんは、くまの子を「だっこ」してくれる。 「やさしさ」が、せまってくる。きっと読んだ子も、お母さんに「だっこ」されたくなるであろう。幼児以上。

(金の星社・本体1200円+税)
    
    
ニャントさん 『ニャントさん』
(高部晴市著)

 妖怪に食べられて、その村には3人の子どもしかいない。なんでもやのニャントさんは、3人の子に、イモ、クリ、アズキなどなどを入れて、すりつぶした粉を3人にのませる。 妖怪がくる。ニャントさんと3人の子どもの4人は、おしりを向けておならをブッブッブッブッと出す。すると不思議、妖怪の口、鼻、耳などから村人が次つぎと出てくる。それから妖怪は悪さをしなくなったという。怖い妖怪退治はおもしろい。小学校初級以上。

(イースト・プレス・本体1400円+税)
    
    
さわ さわ もみじ 『さわ さわ もみじ』
(ひがしなおこ作、きうちたつろう絵)

 頁を開く。見開き2頁にもみじの木が2本。髪を秋風に吹かせる女の子。その子から1枚のもみじの葉がとんでゆく。 次の頁は、赤、黄、紅のもみじの葉が地面を色どり空を色どる。 幼児だけでなく、小・中学生、お父さんお母さん、おじいさん、おばあさんまでを、楽しませ、力をもらえる大きく深い1冊である。幼児以上。

(くもん出版・本体800円+税)
    
    
でんしゃが きた 『でんしゃが きた』
(竹下文子作、鈴木まもる絵)

 ・でんしゃがきた・かんかんかんかん・しゃだんきがおりる・おじいちゃん・おばあちゃん・またおいで。 鉄橋をわたる。山あいをはしる。街なかをはしる。地下をはしる。大勢の人びとがのる。おりる。 いろいろと知っている電車を、すばらしい絵で、もっともっと深く広く知らせてくれる。明るくて、力のわいてくる絵本だ。幼児以上。

(偕成社・本体1000円+税)
    
    
ねこのかんづめ 『ねこのかんづめ』
(北ふうこ作、鴨下潤絵)

 「たくや」の家の、ネコのトラキチは元気がない。たくやは、元気を出させるために5個の「かんづめ」を買ってくる。あけると「5ひき」の「子ネコ」が出る。子ネコは、玉のり、輪くぐりなどする。 トラキチも玉のりして元気だ。ところが5ひきの子ネコが、いなくなる。空かんを見ると「賞見期限」と書いてある。子ネコたちは期限が切れて、もとの煙に戻ったのだ。なんとも滑稽で楽しい。小学校初級以上。

(学研教育出版・本体1300円+税)
    
    
ふたつの ゆびきりげんまん 『ふたつの ゆびきりげんまん』
(そうまこうへい作、マスリラ絵)

 「お父さん」は、日曜日に「お化け屋敷」に連れていくと約束する。「ひろと」は友だちに「お化け屋敷」のことを知らせると約束する。ところが急にお父さんに電話があり、日曜日に、父は勤務で会社へ行く。ともに約束を破る。ところが父はひろとに、ひろとは「友だちに」、それぞれはっきりきれいに、あやまる。「ことば」は「人間」を「生かす」。父も、ひろとも、友だちもみんなニコニコだ。小学校初級以上。

(小峰書店・本体1100円+税)
    
    
にほんいっしゅう ちずのえほん 『にほんいっしゅう ちずのえほん』
(PHP研究所編)

 「大型」の「絵本」が「日本」の「国」を、深く正確に、理解させてくれる楽しい、ありがたい絵本が出版された。1冊の中に、日本全体の地理、歴史、産物、生活、自然、文化などが、きっちりと収められているのだ。いままでに出版されたことのない出版である。しかも各都道府県、地方ごとに「絵」で特色をみごとにまとめている。すばらしい「絵本」が創造されたのである。小学校中級以上。

(PHP研究所・本体1800円+税)
    
    
ハナちゃんのトマト 『ハナちゃんのトマト』
(市川里美作)

 トマトの好きなハナ。お父さんに、トマトの苗を買ってもらう。苗はぐんぐんのびる。そこで田舎のおばあさんの畑に植えかえる。 トマトの実は赤くなる。 そして台風も過ぎて、お父さんお母さんが、田舎のおばあさんの家へくる。ハナは、トマトの料理を作って食べさせる。ハナも、おばあさんも、お父さんもお母さんも楽しい。とくにこの絵本の絵は大きくて事実を正確に描いて美しい。小学校初級以上。

