東ティモールで活動のNGOシェアが財団訪問


(2015/04/21)印刷する

人口の約半分が14歳以下の国に保健教育の充実を

 東南アジアはインドネシアの東となりに位置する東ティモールで、保健教育推進活動をしている特定非営利活動法人シェア(国際保健協力市民の会、東京都台東区)が4月16日、ベルマーク財団を訪れました。シェアはベルマーク財団で友愛援助を実施する団体です。現地の人たちが病気やその予防法などを知り、自主的に健康改善ができるよう指導するプロジェクトに取り組んでいます。事業担当・管理栄養士の吉森悠さんと、一時帰国した看護師の山本聖子さんが、その報告と今後の課題などを話してくれました。

財団に訪れた山本聖子さん(左)、吉森悠さん

 東ティモールは日本の長野県に近い広さをもっています。約112万人が暮らし、そのうち約半分を占めるのが14歳以下の子どもたちです。しかし、この国では、知識や技術さえあれば予防できる感染症で多くの児童が命を落としています。5歳未満では1000人あたり75人にものぼるということです。感染症予防のため、衛生環境の改善や保健の教育不足の解消が必要です。

 シェアは2000年に山岳地帯であるエルメラ県から活動を始めました。2012年からは首都のあるディリ県でも実施しています。全土への普及をめざし、他県への影響力に期待を込めました。今年度の対象校はエルメラ県127校、ディリ県97校。児童生徒や地域住民だけではなく、指導する立場である保健担当教員や校長先生、県レベルトレーナーと呼ばれる保健担当教員にも指導するトレーナーも含め、最終的に約30万人への指導に取り組みます。

 シェアによると、東ティモールでは、平均70分歩かないと病院や医療機関にたどり着けない現状があります。公立病院は全国に10しかなく、医師の数も全国に47人しかいません。施設の多くは十分な設備が整っておらず、衛生状態もよくありません。病気になってからの治療に頼らずに済むように、自主的に病気を予防するための知識を身につけることが必要です。

 これまでは、住民に「予防をしたい、しなくては」という気持ちはあるのに、予防のしかたがわからずなかなか行動につながりませんでした。「決まった場所にゴミを捨てる」「給食前に手を洗う」という意識も、当たり前ではなかったのです。それが、先生への研修やワークショップ、児童や保護者に対しての校内衛生キャンペーンなどを通し、だんだんと改善されるようになりました。

 今年に入ってからは、教育省の許可がおりて全国の小学校に爪切りが配られています。なかには火曜日を「爪切りの日」に設定し、教室前に整列して爪を切った生徒から教室に入る取り組みを始めた学校もあります。「保健の知識を得たあとの、積極的なやる気が表情や行動に見えるときに、とても活動のやりがいを感じます」と山本さんは語ります。

 先生の「やる気」をご紹介します。右の写真にうつっているのが「Tippy Tap」と呼ばれる、簡易手洗い装置です。研修を受けた先生が自主的に手作りしたもので、足を使って踏むだけで水が出てくるすぐれものです。手洗い用にとバケツを置くだけでは、そこに水をためているのだとわからず直接手をいれてしまう子どもがいました。その問題が、この「Tippy Tap」で解決。使う分だけの水を出すよう調節ができるので、節水にもつながります。

 保健教育推進プロジェクトにより、当初は「学校保健」という言葉すら知られていなかった状況が、今ではエルメラ県のほとんどの小学校で保健の授業が開始されるまでになりました。

 「これから国内全土に保健教育を充実させるために、大切なのは今できることを続けていくこと。家庭や地域で個人が予防の意識を持ち続け、いずれは東ティモール国内だけの力で成り立つものとなってほしい。シェアは、背中を押す役割でありたいです」と吉森さんは話しています。

 公式ブログで、シェアでつくられた「手洗いの歌」や現地での様子が見られます。

http://blog.livedoor.jp/share_jp/

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