「ここは、どこ」と、思うほどの蒸し暑さが、8月上旬の北海道を包み込んでいました。
ベルマーク教育助成財団は、全国のPTAの皆さんの援助で、8月4日の上湧別町立開盛小学校を皮切りに、中富良野町立西中小学校、長沼町立長沼舞鶴小学校、苫小牧市立樽前小学校で一輪車の講習会を開きました。
<上湧別町立開盛小学校>

4日の上湧別町の天気はどんよりとした曇り空。「夏はからっとした気候」なのに、今年は、話が違ったようです。長雨と日照不足の異常気象でタマネギなどの農作物にも被害が出ていると、地元のテレビが伝えていました。
夏休み期間中で、講習会は自主参加でしたが、33人の児童のうち27人も参加してくれました。
インストラクターは、全日本大会のグループ演技やペア演技で何度も優勝経験のあるベテランの成田美香子さんと、昨年全国大会の団体演技で総合優勝した猪股弓依(ゆい)さんの2人。石田篤司校長が「今日は東京のベルマーク財団からわざわざ、来ていただき講習会を開いてもらうことになりました。一生懸命練習して少しでも上手になるように、頑張りましょう」と挨拶。
最初は、成田さんと猪股さんの模範演技。音楽に合わせて、蹴り上げ乗車や連続スピン、片足スピン、アラベスク、アイドリングなどの技を次々と披露、児童や先生たちから盛んな拍手が送られました。このあとは、乗車できる児童とできない児童とに分かれて一輪車の点検。「サドルはおへその高さ」「タイヤの空気は大丈夫かな」。一台一台のチェックが終わって、乗車できない児童は、恐る恐る手をつないでもらっての走行。乗れる児童は片足走行やバック走行、スピンなどの技に挑戦。蒸し暑い中、汗をかきながら熱心に練習しました。
この結果、まったく乗れなかった児童でも数メートル走れるようになったり、片足走行ができるようになったり、めきめき上達していきました。
<中富良野町立西中小学校>

5日は、北海道のほぼ中心にあり、ラベンダーなどで知られる、中富良野町の西中小学校(田中和幸校長、児童数25人)へ。夏休み中、東京で開催されている物産展に父母と一緒に参加している児童もいましたが、同小のほか近隣の小学校からも参加して15人が講習会を受けることになりました。10人ほどの父母も見学に訪れ、体育館はにぎやかな雰囲気に包まれました。
模範演技のあとは、個別指導に移りましたが、数人を除いてほとんどが初心者。体育館の壁を伝いながら、こわごわ乗車して、すってんころりん。あちこちで、「どーん」「どーん」と、一輪車が倒れる音がしました。しかし、児童たちは何度も何度も果敢に挑戦。「子供のころは、怖さをあまり意識しない。一輪車は、やはり小さいころから始めた方がいい。大人になったら、恐怖感が先に立つんですよね」と成田さん。
手を借りて乗れる児童は、1人で乗れるように、少し走れる児童は、体育館の半分まで乗れるように目標を持たせました。全員が、汗だくだくになりながら、痛さや恐怖感を払いのけながら練習、めきめき上達していきました。この中の1人は走行できる児童で、アイドリングなどを教えるとすぐにマスター、猪股さんは「運動神経がいい」と感心していました。
<長沼町立長沼舞鶴小学校>

6日は、一昨年「開基120年」を迎えた長沼町の長沼舞鶴小学校で講習会が開かれました。21人の児童のうち18人が参加し、このうち13人も一輪車に乗れるという活発校で、末吉広樹校長が見守る中、子どもたちは大張りきり。そして、インストラクターの成田さんや猪股さんたちを驚かせ、感激させたのが、81歳になる高齢男性の飛び入り参加。5日付の朝日新聞を見て講習会が開かれることを知り、「地元の幼稚園児に一輪車を教えているので、指導の仕方を勉強したい」と、わざわざ恵庭市からマイカーを運転してやってきました。「普通は小学生から始めるのですが……。60歳過ぎてから一輪車に乗り始めて、いま子どもたちに教えているというのは、すごい」と成田さんもビックリ。
さらに感激させたのは、子どもたちの熱心さ。ひとつの技に何度も何度も挑戦して、コーナリングが難しい児童が徐々に曲がれるようになったり、2人で手を握って走れる児童が、手をつないだ児童の輪の下を走る「くぐりスピン」にチャレンジしていたら、これもできるようになったりしました。
また、まったく乗れなかった1年生の児童が、講習会が終わるころには、体育館を横断できるようになって、先生や参観に来た父母から盛んな拍手を送られていました。
<苫小牧市立樽前小学校>

7日は、北海道での今年度最後の講習会になりました。高校野球の強豪、駒大苫小牧高校のある苫小牧市の中心から車で約30分、世界的にも珍しい三重式火山、樽前山(1041メートル)を望む樽前小学校で、大舘博校長や14人の児童たちが、歓迎してくれました。
同校では、一輪車に乗る機会がなかったようで、ほとんどの子どもたちにとって、乗車は初体験。それだけに、蹴り上げ乗車、片足走行、アイドリング、グライディング、連続スピンなど成田さんと猪股さんの模範演技に大感激、盛んに拍手を送っていました。
このあといよいよ個別指導。成田さんや猪股さんは、まずペダルへの足のかけ方、乗車のときの目線、背筋を伸ばした姿勢のとり方などを教え、児童たちは、早速、体育館の壁を片手で伝いながらゆっくり乗ったり、片手を握ってもらいながらの走行などに挑戦していました。1人でスイスイ走行するまではいきませんでしたが、片手をつないで走行することができるようになっていました。児童の熱意が結果に表れて、2人のインストラクターも感心していました。
《写真上から》
・華麗な技を披露する成田さん(左)と猪股さん。子どもたちは一斉に拍手。=上湧別町立開盛小学校の体育館で
・「サドルはおへその高さで」と指導する成田さん=中富良野町立西中小学校体育館で
・猪股さん(中央)の指導で、アイドリングする子どもたち=長沼町立長沼舞鶴小学校体育館で
・手すりにつかまりながら、そろりそろりと進みます=苫小牧市立樽前小学校体育館で
(2009/08/13)