ブラジル人学校、ベルマーク始めたよ!/滋賀・東近江市の日本ラチーノ学院


(2022/07/12)印刷する

 滋賀県にあるブラジル人学校4校が、今年5月からベルマーク運動の参加校に仲間入りしました。協賛会社のあいおいニッセイ同和損害保険(ベルマーク番号92)がブラジル大使館などの協力を得て3月から始めた「在日ブラジル人学校向けベルマークキャンペーン」に呼応したものです。このうちの1校、東近江市にある準学校法人日本ラチーノ学院を訪ねてみました。

ラチーノ学院の校舎

 東近江市は琵琶湖岸から鈴鹿山脈まで広がっていますが、日本ラチーノ学院がある甲津畑地区は鈴鹿山脈のふもとに位置し、豊かな森林に囲まれています。児童減少のために閉校した旧甲津畑小学校の校舎を市から借り受け、2015年に開校しました。現在1歳から高校3年生まで189人の子どもたちが学んでおり、県内各地からスクールバスで通学しています。中には長浜市や米原市などから2時間以上かけて通う子もいますが、苦にする様子は全くなく、休日も学校に来たがる子もいるほど。バスで小さい子がぐずると、高学年の生徒が優しくあやしてくれるそうで、全員がファミリーみたいな学校です。

 同学院は2000年に滋賀県の湖南市でスタートし、その後近江八幡市の商業ビル内に教室を設けていました。しかし手狭でグラウンドもなく、子どもたちが伸び伸びと学ぶことができなかったことから、より良い教育環境を探していたそうです。

 学院が移転したのは甲津畑小の閉校から4年後。一度は消えた子どもたちの声が戻ってくる――地域が盛り上がるきっかけになればと、地元は大歓迎してくれたそうです。人口約400人の地区に200人近い子どもたちが通うようになり、キンコンカンという鐘の音が再び鳴り響くようになりました。夏祭りや餅つき大会など地元の行事には子どもたちが参加し、また学校の催しに地域の方を招くなど、温かい交流を深めています。

広い体育館。旧甲津畑小の校旗や校歌の額も残されている
教室で授業を受ける子どもたち
制服はジャージ

カミムラ・カイオ学院長

 カミムラ・カイオ学院長は「東近江が1番。ここが1番!」と笑顔で話します。高台にある2階建ての校舎は木目が美しく、はるか遠くに琵琶湖も臨めます。目の前には広々としたグラウンドがあり、立派な体育館も。通学は遠距離になりましたが、環境としてはとても素敵なロケーションです。

 生徒のほとんどがブラジルにルーツをもつ子どもたちですが、他に日本人、ペルー人なども通っていて、インターナショナルな顔ぶれです。授業はブラジルのカリキュラムに従い、ポルトガル語と日本語で学習しています。教科ごとに専門の先生がいて、生徒は教科に合わせて教室を移動します。一方で日本社会に溶け込めるよう、日本の文化や習慣の理解にも努めています。給食と掃除の当番制もその一つ。ブラジルでは食事の配膳や校内の掃除は専門スタッフがいますが、ここでは日本の学校と同様に子どもたちが交代で担当します。入学時に新入生とその保護者にも伝えるそうです。今ではすっかり定着し、当番が待ち遠しくてたまらない子もいるのだとか。他に習字なども学んでいます。


初めての習字

 学校では、実はベルマークのことは誰も知らなかったそうです。でも、あいおいニッセイ同和損保のキャンペーンで、「自分のため」にすることが、「他人(ひと)のため」にもなるのがベルマークだと知り、日頃から子どもたちに説く「ひとのために」という考えに共通していると参加を決めたそうです。日本で多くの学校が参加している活動に、自分たちも加わることができる、という点も魅力だったそうです。

 カイオ学院長から先生方へ、そして子どもたちへ、ベルマークの趣旨や活動内容が伝えられました。その際、あいおいニッセイ同和損保が作った財団資料『な~るほど!ベルマーク』のポルトガル語版が大いに役立ちました。「個人のものではなく、皆が使えるものを買う、という目的が定まっているから、理解も浸透もスムーズで早かった」とカイオ学院長。集めた後の仕分け・集計作業も「高学年の生徒がするので問題ない」といいます。

 「ベルマークはすぐに資金として活用できるわけではないが、たとえ時間がかかってもよいので、生徒には最後まで関わってほしい。やり遂げることが大事。そして、ボールひとつでも買うことができたら」と、カイオ学院長は子どもたちの活動に期待を寄せていました。

昼休みに職員室にマークを持ってきた児童

 校舎の壁にはポルトガル語に翻訳されたポスターが貼られ、ブラジルの国民的キャラクター・モニカの絵も入った回収箱が各教室の入口に置かれていました。設置してすぐに自宅からマークを持参する子どもが続いたそう。取材した日も、子どもが得意げにベルマークを箱に入れる瞬間に立ち会えました。「国民性でしょうか?すでにクラス対抗の競争が始まっているようだ」とカイオ学院長が笑いながら教えてくれました。

 今回の取材は、あいおいニッセイ同和損保代理店の地元支店長、畠中昭夫さんに色々と手配していただき、ポルトガル語を話すカイオ学院長との通訳もお願いしました。子どもたちの明るく人懐っこい笑顔が印象的でした。急な訪問にもかかわらず快く受け入れてくださり、みなさん、ありがとうございました。Muito Obrigada!(ポルトガル語で「どうもありがとうございました」)

生徒はみなフレンドリー
幼児にはベビーチェア
ビーフストロガノフと豆の煮込みフェイジョン

◆リンク

・「あいおいニッセイ同和損保がブラジル人学校向けキャンペーン開始」

 https://www.bellmark.or.jp/sponsor/news/30005008/

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