へき地学校訪問



今年もへき地学校等へプレゼント  2009年度のベルマーク援助校をたずねて
◇ 4月に開校、うれしい贈り物に笑顔愛知県みあい養護学校
◇ 病院内学級で贈られたパソコン活用熊本市の慶徳小学校
◇ 佐賀県馬渡小中学校に14種類の教材8月からベルマークに参加
◇ 贈られた掃除機で清掃作業の実習盛岡峰南高等支援学校
◇ デジタル顕微鏡に感激静岡市清水中河内小に実験器具など届く
◇ ピクチャーカード使い英語学ぶ埼玉県大滝小学校に援助の品々
◇ ドラムなど援助品を児童に披露豪雨被災1カ月の兵庫県幕山小
◇ 郷土の誇り「阿波踊り」に挑戦援助の三味線で徳島県・重清北小学校
◇ 離島の小学校に子どもたちの歓声鹿児島・馬根小に卓球台や一輪車

4月に開校、うれしい贈り物に笑顔  愛知県みあい養護学校

ミュージックベルで、きれいな音色を楽しみます(みあい養護学校提供) 今年春、愛知県岡崎市に開校したばかりの県立みあい養護学校(青木廣康校長、児童生徒185人)に、ベルマーク教育助成運動からミュージックベルや大型絵本、大型三輪車などの援助品が届きました。校舎は新しいものの、教材や用具がまだ十分でない新設校にとって、とてもうれしい贈り物。早速、授業などに活用され、先生や子どもたちに笑顔が広がっています。
 同校は、県立安城養護学校の規模が過大になったのを解消するため、県内10校目の知的障害養護学校として今年4月、岡崎市美合町の県農業大学校牧草地跡に新設されました。通学区域は同市と隣接の幸田町の1市1町で、子どもたちは3系統のスクールバスのほか、約70人はバスや自転車などで通学しています。
大きな絵と文字に引き込まれる子どもたち(同) 学校の教育目標は、一人ひとりの能力や特性に応じた教育を推進し、家庭や社会の一員として生活できる人間を育てること。つまり「自分からチャレンジできる子ども」を育てることです。
 周囲の環境も建物の設備もすばらしい学校ですが、新設校だけに、どうしても備品面で足りない部分が生じます。そこにベルマークからの贈り物が届き、青木校長は「ありがたく、とても役立ちます」と感謝していました。
 ベルマークからの援助品は、ミュージックベル23音基本セット1セットと大型三輪車(スーパー三輪デラックス)2台、大型絵本4冊、競技用ベスト計45点。ミュージックベルは高等部の生徒たちが授業に活用しています。大型絵本は「はらぺこあおむし」「おばけのバーバパパ」「もりのかくれんぼう」「からすのパンやさん」で、大きな文字と絵が小中学部の児童生徒に刺激を与えると好評です。また大型三輪車は、小学部の低学年の子どもたちが体育の授業で乗って楽しんでいます。

《写真上から》
・ミュージックベルで、きれいな音色を楽しみます(みあい養護学校提供)
・大きな絵と文字に引き込まれる子どもたち(同)=いずれも愛知県岡崎市のみあい養護学校で


(2009/10/16)