(BL出版・本体1400円+税)
    
    
10代のための古典名句名言 『10代のための古典名句名言』
(佐藤文隆・高橋義人著)

 「学んで」「生きて」、「生きて」「学んだ」67人の「すばらしい」「ことば」が収められている、大きな1冊である。 「1日生きることは、1歩進むことでありたい」(湯川秀樹)、「人生とは、喜びと悲しみの反復、アクシデントの連続である」(バレリー)、「みんなちがって、みんないい」(金子みすゞ)など。 なお、名句名言に解説もついている。ありがたくて力のいただける1冊である。中学以上。

(岩波書店・本体780円+税)
    
    
ぼくの おおじいじ 『ぼくの おおじいじ』
(スティバンヌ作、ふしみみさを訳)

 「おおじいじ」とぼくは、星を眺めていた。いきなり、おおじいじが「ブルルルッ」と、おならをして「雷だ、雨が降る前に、家に入ろう」と言う。 「死んでもおまえの側をはなれない」と言った「おおじいじ」が亡くなる。 ぼくはお月さんを見上げている。と「ブルルルッ」と、おならが出る。と、空がピカッと光る。ぼくは「おおじいじだ」と叫んでいた。「おおじいじ」と「ぼく」だけの「絵」で「人間」の優しさをみごとに表現して斬新な絵本である。小学校初級以上。

(岩崎書店・本体1300円+税)
    
    
きっとオオカミ、ぜったいオオカミ 『きっとオオカミ、ぜったいオオカミ』
(山崎玲子作、かわかみ味智子絵)

 真砂人の机の上には、裏の東山神社で掘りあげたオオカミの「頭がい骨」がある。これは絶滅した「ニホンオオカミ」の頭がい骨ではないか。真砂人は、前に家族と一緒に行った上野の「国立科学博物館」へ一人で、長野県の上田市から新幹線に乗って出かける。追究する真砂人は、すばらしい。いろいろ調べたが、はっきりしない。さらに探究心は大きくなっていく。学ぶことは生きること。真剣さがせまってくるうれしい1冊である。小学校上級以上。

(国土社・本体1300円+税)
    
    
福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇 『福田村事件 関東大震災・知られざる悲劇』
(辻野弥生著)

 1923(大正12)年9月1日関東大震災が発生する。その直後「朝鮮人が井戸に毒を入れた」などの流言飛語がひろがる。年表には「9月2日関東一円で朝鮮人虐殺始まる」として「9月6日、福田田中事件おこる」。香川県の売薬行商団/虐殺される。 千葉県の福田村で、10人が殺された。ところが、その10人は、朝鮮人ではなく、香川県から来て、薬を販売して歩いていた10人だった。香川県の言葉が、福田村の言葉と違うので、朝鮮人と思い込んで殺してしまったのだ。殺した人も悲しい、殺された人も悲しい。 2003(平成15)年に「関東大震災福田村事件犠牲者 追悼慰霊碑」ができて、香川県と、千葉県の代表が集まって「除幕式」をおこなった。小さな1冊の新書版であるが「人間」の尊さ、優しさがせまってくる大きく重い1冊である。中学以上。

(崙書房出版・本体1200円+税)
    
    
虹の歌 『虹の歌』
(宮下木花作)

 6年1組の「天歌」の父母は離婚して、天歌は祖母と2人暮らし。天歌は「絵」が上手で、5年生の時に個展を開き、テレビにも出演している。 ところが、天歌が有名になるに従って、クラスの子どもたちの意地悪が、ますます激しくなる。みんなで、ある子の筆箱をかくして「天歌が、とった」といい「天歌」を「泥棒」と叫ぶ。「天歌」は悩み、死を考え、持った包丁を誤って足に落として倒れ、病院に運ばれる。ところで輸血を、いじめた子の伸子からもらったことを知る。こうして「いじめた子」も「いじめられた子」も「死」をとらえることで「いじめ」を、のりこえる。「虹の歌」の著者は小学校6年生だ。小学校6年生だから「いじめ」を「死」でとらえて、みごとに明るく発展させることができたのではないか。教わり感動する作品である。小学校上級以上。

(銀の鈴社・本体1200円+税)
    
    

Showing 1 - 1 of 21 Articles

     あなたの愛が鳴り響きます。
            ベルマークから、ありがとう。

ベルマーク教育助成財団 tel:03-5148-7255