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記事目次
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大学や公民館もベルの仲間に 参加団体拡大へ寄付行為変更
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大学で勉強している学生も、公民館などで生涯学習に取り組んでいる中高年の方々もベルマーク運動へ参加できることになりました――ベルマーク運動の参加団体は財団寄付行為第5条でPTAを対象とすると定められてきましたが、財団は3月の理事会・評議員会で規約の改定を承認、同月8日に文部科学省に参加資格を拡大する変更申請を提出、4月21日付で大臣認可が下り、24日に認可書の交付を受けました。これによりベルマークは世代を超えた多くの人たちに支えられる運動となりました。
新たに参加資格が与えられたのは、@大学や短期大学などこれまでPTAがなかったため参加できなかった学校A公民館や生涯学習センターなどの社会教育施設――などの学習団体です。PTA以外の団体に参加資格が与えられるのは1960年のベルマーク運動発足以来のことで、46年ぶりの改革となります。 今回の改革のきっかけになったのは少子高齢化の進展です。ベルマーク運動の参加団体数は今年3月には2万8214校と、昨年3月末に比べ100校増えており、右肩上がりが続いています。しかしながら、参加PTAの世帯数は1988年度の1290万世帯がピークで、現在は910万世帯強にまで減少しています。PTA世帯の減少はベルマーク集票点数の減少を招き、集票点数の減少は、へき地の学校等への援助額の減少をもたらしています。 少子高齢化は今後も続きます。国の人口動態推計によると、14歳以下の年少人口は2010年代の後半には75歳以上の後期老年人口にも追い抜かれる見通しです。このため、今後ベルマーク運動を維持・発展させるためには、参加団体の拡大が不可欠なのです。 今回、新たに参加資格が与えられる大学生は現在、286万5000人おり、史上最高です。また、公民館で生涯学習に取り組んでいる人は、34万学級・講座、1000万人を超えています。この人数は毎年増え続けており、特に2007年から「団塊の世代」が定年を迎えると急増すると見られます。若いころにベルマークを集めた経験者も多く、ベルマーク運動に参加することで、新たな生きがいを見つけてもらいたいと願っています。 ベルマークでは5月9日から6月30日まで、ベルマーク運動説明会」を全国92都市で101回開きます。参加団体以外のみなさんでも運動に関心のある方はご参加ください。 |
「ベルマークは教育財源です」
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4月21日、ベルマーク運動への参加枠が拡大され、5月に入り、最初に参加の名乗りをあげてきたのは、埼玉県蕨市立東公民館(冨士田始館長)でした。
東公民館はJR蕨駅から歩いて20分くらいの閑静な住宅街の「蕨市塚越コミュニティ・センター」の中にあります。6月16日、東公民館を訪ねました。 参加のきっかけとなったのは、コミュニティ・センター所長であり公民館長の冨士田さんが、文部科学大臣の認可後に「参加枠拡大」を伝えたベルマーク・ホームページと購読している朝日新聞のニュースで知ったことでした。 冨士田さんは、「公民館では地域の青少年の健全育成に取り組んでいますので、ボランティア性の高いベルマーク運動等のホームページは、常にチェックしています。参加枠の拡大は朗報でした。『それなら私たちも運動に参加できるか』と思ったわけです。そこで、地域市民で構成されている、塚越地区学習連絡会(委員41人)会長の高松とし枝さんに相談したところ『地域と子どもが一体になれるよい運動だと思います。そこで、生涯学習連絡会の会議にかけましょう』ということになり、参加の運びとなりました」と話しました。 高松さんは、「ベルマークは教育財源です。それを皆さんと一緒に集めて社会に還元することはすばらしいことです。私も子どもが学校に通っていたころ、ベルマークを体験しました。運動は盛り上がると思いますよ。財団がすすめている国内外の子どもたちを助ける友愛援助に力を入れてゆきたいと思います。さらに活動を進めるにあたり、学校と競合しない関係をつくりたい」、「昨晩、遅くまで活動の母体となる塚越地区生涯学習連絡会を開き、市内から集まった人たちに参加を提案、議論の末、賛同が得られました」と、笑顔ではなしてくれました。 (2006/07/20-1) |
