自分のこと、好きですか?/高岡市立横田小で尾木ママがオーサー・ビジット


(2024/02/22)印刷する

 富山県高岡市の市立横田小学校(荻沢芳美校長、児童141人)で2月9日、ベルマーク財団の教育応援隊事業のひとつ「オーサー・ビジット」が開かれました。本の著者(オーサー)が学校を訪ねて(ビジット)特別授業をする取り組みで、朝日新聞社との共同企画です。

特別授業をする尾木直樹さん

 オーサーは「尾木ママ」こと、教育評論家の尾木直樹さん。会場の体育館には、先生や保護者も含む約240人が集まりました。尾木さんの自己紹介をまとめた動画「尾木ママヒストリー」が上映された後、子どもたちが「尾木ママー」と呼びかけると、尾木さんが登場。体育館に大きな拍手が沸き起こりました。

 横田小は今年3月で149年の歴史を閉じ、ほかの2つの小学校と統合することが決まっています。尾木さんは、横田小の5、6年生を対象としたアンケートの結果を紹介。「横田小が閉校し、統合することについて、どのように感じていますか」という質問に、43人中23人が「とても良いことだと思う」または「どちらかと言えば良いことだと思う」と答えていました。その理由として多かったのは「新しい友達ができるから」。一方で、「どちらかと言えば良くないと思う」と答えた人も6人いました。尾木さんは「こういう声をみんなで出し合っていくことが大事」と言います。

 「先生や学校にしてほしいこと、望むことはどんなことですか」(複数回答可)という質問では、24人の児童が「いじめのない学校にしてほしい」に○をつけました。これについて尾木さんは「いじめのない学校にしたいと思っても、いじめは起きます。いじめの全くない学校にするのは難しい。大事なのは、いじめが起きたときにみんなの中でブレーキがかけられる学級、学校にすること」と話します。「いじめは心をナイフで刺されるようなもの。おばあさん、おじいさんになっても、息を引き取るまで、いじめられた人は覚えています。いじめは200%いじめる方が悪いの」と訴えました。尾木さんは、先生たちに対しても「みんなの前で1人のひとを注意すると、その瞬間からいじめが始まります。だから、みんなの前で注意するのは絶対やめて」とアドバイスしました。

子どもたちにマイクを向ける尾木さん

 「あなたは、自分のことが好きですか?」という質問では、「好き」または「どちらかと言えば好き」と答えた人が43人中29人でした。こうした自己肯定感を測る指標は、日本は国際的にとても低いと言います。「なぜ、日本人は世界の国々と比べて自分のことが好きではないのか、周りの人と話し合ってみて」と尾木さん。3分後、尾木さんが子どもたちにマイクを向けると、「いじめがあって、自分のことを好きになれない」「周りの人に冷たくあしらわれて好きになれない」といった答えが返ってきました。中には「本当は自分のことが好きだけど、恥ずかしくてうそをついている」という人も。尾木さんは、先生たちや保護者に向かって、「子どもの夢をもっと応援して欲しい。『頑張れ』じゃなくて、ありのままに、今を輝こうと思えるようにね」と呼びかけました。

先生に「大人になるってどういうこと?」と質問

 一番盛り上がったのは、尾木さんが先生に質問をした場面。「大人になるってどういうこと?先生に聞いてみようか」。そう言って、尾木さんが先生たちにマイクを向けると、先生たちは逃げようとしたり、「お金を稼げるようになること」などとしどろもどろな答えをしたり。その様子に子どもたちは大喜びです。「わかったでしょ。先生もみなさんと同じなんです。そして、子どもたちは思った以上に子どもじゃないんです」

 横田小は1月1日に発生した能登半島地震で一時、避難所になりました。尾木さんは「能登の人たちはもう十分頑張ってる。だから、遠くから『頑張って』という必要はないの。大切なのは、私たちがいま何ができるかということと、感謝の気持ちです」と話しました。

 授業を受けた児童の感想が財団に届きました。

 尾木ママの講演を聞いていろいろハッとさせられた。地震のこと、将来のこと、自分を好きになること等々。周りに流されていた自分があほらしく感じた。自分を好きでいていいんだと思う一方、実は自分が人に無理をさせていたことも分かった。自分たちのアンケートに熱心に答えてくれる尾木ママは、かっこよく、優しく感じた。私もそんな風に、人に寄り添って考えてあげる人間になりたいと思った。人のために働ける仕事はかっこいいと思う。 尾木ママには、横田小学校に来ていただき、本当に感謝している。自分に自信をもってこれから行動しようと思った。貴重な経験をありがとうございました。(6年生)

 様々な興味をひかれる話題の中で、特に心に残った話があります。それは「大人になるとはどういうことか」という話です。私なりに考えた「大人になる」とは、相手のことや自分のことを考えてうそをつくことだと思います。「よいうそ」「悪いウソ」があるので使い方には気を付けたいです。この講演会を通して、今まで考えていなかったことを考えるきっかけになりました。(6年生)

 尾木ママの話の中で、「先のことより、今目の前にあることに全力で取り組みましょう」という言葉がありました。ぼくは、6年生になったら「サッカーで全国大会に出場する」という目標をもっています。でも、まずは目の前の試合を一つ一つ大事にして全力でがんばろうと思いました。(5年生)

 尾木ママの話の中で、すぐ実践したいと思ったのは「勉強の取り組み方」についてです。苦手な勉強からではなく、得意な勉強から先にする方が早く終わることを初めて知りました。いじめ問題や自己肯定感については難しいけれど、まず、自分を好きになることから始めたいと思いました。(5年生)

 尾木ママの話を聞いて、自分は「もっとみんなに平等にしてほしい」「もっと勉強を分かりやすく教えてほしい」と思いました。私は算数が苦手なので、わかっている人のペースに合わせるとそのまま分からなくなってついていけなくなってしまいます。わかる人にもわからない人にも平等にわかるようにしてもらえると、うれしくなると思いました。(5年生)

お礼の気持ちを花束に込めて
尾木さんを囲んで記念撮影
子どもたちと一緒に教室で給食

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