避難所の開設を目標に/金沢大学附属特別支援学校で防災科学教室


(2026/10/05)印刷する

 石川県金沢市にある金沢大学附属特別支援学校(中澤宏一校長、児童・生徒59人)で9月11日、防災科学教室が開かれました。ベルマーク財団の参加団体を対象としたソフト事業「教育応援隊」のプログラムのひとつで、財団と国立研究開発法人防災科学技術研究所(以下、防災科研)が共催しています。防災科研の研究者が講師を務める出前教室です。

授業前、上田さんは備蓄品を置いてある別棟を視察した

 授業を受けたのは高等部3クラスの計24人。高等部では、今学期の総合的な探究の時間すべてを使って防災を学んでいます。目標は、12月に体育館で避難所を開設すること。そのため、自分たちで避難所を開設することを念頭に置いた授業を受けたいというリクエストが事前にありました。

 その要望に応える今回の講師が、防災情報研究部門特別研究員の上田啓瑚さん。学校現場での防災教育をよりよいものにするための研究をしています。学校防災を普及する団体を立ち上げたり、文部科学省が発行する学習ポスターの監修をしたり、大人だけでなく子どもにも防災に関心を持ってもらうことを目指しています。

備蓄品はいざという時のために、整理して保管

 授業の組み立て方は、前半後半それぞれ40分。あいだに休憩をとります。前半は講義で知識を深め、後半は聞いた内容を踏まえてワークショップに取り組み、自分たちの考えを深めていくという流れです。

 大きなテーマは「守ろう自分の命 備えようみんなで」。災害から命を守る方法と、災害が起きたあとの生活で助け合う方法を考えていきます。

 講義は「防災」とは何かという話から始まりました。もし災害への対策を全く講じなければ、その場にいる全員が犠牲になるかもしれません。しかし対策を講じることで、犠牲になる人数を減らすことができます。事前に出来るだけ対策を講じて、犠牲をいかに少なくするか。これが防災です。

授業は話を聞くだけでなく、参加できるよう工夫されていた

 上田さんは、最近起きた災害について、現地で撮った写真を見せながら話を進めました。まずは、2024年1月に同じ石川県内で起きた令和6年能登半島地震。地震発生から2週間後、輪島市役所にはたくさんの支援者が来た一方、寝るスペースの確保が難しいという課題がありました。

 今年7月には令和8年熊本地震が発生しました。真夏の暑さの中で過ごす必要があったことから、お風呂や水の支援が大いに役立ちました。

クイズに手を挙げて答える生徒たち

 続いて、防災クイズです。上田さんに、グーチョキパーで自分の答えを伝えます。1問答えるごとに関連する知識の解説があり、計5問でとても多くのことを学びました。命を守るために3つのポイントがあること、避難場所と避難所は異なるもので自分たちの学校は避難所に指定されていること、5月から防災気象情報が新しくなったこと、ローリングストックという備蓄方法があることなどを学びました。

 最後のクイズは「避難所を運営するのはだれ?」でした。「消防士」「自衛隊」「地域の住民」という3つの選択肢から答えを選びます。正解は、地域の住民です。困っている人やけがをした人を助けてくれるのが消防士や自衛隊であり、避難所は地域のみんなで運営するもの。上田さんは、日頃から地域の人と一緒に防災に取り組んできた能登の中学生が、小学生や高校生とも協力して避難所の運営を手伝った事例を紹介しました。

休み時間に、上田さんに話しかけにいく生徒も

 後半はワークショップです。授業の前半で学んだことを生かして、グループごとに3つのテーマに対しての案を考え、発表します。1つめは「どんなことに困りそうかな?(例:ゲームが使えない)」。2つめの「いつもやっていることで、災害が起きたときにもできそうなことはあるかな?(例:友達と遊ぶ)」、3つめの「いつもやっていることで災害が起きたときに役立ちそうなことはあるかな?(例:退屈している低学年の子と遊ぶ)」と順を追って考えていくと、自分たちに出来る具体的な行動が見えてきます。

学年ごとにグループになってワークショップ
案を書き出していく3年生

模造紙いっぱいの案を出した2年生

 話し合いでたくさんの案が出ました。掃除を手伝う、保存水を運ぶ、子どもや高齢者と体を動かしたり話をしたりするなど、災害時に自分たちが率先して出来ることが多くあると分かりました。発表を聞いた上田さんは「良い案がたくさん出ました」「素晴らしい」とフィードバックし、みんなでお互いに拍手をしました。

 最後のまとめは、12月の避難所開設に向けたアドバイス。上田さんは「地域の人と出来ることを考えるのも大事だね。具体的な行動をイメージして、無理をせずにやってみよう」と呼びかけました。

話し合った結果を発表する3年生
上田さんに褒められる2年生

落ち着いて発表する1年生

 授業後、生徒たちが上田さんに感謝の気持ちを込めて、クッキーをプレゼントしました。高等部では、26年前から作業学習の一環でクッキーを作っており、地域の方からも親しまれているそうです。

上田さんへのお礼は、自分たちで作ったクッキー
「防災科研の方から防災グッズをいただきました」と先生が話すと、生徒たちは嬉しそうだった

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