 鹿児島県さつま町の柊野(くきの)小学校(深川晴久校長、10人)で7月7日、今年度最初の「ベルマーク走り方教室」が開かれました。約4キロメートル離れた紫尾(しび)小学校(蓬莱=ほうらい=博之校長、20人)の児童も参加し、両校合わせて30人の子どもたちは、汗びっしょりになりながら、走り方の基本と走る楽しさを学びました。
講師は、箱根駅伝などで活躍した早稲田大学競走部出身で、NPO法人ニッポンランナーズ(千葉県佐倉市)のヘッドコーチ、齊藤太郎さん。深川校長の「きょうは体力づくりと、一流の先生に教えてもらう思い出づくり、そして柊野小と紫尾小の交流という三つのねらいがあります。みんなで楽しく、頑張りましょう」の挨拶で、走り方教室はスタートしました。
 校庭で準備体操を終えると、体全体を使ったスキップです。両ももを引き上げ、腕を広げたり、前後に回したり、横向きに進むスキップも。齊藤さんの動きを見習いながら、みんな一生懸命です。まだ梅雨は明けていなかったのですが、真夏の太陽が照りつけ、ほほを真っ赤にして、汗びっしょりの子もいます。
ゲーム、ストレッチのあとは、休憩を兼ねてテントの下に移動。齊藤さんが骨格模型を掲げました。「なにか分かりますか」に、ほとんどの子どもたちが笑いながら「骨、骨だ」。齊藤さんが模型を動かしながら「早く走るには、正しい姿勢で、地面をしっかりとらえて、股関節と肩甲骨を十分に使うことが大切です」と説明しました。
 ラダーを使ったバランス練習では、子どもたちはよろけながらも何度も挑戦。胸に乗せた新聞紙を落とさないようにスピードを上げて走るときには、全員が「わー」と大きな声を上げ、真剣そのものでした。
「低学年がついてこられるかなと心配していましたが、まったく大丈夫でした」と、齊藤さんもほっとした様子でした。特別参加した卒業生で、毎年2月に行われる県下一周駅伝の地元選抜チームの常連、東條和廣さん(24)も後輩たちの頑張りに満足そうでした。
4年生の矢野開輝君が「遠くから来ていただきありがとうございました。楽しかったです」と、みんなを代表してお礼の言葉を述べ、閉会です。矢野君は「走るのは好きでも嫌いでもなかったけれど、練習したので、早く走れるような気がします」と話してくれました。
 さつま町は、鹿児島県中北部の盆地です。2005年3月に宮之城、鶴田、薩摩町が合併して生まれました。
柊野小は宮之城地区にあり、中心部からは約8キロメートルの緑いっぱいの山あいにあります。町の小規模校入学特別認可制度の指定校(特認校)です。豊かな自然環境のなかで学びたいと希望して、一定の条件を充たすと、特例で校区外通学が認められます。今年は児童10人のうち5人が宮之城地区中心部から通学しています。以前は通学用バスを利用していましたが、07年度から町が費用を補助するタクシー通学に変わり、毎朝、学校から約700メートルの校長住宅で降り、深川校長と一緒に登校しています。
 柊野小の自慢は、02年にできたオリジナルキャラクターの「クーちゃん」。子どもたち全員のスケッチをもとに5、6年生が話し合って、5カ月がかりで制作しました。ハートの型をしたアズキ色の顔に90と読める大きな眼、緑色の手足がにょっきり。教育目標の「学習や学校行事で全児童が90点を目指す」のシンボルになっています。クーちゃんのシールやスタンプもあり、表彰状にも使われ、子どもたちの励みになっているそうです。
《写真上から》
・子どもたち全員で準備体操。深川校長(写真左)も入念に
・骨格模型を使う齊藤さんの説明にみんな楽しそう
・ラダーを使ってバランス練習
・胸の新聞紙が落ちないよう全速力で走る
・全員そろって記念撮影=いずれも鹿児島県さつま町の柊野小学校で
(2009/07/17)
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