コラム



「引きこもり」やめて「人助け」に出よう

ベルマーク教育助成財団常務理事 森田秀男
 「引きこもりや不登校が、これほど多発しているのは日本だけ」。先日伺った、精神科医師Aさんのお話は衝撃的でした。
 わが国でいま「引きこもり」は、「少なくとも160万人」とも、「300万人以上いる」ともいわれます。不登校の方も、「20並木路01(平成13)年度で全国の小中学校の57.6%に不登校児童が約14万人」(文部科学省調べ)。ことは深刻です。
 では、なぜ、わが国に「引きこもりや不登校」が多発するのか?
 それを考えるヒントとして、Aさんが引き合いに出したのが、OECD(経済開発協力機構)の「社会的孤立の状況」調査の結果でした。「家族以外の人間と全く、あるいはめったに付き合わないと答えた人の比率」を国別比較したものですが、なんとそこで、わが国は15.3%が「付き合わない」。加盟20カ国中、ダントツのトップ。韓国7.5%、米国3.3%…世界的に見て、「相当、人付き合いが悪い国民」であることになります。
 他の調査でも、同様な傾向が出ているそうで、つまり、日本人の「内向き」指向が、「引きこもり」の要因になっているようなのです。
 確かに、「人付き合い」しなくたって、別に困りゃしない。家族だけで楽しくやればいいじゃない。そんな考え方もできるような世の中です。でも、それで本当にいいのでしょうか?
 ここで、気になる統計資料をもう一つ。「社会的援助の国際比較」(ギャロップ世界世論調査)。「困っている見知らぬ人に、先月、あなたは手助けしましたか?」に答えた人の比率を比較したものです。
 日本は22.7%が「イエス」。カナダ66.0%、米国65.5%を筆頭に、韓国41.6%、中国40.5%・・・と、ここでも残念ながらワースト・ワンでした。
 つまり、「人付き合い」もしないけど、「人助け」もしない。いつの間にか、そんな国民になってしまったようです。
 1日から、「引きこもり」からの脱却を支援する「子ども・若者育成支援推進法」が、施行されました。「人付き合い」や「人助け」について考える良い機会にしたいものです。

(2010/04/09)