病院内学級で贈られたパソコン活用  熊本市の慶徳小学校

 ベルマーク教育助成財団は、病気で入院し病院内の教室で勉強している子どもたちに、ノートパソコン、自習用ソフト、プリンター、パソコンラックを贈りました。全国4カ所のうち、熊本市の熊本大学医学部付属病院にある市立慶徳小学校の院内学級を訪ねました。
ベルマーク運動からの贈り物のパソコンで算数を学ぶ5年生と、藤山尚子教諭。左奥は6年生=熊本市の熊本大学医学部付属病院の慶徳小学校院内教室で 「きょうは何人来るかしら」。病棟2階の教室で毎朝、担任の藤山尚子教諭は、こう思うそうです。同病院には、学級に在籍する1〜6年生8人が入院していますが、体調や治療の都合などで、通ってくる子どもたちの顔ぶれは、日によってまちまちです。連休明けの9月24日朝は、5、6年生の女児2人がやって来ました。「Aちゃん、来たの。元気そうねBちゃん」と藤山先生は、うれしそうです。
 教室では、月曜は1週置きに「学級活動」「自立活動」。火曜〜金曜は、午前9時半から午前11時50分まで、国語、算数、理科、社会のうち3教科の各40分授業があります。午後は、教室に通えなかった子どもたちの病室に藤山先生が出向いて、「ベッドサイド」授業を行います。
 この日の1時間目は、算数です。5年生は、設定を終えたばかりのパソコンで、小数点のある数字の掛け算に取り組みました。「算数は苦手」だそうですが、画面に出る「筆算式」に合わせて数字をクリック、次々と計算していきます。答えの正誤は、画面に「○×」が表示されるので、「予習や復習にぴったり。子どもたちが意欲を持って使ってほしい」と藤山先生。
 「ベッドサイド」授業でもノートパソコンは、役立ちそうです。教室にあるデスクトップパソコンは、持ち運べません。病室の子どもたちは、動物や植物などに手を触れることができないため、藤山先生は「インターネットや自習用ソフトで、子どもたちと外の世界とのつながりが保てればよいのですが」と話しています。
 慶徳小学校は、熊大病院のほか市内の4病院にも院内学級を設けています。県内外の子どもたちが在籍し、多いときは20人を超えることもあるそうです。専任の5人の先生がローテーションで5教室を担当しています。
 学校は、交通センターや市民会館に近く、路面電車がすぐそばを走る市街地の真ん中にあります。かつては、児童数が1000人を超えた時期もありましたが、ドーナッツ化現象で、現在は1学年1クラスの約130人です。1995年に建て替えられた校舎は、鉄筋5階建て。体育館が3階にあり、5階には開閉屋根式で、水深が自由に変えられるプールがある、全国でも珍しい校舎の小学校です。
 森川和憲校長は、へき地学校勤務時に財団から教材を贈られたことがあったそうです。9月14日発行の「学校だより(けいとくの里)」に、当時の思い出にふれ、今回の院内学級への寄贈を紹介しています。

《写真》ベルマーク運動からの贈り物のパソコンで算数を学ぶ5年生と、藤山尚子教諭。左奥は6年生=熊本市の熊本大学医学部付属病院の慶徳小学校院内教室で

(2009/09/28)

佐賀県馬渡小中学校に14種類の教材  8月からベルマークに参加

 佐賀県唐津市沖に浮かぶ馬渡(まだら)島の馬渡小中学校(岡哲也校長、59人)に、ベルマーク教育助成財団から14種類18点のへき地援助のプレゼントが届きました。生物顕微学習サイコロで文字をつくります。真剣だが楽しそう=佐賀県馬渡島の馬渡小中学校で鏡、手回し発電機、ギター、ハードル、ソフトボール、ひらがな学習サイコロ、漢字ゲーム……。理科や体育、音楽、国語の授業で使う教材がいっぱい。援助校が希望する品物は、ここ数年、デジタルカメラやプリンター、地上デジタルテレビなどの電子機器類が目立ちます。馬渡小中学校は「担任と各教科の先生から、教材に絞って希望を募り、調整した」結果だそうです。
 学校は午前8時始業、8時10分から「朝の活動」の時間、8時40分に授業が始まります。「朝の活動」は、読書や計算など日替わりメニューです。小学1・2年生の教室で、届いたばかりのひらがな学習サイコロと漢字ゲームを使った「朝の活動」が始まりました。
 1年生3人、2年生5人が2グループに分かれ、1、2年混成の5人は学習サイコロに挑戦。サイコロには6面にひらがな1字が書かれ、全部で24個あります。サイコロを並べて、まず一つの言葉をつくり、しりとりのように次々と文字を伸ばしていきます。ほとんどの児童は、まず自分の名前を並べ、その中の1字につなげて、動物や植物の名前をつくりました。
 2年生3人は、漢字ゲームです。偏と作りが書かれたばらばらのカードを組み合わせて漢字を完成させます。教室のあちこちで「うーん、むずかしいね」「できたぞ」。みんな真剣な表情ですが、ゲーム感覚で楽しそうにも見えます。担任の山本光子先生が「よく頑張りました。楽しかったね」。田邉理(たなべ・おさむ)教頭は「せっかくのプレゼントだから、大事に使って、勉強に役立てましょう」と話しました。
緑いっぱいの馬渡島。港から学校=写真中央、山の中腹の白い建物が見えます 馬渡小中学校は、今年8月からベルマーク運動に参加しました。今年4月に赴任した田邉教頭の疑問がきっかけです。これまでの勤務校は、どこもベルマークに参加していたため、馬渡小中学校も参加しているものと思っていましたが、取り組みが活発ではないと感じて、財団に問い合わせると、不参加が分かり、参加することにしたそうです。今回のプレゼントは、学校だよりなどで保護者に知らせ、ベルマーク運動への協力も呼びかけるそうです。
 学校のある馬渡島は、唐津市呼子港から約14キロの玄界灘にあり、1日4往復の定期船が約40分で結んでいます。周囲は約13キロ、佐賀県では最大の島で、住民は約510人。漁業と農業が中心です。島名の由来は、斑(まだら)島が書き改められたとも、大陸から最初に「馬が渡った島」とも言われています。

