岐阜県飛騨市の山之村小中学校に「エジソンの会」
(2017/08/31)印刷する
液体窒素にびっくり、4通りの工作に「楽しかった」
身近にある不思議な現象で、子どもに考える力を養ってもらおうと、NPO法人「サイエンスものづくり塾エジソンの会」(華井章裕代表)が8月28日、岐阜県飛騨市立山之村小中学校(小西清明校長)で理科実験教室を開きました。中学生1人、小学生8人に保育園児7人も加わり、子どもたちは液体窒素を使ったサイエンスショーと4通りの工作に目を輝かせました。
山之村小中学校は、ニュートリノの実験研究で知られるスーパーカミオカンデのある飛騨市神岡町にあります。町中心部から山道を車で30分ほど上った平地にあり、標高は915㍍。「天空の学び舎」を掲げています。地域の人たちの熱意や協力もあって、採光ドームのある玄関、ゆったりとした教室、体育館、明るい食堂と現代的な校舎の中で子どもたちは伸び伸びと学んでいます。
サイエンスショーは、まずは風船割りからです。膨らませた風船を軽く飛ばすと、1、2秒後には空中で「バン」と割れてしまいました。驚く子どもたち。「何で?」と華井さんが問いかけます。実は風船を離す直前に、ゴムを溶かす性質がある柑橘油を塗っていたのです。
次は液体窒素を使った実験です。マイナス196度の液体窒素に風船をつけると、どうなるでしょう? 「しぼむ、と思う人」「割れると思う人」と華井さんが問いかけます。風船の中の空気が冷やされて収縮したり、温められて膨張したりして、「しぼんだ後、膨らんで元に戻る」が正解でした。風船の中に入れるのを酸素や二酸化炭素に代えて変化を確かめました。液体窒素に花や葉、バナナ、ビニールのボールを入れると、花や葉はすぐにカチカチに凍るのに、ティシュペーパーは変化しません。「なぜだろう?」。子どもたちに原因を考えてもらってから、「水分が含まれているか、いないか」によって、変化に違いがあることを説明します。
目の前の実験で頭を使った後は、手を動かします。「紙飛行機リング」「ビー玉オルゴール」「三角すいの万華鏡」「くるくるレインボー」と、紙や木片、ストローといった身近にある素材を使った工作です。トンカチや彫刻刀、ハサミ、カッターを使って、思いおもいの工作を作り上げていきます。
「冷たい液体窒素に触れて、とても驚きました」「バナナで釘が打てるなんて、初めて知りました」「いろんな事をやれて、楽しかった」。子どもたちが一人ずつ、驚いたことや感じたことを口にして、お礼を言いました。中学3年の石橋恵さんは「液体窒素を使った実験に驚きました」と感想を話し、工作は四つすべてを作りました。「作る前は難しそうでしたが、とても分かりやすく説明してもらえたので、全部出来ました」とうれしそうでした。
「元気で、素直で、みんながしっかりと自分の考えを言えていた」と華井さんたちも手ごたえを感じていました。
「エジソンの会」は岐阜市内(2004年設立当時は柳津町)の小学校のPTAの役員仲間です。元高校教師の華井さんや宮大工の棟梁、消防署員、市教委課長とさまざまな経歴をもった人たち17、18人のグループです。「なぜだろう」と子どもが自分で考えるきっかけにしてもらいたいと、愛知、三重、岐阜の中部三県の学校で出前教室を続けています。8月はこの日が締めくくりで、なんと15回に及びました。今後は福井、石川のへき地にも足を延ばすことを考えているそうです。