宮城・石巻市の大須小学校で「走り方教室」/翌週の持久走大会で好記録続出
(2015/11/10)印刷する
宮城県石巻市の市立大須小学校(菅原佳江校長・児童7人)で10月30日、ベルマーク財団のへき地校支援ソフト事業「走り方教室」が開かれました。
宮城県では2回目の開催です。NPO法人ニッポンランナーズのゼネラルマネージャー兼ヘッドコーチの齊藤太郎さんを講師に迎え、同じ校舎で学ぶ大須中学校の生徒、小・中学校の先生21人も全員が参加しました。
6年生の永沼さくらさんが、児童を代表して元気に挨拶して「教室」はスタートしました。
前半は体育館で座学とトレーニング。子どもたちは「こけし走り」と呼ばれる走り方のコツについて、人体模型も使いながら説明を受け、その後、さまざまなトレーニングを行いました。
ランニングの途中、7歩目でぴたっと止まったり、笛が鳴ったら3人、5人と指定の人数のグループを組む練習などを行い、ゲーム感覚で楽しくトレーニングが進みます。
次第に、子どもたちの表情にも笑顔がこぼれ、体育館の中は、和やかな雰囲気に変わりました。
後半は、いよいよ秋晴れの空の下、校庭での実践編です。学んだことをいかし、からだの前にのせた新聞紙を落とさないよう、正しい姿勢で走る練習などに取り組みました。
仕上げは3人一組で、ひとり30秒ずつ走るリレーを6セット行いました。先生たちも最後まで子どもたちと一緒に楽しく汗を流しました。
「今日は『こけし走り』という新しい言葉を覚えたので、忘れないようにします」と大須中学校の阿部春(しゅん)さんは話しました。
最後に、6年生の阿部李花さんが「校内持久走大会では、今日学んだことをいかして頑張ります」と宣言して終了しました。
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11月4日に開かれた校内の持久走大会では、多くの子どもたちが自己新記録を達成したり、自己ベストに近い記録を残したりしました。30秒近く記録を更新した子どももいたそうです。菅原校長は「子どもたちは腕を肩甲骨までしっかり振って、正しい姿勢で『こけし走り』を意識して走っていました。練習の成果が出て大変うれしく思います」と話してくれました。
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大須地区は石巻市雄勝半島の突端に広がり、大須漁港、大須灯台などが近くにある、魚、わかめなどが大変おいしい漁業中心の地区です。
大須小学校は、東日本大震災発生の時は震源地に最も近い学校でした。
高さ10メートル以上の津波が押し寄せましたが、岬の高台40メートルの場所にあるため、幸い、津波の被害はありませんでした。
学校は地域の避難所となり、最も多いときは743人の住民が体育館に避難していました。順次、復興住宅に移っていますが、現在も、校庭には8軒の仮設住宅があります。
同校は2017年4月に、大須中学校、雄勝小学校、雄勝中学校と統合して、新しく完成する雄勝地区統合小中学校に移転する予定です。