《写真上から》
・学習サイコロで文字をつくります。真剣だが楽しそう=佐賀県馬渡島の馬渡小中学校で
・緑いっぱいの馬渡島。港から学校 =写真中央、山の中腹の白い建物= が見えます


(2009/09/25)

贈られた掃除機で清掃作業の実習  盛岡峰南高等支援学校

 盛岡市にある岩手県立盛岡峰南高等支援学校(門馬経臣校長)は知的な障がいのある生徒152人が学び、職業教育も受けている県内唯一の高等部だけの学校で、この春盛岡高等養護学校から名前が変わったばかりです。同校にベルマーク教育助成財団から掃除機9台が届きました。学科再編で生まれた流通・サービス科で清掃やビルメンテナンスなどの授業に活用するためです。
贈られた掃除機が早速清掃の授業で使われました 1年生の清掃の授業をのぞくと、掃除機を使って音楽室のカーペットの掃除を実習中でした。学科主任の長山菊雄教諭ら2人が、「ホコリが一番たまるのはどこ?」「私はこんどここをやるよ、と声をかけよう」などと、生徒5人に丁寧に指導していきます。廊下ではモップを使って床磨きをしていました。
 1998年に開校した同校には普通科と職業学科がありますが、普通科は今年から募集をやめており、2年後には職業科だけになります。職業科は農産技術(農業、園芸)、加工生産(木工、窯業)、生活科学(クリーニング、縫製デザイン)、流通・サービス(印刷・事務、清掃)の4科があり、1年生は全ての教科の基礎を学んだ後、所属は2年進級時に決まります。
 職業科では実際に仕事をしている専門家に来てもらうことが多く、清掃作業では盛岡市内のビルメンテナンス会社の経営者から指導を受けています。ホテル、スーパーなどで実際に目にする機会が多いせいか、生徒に人気があるそうです。「頂いた掃除機は業務用も6台あり、大変ありがたいです。職業教育に有効に生かしたい」。菅原和子副校長、長山教諭は口をそろえていました。
生徒たちが作った湯飲みや茶碗=いずれも盛岡峰南高等支援学校で 不況で就職率が下がっていることが同校の悩みの種で、昨年度は66%に下がり、今年度は内定第1号が出たばかりです。全国でも低水準の岩手県の求人倍率が背景にあります。しかし生徒たちが作ったコーヒーカップ、バッグに印刷したロゴ、裂き織り製のコースターやバッグ、などの品物は、「輝工房」ブランドとして道の駅、高速道のサービスエリアなどで売られており、技術は折り紙付きです。毎年11月の文化祭でも、生徒たちが作った農産物や織物、花瓶などを販売し好評ですが、今年からは常設の店舗「ほうなんドットコム」を校内にオープンする予定です。
 岩手のシンボル、雄大な岩手山を間近に臨み、校内の花壇では生徒が丹精込めた赤いサルビアが鮮やかでした。半数の生徒が寄宿舎で学んでおり、寄宿舎の夏祭りには地域の方が見え、遅くまで一緒にさんさ踊りを踊ります。見学者も年100組近くあるそうです。生徒たちは、近くの盛岡南インターの花壇の草取り、植え替えや公民館の掃除などをしています。

