災害時の自分の行動を考えよう/八王子盲学校で防災科学教室


(2023/10/11)印刷する

 東京都八王子市にある都立八王子盲学校(安田咲登子校長)で、9月22日に防災科学教室が開かれ、中学部の7人が参加しました。この教室は、国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)とベルマーク財団が共催する自然災害への備えを学ぶもので、2018年から始まりました。防災科研の広報・ブランディング推進課の今野公美子さんの報告をもとに紹介します。

講師を務めた、防災科研研究員の辻岡綾さん

 講師は、防災科研研究員の辻岡綾さん(災害過程研究部門)です。辻岡さんが研究しているのは「インクルーシブ防災」。インクルーシブ防災とは、障害者や高齢者等の配慮が必要な方を含む、あらゆる人達を取り残さない防災のことです。誰もが安全に避難し、避難先で安心して過ごせることを目指しています。

 今回のテーマは「防災食体験とカードゲーム形式のクロスロード」。教室は、防災食の体験から始めました。普通のカップラーメンに備蓄用の水を入れて作ります。水の場合は20分待つと完成しました。試食すると「おいしい」「普段の生活でも水で作って食べても良いと思った」と声があがります。お湯がない時に、水を使って代用できることを学びました。

 クロスロードは、防災についての問題に、YES、NOと書かれた2枚のカードのうち1枚を選択。選んだ理由を参加者で話し合うことで、防災への理解を深め、さまざまな立場や考え方を知ることができます。問題文は今回の教室用に、辻岡さんが作成しました。弱視の生徒にはタブレットに映し、全盲の生徒は事前に点字にして渡しています。配られたカードにも点字が打たれています。

水でカップラーメン作りに挑戦

 「帰宅途中の駅で地震が発生しました。最寄りの避難所に逃げますか?」

 YESの避難所に逃げることを選択した生徒からは「駅で物が落ちてきたら危ないから」という意見があがります。一方、NOを選んだ生徒は「駅にいれば、家族が探しに来る。避難所の方が家族とはぐれる可能性があるから」と答え、意見が分かれました。

 ゲームのルールとして、多数派の意見を選んだ場合は勝ちとして景品(今回は缶バッジ)をもらえます。しかし、どちらの意見を選ぶのかは、その時の状況によって変わるため「正解」というのはありません。YESやNOでの状況を想像して自分なりの答えを考えたり、他の人の意見を聞いたりすることがゲームの狙いです。話し合ったあと、駅で知らない人に助けを求めるには、どう話しかけたら伝わるかを考えました。防災科研のスタッフを駅にいる人と想定し、実際に話しかける練習をしました。「ここは何という場所か教えてください」「目がよく見えないので、一緒に避難所まで行ってくれませんか」と話しかける生徒。話す内容は、生徒自身で考えました。

 続いて、「避難所に逃げてきたが、端のほうの便利なスペースはうまっており、まん中のスペースしか空きがない。視覚障害があることを伝え、場所を空けてもらうか、我慢するか」という問題。端の方がお手洗いに行きやすく、壁を伝って移動することもできます。YESの回答は「視覚障害があることを知ってもらいたいので、話しかける」。NOは「他に困っている人がいるかもしれないから、我慢する」。この問題も意見が分かれました。

YESかNO、自分ならどちらを選ぶかな

 辻岡さんは「防災のさまざまな課題は、状況によって異なるため、自分で考えて他の人の意見も参考にして考えを深めてほしい」と生徒たちに語りかけました。

 参加した生徒からは「非常食は身近にある物で簡単にできるということに驚いた」「災害時に自分で考えて行動することの大切さが良く分かった」といった感想がありました。災害を具体的にイメージして、防災につながる行動をとることの重要性を学びました。

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