ベルも生涯学習時代 学校と中高年世代の共存共栄
ベルマーク財団理事長 齋藤 諦淳さん
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今まで学校のPTAだけに限られていたベルマーク運動が、公民館や大学も、参加できるようになった。ベルマーク教育助成財団の運動参加規約が改定され、参加団体としては、埼玉県の蕨市東公民館が名乗りを上げました。いよいよベルマーク運動も生涯学習時代の幕開けとなる。
成長が終わり、経済、社会の成熟の時代に突入した平成のはじめから、教育の分野では生涯学習が表舞台に出てきた。「偏差値君さようなら」の標語とともに文教で生涯学習が基本的な政策となり、それまでの学校中心の教育体系からの脱皮が唱えられた。 趣味、実益、教養をもとめての集まりや学習活動が盛況であるし、団塊世代の引退組の生きがいや、地域社会での悲惨な事件を契機にコミュニティーの再生が求められる。後世、成熟社会の平成の教育は学校から生涯学習へシフトした時代といわれることは間違いない。 ベルマークがそれまでの小中高の活動から大学や短大あるいは公民館などまで枠を広げたのは、まさに時宜に即している。 いい年をしたおじさんたちが子どもと競争で、自分たちの高齢者学級の設備のためのベルマーク集めにやっきになる。子どもに負けまいと母親がPTAのことをすっかり忘れて、婦人団体のベルマークに熱中する。少し行きすぎではないか、というようなことが問題になってきたら、そのときは生涯学習時代のベルマーク参入が成功したといえる。 なお、誤解があってはいけないのでコメントしておきたいが、いずれにしても、ベルマークで購入する設備代金の1割が協力会社(設備品を販売している)から割り戻され、これを参加団体が寄付することで、へき地学校等に助成するベルマーク本来の仕組みは従来と変わらない。 あくまでも自分たちで集票して、自分たちのための設備を整備し、それと同時に一定割合を学校への助成に貢献するというのが、ベルマーク運動のボランティアの優れた仕組みである。その制度は従来のままに機能する。学校も生涯学習も共存共栄でベルマーク運動が盛んになることを祈りたい。 (武蔵野大学学長) (2006/07/20-2) |
市民運動の質を高める契機に
ベルマーク教育助成財団理事・木原 啓吉さん
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ベルマーク運動への参加団体は、小中高校のPTAに限られていたが、このほど「ベルマーク教育助成財団」の参加規約が改定された。新学期から大学、短大、高等専門学校、専修学校などの学習組織や研究会、それに公民館や生涯学習センターなどの講座・学級、福祉団体の老人大学などへと拡大された。
1960年に設立されたベルマーク運動は46年を迎えた今年、更なる発展への大きな土台が築かれたといえよう。 ベルマーク運動には、現在、全国の小中高校など2万8千校のPTAが参加している。協賛会社の商品に付けられたベルマーク点数を集めると、1点が1円で学校ごとの預金となる。この預金で自分たちの学校に必要な備品や教材を協力会社から購入すると、購入価格の10%の割り戻しがある。その割戻金をPTAが財団に寄付をする。それが援助資金となって、へき地学校や養護学校、病院内学級、ろう学校、盲学校、災害被災校、海外日本人学校、アジア・アフリカの途上国の子供たちのための援助資金として使われている。このようにPTAと協賛・協力会社と財団がスクラムを組み、教育環境を豊かにするボランティア活動が展開されているのだ。 2004年には、このベルマーク運動に新たな要素が加わった。児童、生徒が自宅から使用済みのインクカートリッジを学校に持ち寄って、指定の協賛会社が回収すると、そのサービスについてベルマーク点数が受けられる仕組み。PTAによる新しい資源回収の環境保護活動だ。 そして、今年2006年からベルマーク運動は、社会の少子高齢化が進むなかで、それまでの小中高校から大学や公民館、生涯学習センターなどへと活動の枠を広げたのである。まさに画期的なことである。 かつてわが子の通う小中学校のPTAで、ベルマーク活動に熱中していた父母のなかには、現在、趣味と実益と教養を求めて公民館などでの生涯学習を受けている人たちが多い。また、その親たちとともにベルマークの集票活動の意義と楽しさを学んだ少年少女が、今では大学生として、あるいは社会人として地域の環境問題に関心を示し、市民運動に従事している人がいる。 こうした人々にとって再びめぐりあうベルマーク運動は、彼らの情熱を呼び覚まし、わが国の市民運動の質を高める契機になるだろう。 (江戸川大学、千葉大学各名誉教授) (2006/07/20-3) |
