工場はここだけ!ショウワノート高岡本社工場を見学
(2018/10/12)印刷する
ジャポニカ学習帳の秘密を大公開
富山県高岡市にある協賛会社のショウワノート(ベルマーク番号53)の本社工場を9月、財団職員が訪れました。創業70周年の記念事業として今年5月に完成した新工場では、1970年の発売以来愛されつづけているジャポニカ学習帳の製造ラインを見学することができます。
高岡駅から車で10分、遠くに大きなドラえもんが見えてきました。作者の藤子・F・不二雄氏が富山県出身なことにちなみ、前工場時代から壁にドラえもんが描かれていました。工場のある北陸新幹線の沿線は条例で屋外広告物が規制されたたため、新工場建設の際にはなくすように言われましたが、近隣住民のどうしても残したいという熱い要望が伝わり、ガラス面の内側に絵を入れる方法で残せる事になりました。
同社の工場はここ一ヶ所だけで、製品はすべてこちらで製造、ジャポニカ学習帳だけで1日4万~4万5千冊も製本しています。工場には約60人が勤務し、繁忙期は24時間稼働していることもあるそうです。
この日は、企画部東京販売企画の原田英彦さんと、事業戦略室産業観光課副主任の山本飛鳥さんに案内していただきました。工場内は至るところに、前工場で使用されていたラックの鉄骨が白く塗られ、展示用におしゃれに活用されていました。
はじめに、高岡工場の成り立ちやノートができるまでの工程をビデオで学びます。
ジャポニカ学習帳には書いたり消したりしやすいよう、頑丈に加工された特注の紙を使っています。罫の色は日本色彩研究所の研究成果から生まれた、目が疲れにくい色だそうです。販売初期、他の学習帳は30円くらいでしたが、ジャポニカは50円で売っていたそうで、当時から品質の良いノートを作ろうとこだわっていた事が分かりました。
ジャポニカ学習帳といえば、昆虫や花が目を引く表紙ですが、これは1978年の「世界特写シリーズ」開始以来、すべて昆虫植物写真家の山口進さんが撮影しています。写真一枚一枚に、子どもたちに自然を愛する心を育んでもらいたいという願いがこめられています。
いよいよ、待ちに待った学習帳の製造ライン見学のはじまりです。まずはノートのもとになる「原紙」を間近で観察。ロール紙と板紙の2種類があり、ロール紙は直径1m27cm、重さ700kgもあってすごい迫力です。伸ばすと長さ13kmにもなるそうで、「このロール紙ひとつでノート7200冊分にもなります。1時間に1本は消費するんですよ」と山本さん。
その紙に水性インクでオフセット印刷します。シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックという基本の色のほか「特色」としてグリーンを用いています。印刷機はノート用の5色刷りと、百科事典などに使用する両面印刷可能な2色刷りの2種類で、1分間でそれぞれ130枚・150枚印刷できます。
印刷した紙を裁断したら、ノートの真ん中を縫う糸綴じ製本のなかでも強度が強い「二重かがり綴じ」をして完成です。20冊ずつ抜き取り検査をし、10冊ずつに分けて包装します。手の感覚だけで10冊がわかるほど熟練している社員の方も多いそうです。最後に160冊ずつ段ボールに詰め、運搬用の土台に積み上げたら工場での作業は終了です。
切れ端など紙片はすべて、工場内に張り巡らされているパイプで掃除機のように吸い上げ、裁落室(さいらくしつ)に集められて新聞や包装紙などにリサイクルされます。
製造ラインの見学を終えたあとは、学習帳の歴史やこだわりを示した展示コーナーに移動しました。なかでも、見学者に大人気の「タイムトンネル」は圧巻。学習帳の表紙611枚が壁や天井に所狭しと使われています。「様々なキャラクターや伝統文化シリーズ、愛されつづける名作シリーズなど年に160種類もの絵柄を発売しており、全部で2000種類以上あるので、これでもごく一部なんですよ」と原田さんは言います。ジャポニカ学習帳は、誰が見ても「この商品だ」とわかるものしか選ばれない「立体商標」として、ノートで唯一登録されており、人気の高さがうかがえます。
その他、キャラクターグッズのPOMMOP(ポンモップ)シリーズや、大相撲で同社が出した懸賞幕など、ノート以外のレアなものもたくさん目にする事ができます。
県内の小中学生が社会科見学として訪れるほか、メーカーや地元の商工会議所などさまざまな人から見学の申し込みがあるそうです。原田さんは、「まだ始まったばかりですが、工場見学が県の観光名所のひとつになれるようこれからどんどん盛り上げていきたい」と意気込みを語っています。
ショウワノート高岡工場の見学について、詳細は同社HPをご覧ください。
(※こちらのフォトフレームは現在一般公開されておりません)