岩手県・被災校ルポ
(2017/10/11)印刷する
山田北小学校/「うんてい」に歓声
岩手県では三陸海岸に面する山田町を訪ねました。
山田北小(児童53人)から「応援ありがとう」と書かれたうれしい手紙をもらったからです。
渡邉淳校長の話では、2011年の東日本大震災で北小学校は、校庭が津波で水浸しになりました。当時の写真を見ると、沼のようです。その後、土をいれて校庭をかさ上げする工事をしました。今は子どもたちが走りまわる美しいグラウンドに戻っています。でも、遊具が足りません。
震災前にあった滑り台などは、かさあげ工事の際に撤去されました。古い遊具の使い回しはできませんでした。町の予算も限られます。ベルマークの被災校支援を2年分ためて、何十万円もする雲梯(うんてい)を買ったのです。休み時間に子どもたちがオレンジ色のパイプにぶら下がって、歓声をあげています。子どもの腕の力が鍛えられるそうです。
この支援は、協賛・協力会社や寄贈マークを送ってくださった全国のPTAのご好意が資金になっています。
校舎裏には、地震のときに高台に逃げる避難路が整備されていました。奈良県在住の元高校教諭が役立ててほしいと町に寄付を申し出て、できました。山田北小にご縁のあるわけではない方からの好意とのことで、先生たちはとても感謝しています。
山田中学校/狭い校庭で工夫
山田中(生徒329人)はスポーツが盛んです。バスケットボール、陸上、野球、柔道、テニスといった運動部が活躍し、玄関に優勝旗やカップが飾ってあります。
ところが、グラウンドで困っています。もともとは隣接する町民グラウンドを使っていたのですが、震災後、仮設住宅が建設されました。町の中心部であるここの仮設住宅は最後まで残る予定です。
校内の空き地を体育に使っています。本来のグラウンドではないので、中学校で一般的な200㍍トラックは作れません。放課後、サッカー部はフットサルぐらいの広さで練習し、テニス部は渡り廊下のまわりの空き地でボールを打ち合い、陸上部は校舎の周囲に描かれた白線のまわりを走っています。
楽しみなのが、バスを借りての遠征です。スクールバスや町の予算も使えるのですが、回数に制限があります。ベルマークからの支援金は岩手県中学校長会を経て被災地の中学に割り当てられ、山田中でも役立っています。近くは宮古市、遠くは宮城、福島、秋田各県への遠征もあるそうで、小橋敏校長は「とても助かっています」と喜んでいました。
山田町ゾンタハウス/静かに自習
山田町の住宅街には、中学生や高校生が自習する「山田町ゾンタハウス」(竹内範子代表)があります。仮設住宅暮らしなどで勉強の場所がとりにくい子どもたちが通います。軽食の提供もあり、勉強に専念できます。民家を修繕したハウスの2階では、大学受験をめざす高校生が、問題集に取り組んでいました。壁に「勉強」と書いた張り紙がありました。ベルマーク財団はここも支援しています。