学生と職員の連携が不可欠
ベルマーク教育助成財団評議員・芦葉 浪久さん
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ベルマーク新聞を読むと、ベルマーク運動という言葉が随所に出てきます。ベルマーク運動というと、PTAの通称ベルママがベルマークを集め、それを処理してベルマーク財団に送るのが、主体となっています。去年の都道府県別集票点数のベスト20をみると、その大部分は小学校です。小学校はこの活動が単に学校だけでなく、町内会や商店会や地域の人たちも参加して取り組んでいることが、多くの票を集める原因になっています。
06年度からは、新たに大学や公民館などが参加できることになりました。こういうことを予測して、以前に大学でうまくいくかを確かめてみることになり、当時、私が学部長をやっていた十文字女子大学社会情報学部でやってみることになりました。私の秘書を以前やっていた関係で、その当時の学生課長に相談し、学生課長から学生委員会の役員に話を持ちかけ、学生が中心になってやることが決まりました。学生委員会の役員は、小学校時代にベルマーク運動をやったというので、特にベルマーク運動のことを説明する必要はありませんでした。 十文字女子大学には、武蔵野会という保護者会があり、各学科から委員が選出されていました。この会は、小・中・高校のPTAに相当するものですから、ベルマーク運動に参加できるのは、PTAと決まっているため、武蔵野会が参加団体となるのはどうかと、事務局長に相談しました。事務局長は賛成しませんでした。武蔵野会は通常のPTAと違って、日常的な活動はせず、学生への奨学金、大学への援助などを主な仕事とし、役員は全員父親だからベルマーク運動は無理だというのです。そのため、ベルマーク運動への参加は、学生委員会を中心とすることになりました。このことは、武蔵野会の会長に私から話をして了解をとりました。 学生総会でベルマーク運動の参加をきめ、実行段階に入ったとたん、強力にベルマーク運動の推進をすすめてきた学生課長が、出産のために2年間産休をとることになってしまいました。この中心人物がいなくなると、学生中心のベルマーク運動はしぼんでしまいました。大学でのベルマーク運動は、学生の自治会等が中心になると思います。自治会の役員は年々変わるため、サイドから強力にてこ入れする学生部の職員の力が重要だと思いました。 (東北師範大学客員教授) (2006/07/20-4) |
中高年と学生の力で支援の輪を
ベルマーク教育助成財団評議員・清水建宇さん
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商品についた小さなマークを集めると、1点1円で換算され、それが学校の設備や教材になる。子どもと一緒にベルマークを集めた人は大勢いるだろう。
この運動の参加団体は、これまで幼稚園や小中高校のPTAだけだったが、46年ぶりに資格が拡大され、公民館などの学習団体や大学も参加できるようになった。 参加PTAの団体数はそれほど変わっていない。だが、世帯数は88年の1290万から現在の910万へと急減した。学校ごとの子どもの数が減ったからだ。 一方、公民館で生涯学習に取り組む人は1千万人を超える。団塊世代が退職すれば、さらに増える見通しだ。 子育てを終えた中高年や大学生の力も借りて、運動を発展させたい。資格の拡大には、そんな願いが込められている。 公民館の第1号は、埼玉県蕨市立東公民館で学ぶ塚越地区生涯学習連絡会だ。学級代表らの会議で協力を申し合わせた。 「ベルマークは、教育財源を地域で掘り起こす運動です。だれでもできるボランティアなので賛同してくれました」。会長の高松とし枝さん(75)はそう語った。 60年に運動がスタートして以来、教育設備の購入総額は200億円を超える。へき地や被災地の学校、アフガニスタンなど海外への教育援助額も36億円相当になっている。 しかし、学校の設備や教材はまだ不十分だ。教育援助を求める海外の子どもたちは増え続けている。中高年と学生の力で支援の輪をさらに広げたい。 (朝日新聞社論説委員)=朝日新聞夕刊「窓」を採録 (2006/07/20-5) |