《写真上から》
・贈られた掃除機が早速清掃の授業で使われました
・生徒たちが作った湯飲みや茶碗=いずれも盛岡峰南高等支援学校で


(2009/09/16)

デジタル顕微鏡に感激  静岡市清水中河内小に実験器具など届く

 静岡市清水区の市立清水中河内(しみずなかごうち)小学校(山梨譲二校長、児童43人)に、ベルマーク教育助成財団から援助の品が届けられました。理科の授業で使う最新式のデジタル生物顕微鏡、振り子実験器、直流電源装置と、低学年用のおはじきセットです。
振り子実験器を囲む子どもたち もちろん、顕微鏡は今も学校にありますが、届いたのはメダカの血液の流れも見られるような最新式で、パソコンに接続してパソコンの画面に映し出すことができます。花粉なども、見え方が全然違うそうです。子どもたちは梱包を解きながら「むちゃハイテクだ!」と興奮気味でした。
 直流電源装置は、これまで学校にあった古くて形が大きいものから、小型で高性能の装置になりました。
 振り子の実験は、新学習指導要領で新しく教えることになったために希望したといいます。5・6年生担任の滝根京子先生は「大きい実験器なら驚きも大きいだろうと思いました」と話していました。
 おはじきセットは1、2年生の算数の授業で使います。同小では、入学時でも一人ひとりはおはじきセットを買わず、代々子どもたちが使ったものを引き継いでいます。最近、数が足りなくなってきていたため、先生方は「これで当分は大丈夫」と一安心です。
 2003年に静岡市と合併した旧清水市は、港とお茶、次郎長、最近はエスパルス(サッカー)が有名です。政令指定都市と聞けば都会を連想しますが、中河内地区は東海道線清水駅から十数キロ北に位置する自然豊かな山里で、興津川の支流である中河内川沿いに南北約8キロにわたって集落が散在しています。背後に控える山々の尾根の向こうは山梨県です。
最新式のデジタル生物顕微鏡に「ハイテクだ!」と感激=いずれも静岡市清水区の清水中河内小学校で 興津川は南関東と静岡、愛知県内でアユ漁の解禁が最も早い川で、5月20日の解禁日には全国から数多くの釣り愛好家が訪れます。また川霧が良質のお茶を育てるため、周辺に茶畑が広がっています。
 児童数の減少で、学校は06年から複式学級を設置しました。しかし、複式解消非常勤講師を配置して主要4教科(国語、算数、社会、理科)は単式で指導するなど工夫しています。児童数が少ない分、1年生から6年生までみな仲良しで、地域の人たちも協力的。「(子どもたちは)地域と自然に育てられています」と山梨校長は話しています。

《写真上から》
・振り子実験器を囲む子どもたち
・最新式のデジタル生物顕微鏡に「ハイテクだ!」と感激=いずれも静岡市清水区の清水中河内小学校で


(2009/09/16)

