2019年4月号 読んでみたい本


(2019/04/10)印刷する

  

児童文学評論家 藤田のぼる

  

 新学期、今回からご覧の方もいらっしゃると思いますが、対象学年はあくまで目安。特に絵本は年齢に関係なく楽しんでください。

 

絵本

 

『おにぎりに はいりたいやつ よっといで』(岡田よしたか・作、佼成出版社)

 お皿の上に並んだおにぎりたち。まだ具が入っていません。具を求めて、まずは海へ。しかし、サケもツナもたらこもお店だと聞いて、今度は町へ。おかかや高菜の漬物も集まってきます。と、ストーリーだけではこの絵本のおもしろさは伝えにくいのですが、うどんまでやってきて具になりたがったり、弁当箱がおにぎりに対抗して具たちを誘ったり、それぞれのキャラクターたちが実に“らしい”のです。おにぎりがご飯といろんな具でできているという当たり前のことが、なんだか特別なことに思えてくる楽しい絵本です。(低学年から、1300円+税)


『とびきりおかしなマラソンレース』(メーガン・マッカーシー作、おびかゆうこ・訳、光村教育図書)

 「いだてん」の金栗四三さんが出場した1912年の第6回ストックホルム大会の2回前の第4回オリンピックは、アメリカ中西部のセントルイスで開催されました。この時のマラソンの優勝記録は3時間28分余で、オリンピック史上最も遅い記録。そればかりでなく、最初にゴールした選手は、実は途中で車に乗っていたなど、のどかというより今から見ると奇天烈ともいえるレースでした。このマラソンレースのスタートからゴールまでを、参加選手のプロフィールなども交えて描いたこの絵本、今から百年以上前の”一生懸命”が伝わってきます。(中学年から、1500円+税)


『クマゲラ』(竹田津実・文・写真、アリス館)

 北海道在住の獣医師で写真家の著者による「北国からの動物記」シリーズの9冊目。クマゲラは大型のキツツキで、木に穴を開ける能力の強さに、アイヌの人たちは、そこから丸木舟の作り方を学んだとも言い伝えられています。クマゲラの巣作り、子育てが始まる4月からの1年間が、警戒心の強いクマゲラをよくぞここまでと思えるほど鮮明な写真で展開されていきます。写真絵本というよりも、フォトエッセイといった方が適切なほど文章量も多いのですが、著者の自然への驚きの念と親しみ深さが、行間から伝わってきます。(中学年から、1400円+税)

 


低・中学年向け

 

『おおあたり!』(もとしたいずみ・作、山西ゲンイチ・絵、小峰書店)

 だいくんとまなちゃんの兄妹。おばあちゃんからもらった2枚の福引券を手に、商店街へ。頭の中は当たった時の景品のことで一杯です。なにやらいつもと違う感じの福引所でガラガラを回すと、当たったのは「チャバシーラ」という緑の棒みたいなもの。その後で本当の福引所を見つけますが、もう券がありません。でも、そのチャバシーラ、どうやらすごい幸運を呼ぶアイテムだったようで……。日常のちょっと隣にある不思議を招いたのは、兄妹の思いの強さ? 仲の良さ?(低・中学年向き、1100円+税)


『ねこの小児科医ローベルト』(木地雅映子・作、五十嵐大介・絵、偕成社)

 ユキが夜中に目を覚ますと、弟のユウが吐いていて、苦しそう。起きてきた両親がきれいにしてくれましたが、今度は下痢です。深夜に対応してくれる病院はないかと電話帳を開いたお父さん。「夜間緊急専門小児科医・松田ローベルト」という電話番号を見つけたのはユキでした。早速電話してみると、お医者さんが来てくれることに。ところが小さなバイクでやってきたのは、白衣を着たネコだったのです。びっくりするユキたちも、その手当の適切さに安心させられます。この本は、もしかしたら、同じような経験を持つお父さん、お母さんに、一番ヒットするかもしれません。(中・高学年以上向き、1500円+税)

 


高学年・中学生以上向き

 

『落語ねこ』(赤羽じゅんこ・作、大島妙子・絵、文溪堂)

 こちらも、ネコ。入院したおじいちゃんが飼っていたネコのクマハチを預かった七海。ところがクマハチには秘密があり、しゃべれるのです。というのも、前の飼い主の若手落語家・如月亭大福が道路に飛び出したクマハチを助けようとして車にひかれ、成仏できずにクマハチに乗り移ってしまったというのです。大福はその日、女性の落語家仲間にプロポーズしようとしていた矢先でした。かくて七海は、落語に精進していた大福の思いを受けとめつつ、友だちとのトラブルではクマハチに助けてもらったりする展開に。落語ネタも物語に織り込まれ、ネコが大好きな(これはたくさんいるでしょう)、落語が大好きな(これは少数派か)、おじいちゃんが大好きな(これは微妙か)小学生にお勧めです。(高学年以上向き、1300円+税)


『ことばハンター 国語辞典はこうつくる』(飯間浩明・著、ポプラ社)

 三省堂の国語辞典編集委員として、また辞典編集者が主人公の話題作『舟を編む』のアニメ版の監修も務めた著者による、言わば辞典制作の裏話。辞典にも個性があり、著者が関わる三省堂版は、新しい言葉もなるべく取り入れていこうという編集方針です。そのため、ほぼ365日、辞典にまだ載ってない言葉や、新しい意味をもった言葉などを探し回ることになります。著者はそれを「ワードハンティング」と呼び、自らを「ことばハンター」と名づけます。「インターホン」か「インタフォン」か「インターフォン」か、パスタとスパゲッティはどう違うか、町の看板や食堂のメニュー、そしてマンガやテレビ番組まで、ことばハンターのターゲットには限りがありません。わたしたちにとってはある意味「権威」に思える辞典が、実はとても「生もの」であることが、よく伝わってきます。(高学年・中学生以上向き、1200円+税)

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