最近の援助から


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四川大地震の被災児童たちに援助届ける、ジョイセフ通じて

 昨年5月12日に発生した中国・四川省を中心にした大地震で被災した子どもたちのために、ベルマーク教育助成財団からの支援が4月下旬、財団法人ジョイセフ(家族計画国際協力財団)を通じて、現地に届けられました。立ち会ったジョイセフの本間由起夫・中国事業グループ部長らが、このほどベルマーク財団を訪れ、今の現地の様子や子どもたちの生活ぶりについても報告がありました。
仮設プレハブ教室と子どもたち この地震では約7万人が亡くなり、約18000人が行方不明になりました。1年が過ぎて損壊した学校や病院などの公共施設が急ピッチで建設されていますが、多くの人たちはまだ救援用のテントや仮設プレハブ住宅での不便な生活を余儀なくされているそうです。
 今回、ジョイセフがベルマーク財団からの援助金100万円を元に、支援活動をしたのは四川省北部の綿陽市平武県です。野生のパンダが最も多く生息するといわれる山間部で、地震の被害が大きかった地域の1つです。死者3000人余り、行方不明は2600人に達しました。両親を亡くして孤児になった児童36人、体に障害を持った児童29人のほか、両親のけがなどで生活が極度に貧しくなっている子どもたちも4800人以上いると報告されています。
孤児に本間部長から寝具セットが渡されました 被災児童は、学費は政府の支援を受けているため、ベルマークの支援は子どもたちの栄養補助による生活支援と学用品などに使うことにしたそうです。県人口計画生育局などを通じて、4小学校で、被災孤児になった4人の児童に年間各2000元(29,000円)相当を、身体に障害を持った児童26人と家庭生活に困窮している児童6人に年間、各1000元(14,500円)相当を支援しました。贈呈品は、36色入り色鉛筆セット、ボールペン、サインペン、多機能筆箱、定規セット、学用かばん、復読機(発声練習をする英語学習用具)と充電池で合計500元(7,250円)相当1セットずつでした。孤児になった児童には、さらに500元(7,250円)相当の寝具セットが贈られました。このほか、栄養補助の生活資金として被災孤児たちに1000元(14,500円)、身体に障害を持った児童と家庭生活に困窮している児童たちに500元(7,250円)をそれぞれ現金で贈りました。
支援した子どもたちと記念撮影(いずれも中国・四川省綿陽市平武県の石坎小学校で=ジョイセフ提供) 4小学校のうち、石坎(しーかん)小学校では4月28日にベルマーク財団からの援助贈呈式が行われました。出席した本間部長によると、被災した校舎はすべて取り壊されて新校舎を建設中で、プレハブの仮設教室や児童、教師のための臨時宿舎が何棟も建てられ、子供たちはそこで勉強し、寄宿生活をしています。遠くの村から通学する子どもたちは、月曜日から金曜日まで寄宿生活で、給食がないため家から持ってきた白米を毎日学校の炊飯器で炊いています。おかずは自宅から持参してきたザーサイのような野菜の漬物を学校の冷蔵庫に保存し、毎食少しずつ食べているそうです。肉などのたんぱく質の食べ物はありません。「育ち盛りなのに、これでは充分な栄養がとれないのではないかと心配になりました。支援金で少しでも栄養のある食事がとれ、健やかに成長に役立てばと心から念願しました」と本間部長は振り返っていました。
 贈呈式では本間部長が、四川大地震の被災者に対して多くの日本人が支援したいという気持ちを持っていいて、ベルマーク教育助成財団からの支援金もその1つであることなどを説明。国家人口計画生育委員会国際協力局の汝小美副局長から感謝の言葉が述べられました。そのあと孤児になった2人と身体に障害を負った4人にベルマーク財団から提供された資金で購入した学用品や寄宿用の寝具セットなどが渡されました。
 子供たちからは、日本の支援者あてにお礼の気持ちが込められた手紙が手渡されました。手紙には、地震発生時の怖くつらい思い出、救援してくれた人たちへの感謝の気持ち、逆境を克服して勉強に励みたいという決心が綴られています。

 その中から2つを紹介します。

 「ベルマーク教育助成財団支援者の皆様、こんにちは。私は今年9歳で小学3年生です。大地震では我が家と財産を失ったばかりか、弟も犠牲になりました。私もがれきに埋もれましたが、多くの人によって私は救出されました。私は右腕に2級程度の障害が残り、まだ多くの傷跡があり、自分で顔も洗えず髪の毛をすくこともできない女の子です。日常生活では叔母の助けが必要です。このような境遇ですが、勉強はがんばり、宿題もまじめに取り組んでいます。社会各界からの心ある人々からのご厚意と愛情により、この上も無い心の温かさを感じます。日常生活においてこのように沢山の愛があるからこそ、自信と希望が持てます。一生懸命勉強し、大きくなったら皆様からいただいた私に対するご厚情に報いたいと思います。改めて皆様に心より感謝いたします。(石坎小学校3年)

 「大地震で私は重傷を負いました。地震が来る前に、地面がまず軽く揺れましたが、誰かが私を驚かせているのかなと思いました。すぐに大きな揺れが起こりびっくりし、戸口に走り出したとたんに、建物が崩れ、下敷きになりました。非常に痛く、助けを呼んでいると、妹が私を呼んだので、この石をどかしてと叫びました。石は重く私の脚にのしかかり、妹が全身の力を振り絞りましたが役に立たちませんでした。妹はあちこちに助けを求めに行き、やっと心のある人がおばあちゃんを助けた後に私を助けに来ました。私の脚は切断され、何の痛みも感じられなかったのですが、おばあちゃんも負傷し、この光景を見た心ある人が、自分の家族を後回しにして、私たちを安全な場所に運んでくれました。私たち一家は皆感激の涙を流し、その人に対して感謝の気持ちでいっぱいです。今、私は、日本のベルマーク教育助成財団の皆様に大変感謝いたします。私の脚は完全には治っていませんが、学校に戻り勉強することができ、必ずやしっかりと勉強し、皆様の私に対するご厚意とご支援に応えたいと思います。」(石坎小学校4年生)

《写真上から》
・仮設プレハブ教室と子どもたち
・孤児に本間部長から寝具セットが渡されました
・支援した子どもたちと記念撮影(いずれも中国・四川省綿陽市平武県の石坎小学校で=ジョイセフ提供)

(2009/06/08)