ピクチャーカード使い英語学ぶ  埼玉県大滝小学校に援助の品々

ピクチャーカードを使った授業に子どもたちは夢中です
  「ソーセージ」、「サンドイッチ」。先生が食べ物などの絵と、その英語表記を書いたカードを見せると、指名された子どもたちが次々に英語で答えていきます。「トマト」、「ノー、トメィトゥ」。すかさず先生から発音を直されます。埼玉県秩父市立大滝小学校(大澤孝作校長)で、9月11日、ベルマーク教育助成財団から届いた英語ピクチャーカードを使った初めての授業が5、6年生に行われました。
 英語ピクチャーカードは、2011年から始まる新しい学習指導要領では小学校高学年で外国語活動が新設になることから希望が多かった品物のひとつです。大滝小では総合的な学習の時間の中で国際理解の時間を取っています。ALT(英語助手)の英国人デビッド・レイシーさんが年20回以上教えています。オムライスはイギリスにありますか、という質問に「ないね」とレイシーさん。どうしてという疑問には「ライス=コメを食べないから」「何を食べるの」「ブレッド」。子どもたちはうなずき食生活の違いも理解していきます。贈られた図書を早速読みます。すっかり本の世界に入りましたレイシーさんは、絵が面白く出来ているし、カードは使いやすい、と感想。子どもたちにも面白いと好評だったようです。
 同小にはピクチャーカードの他、電子黒板装置、図書5冊、ドッジボールやタグラグビーボール4個、ビート板8個などが届きました。使い古したりしたものが多く、新しいものに替えるため希望しました。パソコンと接続出来る電子黒板装置は使い方を研修中です。大澤校長は「へき地校は予算が限られがちなので、ベルマークからの援助は大変ありがたい。子どもたちと大切に使います」と話していました。
 秩父鉄道の終点三峯駅から車で約15分、標高430メートルの高台にある同小は創立137年を迎えましたが、20年前100人を超えた児童は現在20人となり、今年は初めて新入生ゼロでした。大滝中学校とともに埼玉県内2校のへき地学校です。校舎入り口には統合になった上長尾、中津川、小倉沢、光岩小学校の校名が飾られ、校舎の壁は地元大滝産のヒノキ張りです。スクールバス通学での運動不足を補おうと週2回朝、校庭を走るさわやかマラソンをしていますが、地域の方も歩け歩けクラブを作り参加しています。また全校生で伝統芸能「大輪ばやし」の練習をしています。訪れた日はちょうど翌日12日の運動会を前に練習の真っ最中で、校庭に子どもたちの元気な声が響いていました。
「がんばれ」。運動会のリレー練習が行われていました=いずれも埼玉県秩父市の大滝小学校で


《写真上から》
・ピクチャーカードを使った授業に子どもたちは夢中です
・贈られた図書を早速読みます。すっかり本の世界に入りました
・「がんばれ」。運動会のリレー練習が行われていました=いずれも埼玉県秩父市の大滝小学校で


(2009/09/16)

ドラムなど援助品を児童に披露  豪雨被災1カ月の兵庫県幕山小

 兵庫県佐用町の幕山小学校(矢野博之校長、37人)で9月9日、ベルマーク教育助成財団から、へき地援助で贈られたドラムセット、英語学習機材などが全児童に披露されました。この日は、1年生が死亡、4年生が行方不明になった台風9号による豪雨被害から1カ月目。先生や生徒は「ドラムがきたので、これから自前で練習できます」と喜んでいました。
ベルマーク財団から贈られたドラムセットなど援助品の前に全児童が並び記念撮影=兵庫県佐用町の幕山小学校で
 援助品は、ドラムセット(8万4000円)のほかは、英語学習用の英語ピクチャーカード、理科の発表などに使うプリンターカラリオ、掃除機など。
 9月9日の伝達式には梱包をほどき、体育館の壇上に置かれていました。矢野校長から報告があり、児童は感謝の意を込めて校歌を斉唱。児童を代表して6年、森口令さんは「英語の学習などに使わせてもらいます。ありがとうございました」とお礼を述べ、最後に寄贈品の前に全児童が並び記念撮影しました。
 ドラムセットは同校が希望していたもので、先生たちは「品物も予想以上に良い。これまでは他校から借りるなどしてやり繰りしてきましたので大変ありがたい。(11月予定の町内の)音楽会が楽しみです」「大きな音が出る楽器は、児童数が少ないのをカバー出来るので助かります」などと話していました。
 台風9号で最も被害が大きかったのが18人が犠牲になった佐用町です。町営住宅から幕山小学校(左上方)に避難する途中、児童らが被災した用水路には花、団子などが供えられていました=佐用町本郷で中でも幕山小学校は、町営住宅の家族が同校に避難する途中、増水した用水路に流されるという悲劇が起きました。町営住宅と小学校の中間にある狭い用水路の側に、花と団子、水などが供えられていました。
 8月26日、新学期が始まりましたが、児童の精神的ケアが課題です。同28日には神戸市の舞子高校環境防災科の生徒・卒業生が同校を訪れ、子どもたちと一緒に遊んでくれました。学校便り9月号には、阪神・淡路大震災で父親を亡くしたという舞子高女生徒からの手紙を全文載せ、編集後記に、発行する気分がなえていましたが、高校生の支援、お手紙をいただき、こういう時期だからこそ地域の皆さまに紹介する必要があると考えました、と記しています。

