
伊豆諸島のひとつ、東京都新島村にある新島小学校(市川英俊校長、105人)へ、ベルマーク運動から一輪車3台とビデオカメラ、プリンターカラリオ、逆上がり補助器、ドッチボール6個が届きました。2007年に若郷小学校と統廃合した、新島でただ1つの学校です。
10月にお訪ねした日は、3年生16人が一輪車の日頃の練習成果を披露してくれました。担任の寺内崇先生から「今日は何の演技をしたい」との問いに、児童からは「スーパー大車輪」「シンデレラループ」などの答え。初めて挑戦する大技の演技もあり、失敗しても繰り返しおこないます。演技を始める前、全員が声をそろえて言葉を掛け合います。うまくいかない時は、何が悪かったかを自分たちで考え、集中します。たとえ1人が失敗しても手をはなさず、仲間を支え合います。

うまくできたときは、嬉しさいっぱいの笑顔が輝いてみえます。最後に子どもたちから、「一輪車をありがとうございました。おかげで運動会の時も成功しました。わたしたちは、力を合わせてがんばります」などのお礼の手紙をいただきました。
新島小では、3、4年生全員が本格的に一輪車に取り組んで2年目です。以前の若郷小が約10年にわたり、全校児童で一輪車に乗る練習に励んでいたことを大切に受け継ごうと、始まりました。市川校長は「援助のおかげで不足していた3台を加え、全員の一輪車が揃いました。ありがたいことです」と感謝の気持ちを話していました。
3年生(18人)は、体育の授業のほか毎週火曜日の総合学習の時間を使い「乗ってみよう4月」、「技を磨こう6月」などと目標をたて、運動会に向けて練習に励みます。4年生(18人)は、さらに高度な技を目指して体育の授業の他、休み時間や放課後も積極的に練習しています。
9月27日にあった運動会では、数々の演技に36人の子どもたちが取り組み、力を出し切りました。練習では1度も成功しなかった技「シンデレラループ」を、4年生が見事に成功させた時は、保護者や地域の方々、先生方、児童からひときわ大きな拍手や歓声があったそうです。寺内先生は、学級だよりに「輝いた子どもたちの顔を見て、思わず目頭が熱くなった」と書いています。こうした様子は、常時更新されている新島小ホームページ http://www.niijima.com/niisyo/で分かります。

同小では、島の人から親しまれた「飛騨んじい」こと「上木甚兵衛さん」の縁で、故郷である岐阜県高山市の荘川小学校と「山の子海の子交流」を行っています。30回目となる今年も、7月20日から3日間、荘川小6年生(11人)と新島小6年生(16人)が、ゲームをしたり、真っ青な海で泳ぎ「すいか割」やバーベキューなどで楽しく過ごしたそうです。
「甚兵衛さん」は、島流しになった流人でしたが、島の子どもたちに読み書きを教え、お寺に寄付をするなどして、慕われていました。島の人は、流人に暖かく接し、新島の土になった人々のお墓に、今でも花をたむけているそうです。このような心温まる伝統が、子どもたちにも受け継がれており、新島小の6年生は毎朝、「甚兵衛さん」のお墓に行き掃除をして、線香をたてているそうです。飛騨高山でも伝説のお話で、荘川小の児童も「甚兵衛さん」のお墓参りをします。
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新島は、人口約3,000人、サーファーや海水浴客などの観光とアカイカやイセエビ漁業のほかに特産物「くさや」が有名です。東京竹芝桟橋から大型客船と超高速ジェット船が就航。高速ジェット船は、所要時間2時間40分とアクセスしやすくなっています。
島の地質は流紋岩が多いことから、島全体が白い砂浜に囲まれていて、紺碧の海とのコントラストがとても美しいところです。また、この島で採掘される抗火石(こうかせき)を使い、人々が作り出した「モヤイ像」が島の至る所にあります。この「モヤイ」とは、島の方言で「力を合わせる」という意味だそうです。
《写真上から》
・連日の練習で真っ黒。大技を披露してくれた3年生の笑顔は輝いています。左側は市川校長と最後列、寺内先生です
・女の子だけで「シンデレラループ」に挑戦。大成功でした
・運動会で最高の盛り上がり。見事な演技に拍手、喝采でした(新島小提供)
・休み時間、木の周りに集まり木登りする子やぶらさがる子。学校のシンボル「イチョウの木」は魅力的な遊び場です=いずれも東京都新島村新島小学校で
(2008/10/31)
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