■ 追悼 ■



木田  宏さんのご逝去を悼む
運動を高く評価、尽力
ベルマーク運動の維持・発展に数々の助言

ベルマーク教育助成財団顧問・吉川 俊夫
 木田宏・前ベルマーク教育助成財団理事長が、ベルマーク運動創設45周年を目前にして逝去されました。木田さんは、文部事務次官の先輩でベルマーク財団の初代理事長であった有光次郎さんの要請を受けて、1981年(昭和56年)に、国立教育研究所長在任のまま、ベルマーク教育助成財団の前身である財団法人教育設備助成会理事に就任されました。
  文部省官房総務課長時代に教育設備助成会の設立認可にかかわった木田さんは、ベルマーク運動の意義を高く評価し、無報酬にもかかわらず長年にわたって運動の方向について助言を寄せ、運動の発展に大きく貢献されました。二代目理事長への正式な就任は平成3年ですが、高齢の有光理事長を補佐された期間を加えると、実質的な理事長在職期間は23年に及びました。
  とりわけ、ここ数年は、経済情勢の悪化から有力協賛会社の脱退によるかつてない危機に見舞われたベルマーク運動を維持・発展させるため、数々の助言を寄せていただきました。ベルマーク運動について、木田さんが理事会などで発言された中から印象に残ったことを挙げてみます。
  ひとつは、学校を核としてPTAと児童・生徒が協力し、卒業生を通して地域に発展していくベルマークの仕組みは、PTA活動のあるべき姿を実現しているのではないか、ということでした。二つ目は、従来、へき地学校などへの教育設備の援助、つまりモノ(物品)の援助であったベルマーク運動に、「ソフト援助」という名のソフトウエア・文化の援助を加える試みを提唱され、時代の流れに合ったベルマーク運動の多様化を促進されたことです。さらに、近年は、ITの導入による効率化を認める一方で、親子、PTAなどが手を取り合って難作業に取り組むベルマークの「非能率の効用」を、改めて高く評価されていました。
  昨年6月、文部省の後輩にあたられる齋藤・現理事長にバトンタッチ、今年6月2日の理事会・評議員会で理事も退かれました。
  世界中を見渡しても他に類を見ないベルマーク運動の設立当初からかかわり、その発展に尽力された木田宏前理事長に改めて深く感謝し、ご冥福を祈ります。