リユース、リサイクルの一大拠点完成/キヤノンエコテクノパークを見学


(2018/05/22)印刷する

 キヤノングループの環境活動の発信拠点となる「キヤノンエコテクノパーク」を財団職員が見学しました。キヤノン株式会社が今年2月に茨城県坂東市に開所した施設で、キヤノン製品のリユースとリサイクルを行うキヤノンエコロジーインダストリー株式会社(本社・茨城県坂東市、荒井徹社長)が運営しています。

 カートリッジのリサイクルや、複合機のリマニュファクチュアリング(使用済み製品の再生)を行う工場と、ショールームで構成されています。「クリーン&サイレント 資源生産性の最大化」がコンセプトだそうです。

 

エコテクノパーク外観

 

◆80%以上の部品が循環

 建物に入ると広々としたショールームが広がります。複合機を解体した部品やパネル展示のほか実験装置もあり、実際に触って学ぶことができます。

 まずは「トナーカートリッジ」のリユース・リサイクル過程を見学しました。

 市場から回収したカートリッジは箱から出して外側清掃とロゴラベルを読み取り、リユース対象は使える部品を清掃してから新品同様に検査します。リサイクル対象はCARS-T(Canon Automated Recycling System for Toner Cartridge)という機械に自動投入されます。

 

ショールームでは普段見られない複合機の部品の展示もある

 CARS-Tではプラスチック・鉄・アルミ・銅などのさまざまな材料を、その特性を利用して磁石や風などを使い徹底的に分類します。主要なプラスチック(HIPS)を再生するまでのすべての工程が自動で行われます。プラスチックは金属と異なり、溶かすという方法で不純物と分けることができず、一般的に繰り返しリサイクルすることが難しいとされていますが、キヤノンはとことん分別させる事でその課題を克服し、純度99%以上のHIPSを取り出す事に成功しました。このように、使用済みトナーカートリッジから取り出したプラスチック材料を、トナーカートリッジの原材料として繰り返し再利用することを「クローズドループリサイクル」と呼んでいます。

 鉄・銅・アルミなどの材料はキヤノンで分別した後、協力会社に運ばれて他の製品の材料として利用される「オープンリサイクル」をしています。どうしても材料として利用できない素材は、燃やしたときの熱源として利用され(これを「サーマルリカバリー」といいます)、全ての材料を無駄にしません。部品と材料を合わせ、回収したトナーカートリッジの80%以上を循環させており、資源抑制量は累計26万トンにものぼります。

 

◆6~7割がベルマーク回収

 インクカートリッジは、CARS-I(Canon Automated Recycling System for Ink Cartridge)という機械で分別から解体、粉砕、洗浄までの工程を行い、リサイクルプラスチックを製造しています。

ベルマークについて掲載されているパネル

 インクカートリッジの6~7割は、ベルマークの登録校や団体から届くものだそうです。工場にベルマーク専用の回収箱が届いたら、まず記載されているPTA ナンバーや個数を確認して中身を検品します。この時、セロハンテープやオレンジキャップ、輪ゴムが付いていたりビニール袋に入っているものが多く、「インク漏れを防ぐために気を遣って下さるのだと思いますが、空になったカートリッジは振ってもインクが漏れない仕組みになっています。何もつけずにそのまま箱に入れてください」とのことでした。テープやキャップは一つずつ手作業で外さなければならず、早く集計結果を返すためにも、カートリッジには何も加えずにそのままで出してほしいそうです。

 

◆ねじ一本まで徹底的に再使用

 オフィス向け複合機は、製造時期によってリユースかリサイクルに選別されます。タッチパネルなど摩耗するものは新品に変えるほか、傷の有無や色味で判断します。ネジ一本でも使えるものは残すため、リユース部品の再使用率は80%にもなります。

 回収した製品は部品レベルに分解し、劣化・摩耗した部品を取り除きます。部品は基準を満たすまで清掃して再使用します。最後に、新品製品と同レベルの厳格な検査を経て、Refreshedシリーズとして出荷されます。

 

◆小中学生の見学受け入れも予定

 キヤノンが2011年から全国の小学校で実施している環境出前教室は、これまでに120回以上開催され、受講者は6,900人を超えました。

 荒井社長はエコテクノパークについて「キヤノングループの環境技術を結集した環境活動の発信拠点として、啓発の強化に取り組んでいきます。工場見学や教育イベントにも力を入れ、小中学生に向けた環境学習の場としてもご利用頂けるようにしていきたい」と話しました。

 

来場者が楽しめる実験コーナーも

ベルマーク商品

大きな大きな焼きおにぎり

ベルマーク検収

今週の作業日:4/22~4/26
2/19までの受付分を作業中