《写真上から》
・ベルマーク財団から贈られたドラムセットなど援助品の前に全児童が並び記念撮影=兵庫県佐用町の幕山小学校で
・町営住宅から幕山小学校(左上方)に避難する途中、児童らが被災した用水路には花、団子などが供えられていました=佐用町本郷で


(2009/09/15)

郷土の誇り「阿波踊り」に挑戦  援助の三味線で徳島県・重清北小学校

 児童3人の徳島県美馬市立重清北小学校(藤井伊佐子校長)に、ベルマーク教育助成財団からのへき地校援助で、三味線3棹(さお)が届きました。子どもたちは9月8日、阿波踊りの鳴り物名手や「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ」の「よしこの」節の歌い手から直接指導を受け、゛郷土の誇り゛に挑戦しました。
児童3人は、安藤さん(左端)と森さん(中央奥)の指導を受けながら、初めて三味線に挑戦しました=徳島県美馬市立重清北小学校で 援助品は児童用エンジョイ三味線(1棹1万7800円)や学校教育用筝(そう)セット(7万円)などです。同校は今年度、文化庁の「学校への芸術家等派遣事業」の指定を受け、伝統芸能の阿波踊りへの理解を深めると同時に、鳴り物などの実技にも取り組むことになりました。今回の援助は、ちょうど良いタイミングだったわけです。
 お師匠さんは安藤正会さん。阿波踊り連で最大といわれる「娯茶平」メンバーで6歳から始め25年。鳴り物の名手で結成された「藍吹雪」で、三味線と「よしこの」節の歌い手として活躍、徳島を舞台にした映画「眉山」にも安藤さんの三味線、唄声が流れました。
 今回、安藤さんとともに指導に当った森一功さん(61)は阿波踊り歴43年。有名な「阿呆連」に所属し、「藍吹雪」の代表も務めています。
 指導を受けるのは6年の西岡美香さん、藤本まりさん、5年加藤亜惟さん。来春に休校になるので、3人が揃うのが今年度限り。
 3人は9月8日、安藤さん、森さんと初顔合わせ。安藤さんから扱い方、弾き方などの基本を教わりました。安藤さんが「レレレレドドレドレ」と口ずさみながら弾く三味線に合わせ、何度も反復練習しました。
 途中、安藤さんは、「阿波踊りの三味線を弾いてみようか」と実演。
 「あ〜ら、えらいやっちゃ、えらいやっちゃ、よいよいよいよい、踊る阿呆に見る阿呆」
 見事な「ばちさばき」と軽快なリズム、朗々とした唄声、子どもたちは「すごい」と聴き入っていました。
 初めて三味線に触る子どもたちの感想は「難しいです」。安藤さんは「弾けたら面白くなります。頑張ってください」と話していました。
 安藤さんらによる指導は年3回ほどですが、今後は三味線のほか「よしこの」節の唄いや女踊りなどの実技も受ける予定です。

《写真》児童3人は、安藤さん(左端)と森さん(中央奥)の指導を受けながら、初めて三味線に挑戦しました=徳島県美馬市立重清北小学校で

(2009/09/15)

