紅葉の山の裾で紫外線を探そう/日光市立湯西川小で理科実験教室


(2018/11/14)印刷する

 平家落人の里と伝えられる栃木県日光市の湯西川温泉郷。紅葉が最後の盛りで、山々の燃え上がるような色づきが見事でした。その山を背景にした市立湯西川小学校(見目宗弘校長、児童15人)で11月7日、ベルマーク財団がへき地で開く出前教室の一つ、理科実験教室が開かれました。平家伝説を裏付けるように、このあたりは「伴」という姓が多いとのこと。「つくりの”半”の点の位置を変えると”平”になるんです」と見目校長先生。裏山からは時にカモシカが降りてくることもあるという、とても自然に恵まれた環境です。

紅葉の山を背景にした湯西川小学校

村上規代先生の授業が始まります

 講師は村上規代先生。宮崎県都城市にお住まいの元高校教師で、地元の発明協会の理事も務めています。あいさつの後、村上先生は「きょうはお日さまの光について勉強します」と切り出しました。まずは先生が数年間かけて小学生用に作られたDVD「ぼくはしがいせん」を見ます。太陽光に含まれる紫外線にはA・B・Cの3種類あり、地球に届いているのはAとわずかなBだけ。紫外線Bは人体に有害なのですが、地球を守ってきたオゾン層が壊されてきたため、以前より多く地球に届いているそうです。


 さて、二つの実験が行われました。一つめは、お日さまの光は貯めてあとで使うことができるのを知る実験です。そのために「光るウルトラマンバッジ」の製作にとりかかります。子どもたちは紙コップに入った二つの薬液と蓄光材の粉をよくまぜあわせます。そのうちコップが熱くなってきました。「これが化学反応熱といいます。さあ言ってみよう」「はんのうねつ!」。液を型に流し込むと、しばらくして白く固まってきたところで、安全ピンを取り付けます。最後にそっと型から外すと、なんと、プラスチックのウルトラマンバッジが出来ました。「わあーっ」と歓声があがります。ボディに赤、カラータイマーに青の色を付け、目は銀色のシールを貼って完成。暗幕代わりに中を黒く塗った大きな紙コップをかぶせてのぞくと、出来立てなのにもう淡く光リます。そのウルトラマンを20分間お日さまの光に当てるとひと晩中光っているそうです。「みなさん!不安になったときは、一緒に抱いてね。暗やみでもウルトラマンがいつも君を守ってくれていますよ」。

液をよく混ぜて型に流し込む
そろそろ固まってきたかな
ちょっとはみ出してるけど、できた!

 二つめは、目に見えない紫外線をつかまえる実験に移りました。液体のり、お湯、先生特製の「忍者えのぐ」を紙コップの中でよくまぜ、そこにほう砂を入れてさらに激しくまぜると、粘りが出てスライム状になります。お湯を使ったので熱く感じていたスライムですが、手にのせてもんでいると、だんだん冷たくなってきました。そして気持ち良いプルンプルーンとした「忍者バルーンスライム」が完成。ストローで空気を入れると風船みたいに膨らみます。教室には紫外線がないのでまっ白ですが、校庭に持ち出すと、あっという間に赤やピンクの色が出てきました。あまりにも発色の変化が忍者のように速いため、先生が「忍者えのぐ」と名付けたそうです。また、先生はサンバイザーや手作りのマント2枚を子供たちに着せていましたが、それも一瞬で赤紫に染まりました。「あれ?」「なんだこれは~」。実はこれも「忍者えのぐ」が素材の中に煉り込んであり、紫外線に反応して発色したのです。まさに忍者のよう!紅葉の中でみんなひとしきり楽しんで記念写真を撮り、教室に戻ると、すべて元の白色に戻っていきました。

続いてスライム作り。忍者えのぐを入れて…
よくまぜると固まってきた
息を吹き込むと膨らんだ!
校庭で記念撮影。忍者えのぐ発色中


 「紫外線から地球を守る”宇宙服”とも言われるオゾン層は、フロンガスの影響で南極の上空でホールができたり、薄くなってきたりしています。紫外線Bに当たると皮膚がんや白内障など色々な病気に対する免疫力が低下し、身体が弱くなるから気をつけて。太陽の強い夏に外出するときは必ずつばのある帽子をかぶってください」と村上先生。子どもたちは「ありがとうございました!」と声をそろえてお礼をいいました。楽しい実験と、貴重な話が聞けた2時間でした。

みんなが作ったウルトラマンバッジ
紫外線にはABCの3種類が

 授業の後、村上先生、見目校長、併設されている湯西川中学の教頭先生と一緒に、子どもたちと同じ給食をごちそうになりました。メニューは定番のカレー。自前で作られているそうで、とてもおいしかったです。ありがとうございました。

「ありがとうございました」
給食をごちそうになりました

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