離島の小学校に子どもたちの歓声  鹿児島・馬根小に卓球台や一輪車

組み立てた新しい一輪車にまたがり、にっこり 「わあー、すごい、すごい」「先生!早く開けて見せて」――鹿児島県の徳之島にある伊仙町立馬根(ばね)小学校の図書室に、子供たちの興奮した声が響きました。へき地校援助で希望した品物がベルマーク教育助成財団から届き、9月9日に披露されたときのことです。
 馬根小学校(竹崎俊一校長)は児童8人、複式学級の学校です。今回、へき地援助で贈られた設備品は、卓球台と用具一式、一輪車4台、サッカーボールやソフトバレーボール、絵本セット、竹馬6組、DVDレコーダーと多種多彩です。「これまで自分で買った一輪車を持って来る子がいたり、卓球台も古くなったりして……。それで今の時勢では町の設備予算ではなかなか買ってもらえないものを、と先生たちで話し合って決めさせてもらいました。」と校長先生。
 だから子供たちは、どんなものが届いたのか知りません。授業が始まる前、図書室に集合した子供たちの前には「お母さんとおともだちからの贈りもの」のベルマークシ卓球台でさっそく試し打ちールが張られた箱が並んでいます。「今日はうれしいお知らせがあります。学習や運動に役立ててほしいと、ベルマークからたくさんの品物が届きました。今から開けてみましょう」。校長先生のお話のあと、いよいよ開封が始まりました。
 先生が箱を開くと、すぐに「あっ、タイヤだ、一輪車だ」。待ちきれずにかけより、一緒に引っ張り出してみんなで組み立て作業が始まりました。「ペダルはどうやってつけるん? 難しいなー」「そっちを抑えといて」。大騒ぎです。一輪車の組み立てが完成すると、次は竹馬です。1組を組み立ててさっそく交互に乗ってみます。続いて絵本。真新しいサッカーボールが出てくると、男の子たちの目の色が変わりました。「すごい、すごい」の連発です。もう抱きしめて放しません。
 最後は卓球台のお披露目。隣接する馬根幼稚園の遊戯室にみんなで移動です。幼稚園は、いま入園者がおらず休園中、格好の卓球室になります。ここでもみんなで荷ほどきです。あっという間にネットも張られて準備OK。「やってみるか」。先生の声に「やるやる」。代わる代わるラケットを持って、挑戦です。1人がサーブで空振りすると、みんながおなかを抱えて大笑いです。
思い思いの道具を持って勢揃いした8人の全校児童
  「こんなに子供たちが喜ぶとは……。想像以上でした。子供たちのニーズにあった品物だったようです。よかった」と校長先生。休み時間には、さっそく思い思いの道具を持ち出して元気いっぱいに遊び、笑顔がはじけていました。
 伊仙町は、鹿児島から飛行機で約1時間、徳之島の南西部にある人口約8000人の「長寿と闘牛のまち」です。馬根小学校は少し山間部にあり、周囲にはサトウキビ畑がたくさんあって風に揺れていました。学校でもサトウキビを栽培していて、子供たちも秋には刈り取りから黒糖づくりまで体験するそうです。校庭の真ん中に「バネバネの木」と名付けられた琉球マツの大木がどーんと立ち、木陰は青空読書の教室になったりもします。
馬根小学校の全景。運動場の真ん中にシンボルのマツが立っています=いずれも鹿児島県伊仙町馬根小学校で ピーク時には100人ほどの子供たちが通っていたそうですが、今は2年生がおらず、来年は今のところ新入生の予定もないそうです。でも、子供たちに暗さはありません。みんな仲良しで明るく、元気いっぱいです。下校時には、子供たちが職員室や教室に声をかけて帰ります。「教頭先生!ジャンケン」、「校長先生!ジャンケン」。先生たちも「ぽい!」と応えます。全員とかわすジャンケンが、「さようなら」のあいさつ代わりになっているそうです。

《写真上から》
・組み立てた新しい一輪車にまたがり、にっこり
・卓球台でさっそく試し打ち
・思い思いの道具を持って勢揃いした8人の全校児童
・馬根小学校の全景。運動場の真ん中にシンボルのマツが立っています=いずれも鹿児島県伊仙町馬根小学校で


(2009/09/15)