絵本作家の長谷川さん、歌と笑いと読み聞かせ
(2016/11/04)印刷する
長野市でオーサー・ビジット、「好きなことを見つけて」
ユーモアあふれる温かい作風で人気の絵本作家、長谷川義史さんの「ベルマーク版オーサー・ビジット」が10月28日、長野市立安茂里小学校(和田敦校長、児童300人)でありました。低学年、高学年に分けて、それぞれ45分の授業は、笑いあり、歌あり、読み聞かせありと盛りだくさんの内容で、子どもたちを魅了しました。
大きな拍手で迎えられて、体育館の舞台そでから長谷川さんがトレードマークの帽子に丸メガネ、ネクタイ姿で現れると、子どもたちは大喜びです。
「長谷川さんはね、きょうは大阪いうところから来ました。大阪、知ってる人?」と言いながら、ホワイトボードの模造紙に墨汁で大阪の地図を書いていると、「♪あっという間に、校長先生」と和田校長の似顔絵の出来上がりです。
「子どもたちの緊張をほぐすには、一番効果的」という長谷川さん得意の「つかみ」です。こうなると、長谷川ワールドが全開です。
プロジェクターを使っての自作の読み聞かせは、まずは「しってるねん」からです。「あれ、あのおばちゃんだれやったかなー」。長谷川さんが全身を使った読み聞かせが続きます。子どもたちは笑いながら、夢中で聞きます。
「手紙を読んでくれる人」「10月がお誕生日の人」と、長谷川さんが聞くと、元気よくハイ、ハイ、ハイと手が上ります。指名された子はちょっと照れながら、うれしそうに前に出て、長谷川さんに似顔絵を書いてもらったり、ウクレレに合わせて誕生日を祝ってもらったり、「大好きだよ」と歌ってもらったりしました。
あっという間の授業の最後は、ちょっとまじめなお話でした。
「長谷川さんは子どもの頃から絵を書くのが大好きでした。大きくなったら、絵を書く人になれたらいいなぁーと思っていました。みんなも何でもいいから、早く好きなことを見つけて、やり続けてください。自分のやりたいこと、自分を信じてたら、うまいこといかへんことがあっても、きっといい人と出会うから、一生懸命やり続けてください」と締めくくると、大きな拍手と、「ありがとうございました」のお礼の声が体育館じゅうに響きました。
高学年の授業では、長谷川さんがまず驚かされました。長谷川さんがアメリカ民謡「ゆかいな牧場」の節に合わせて作った遊び歌「大阪うまいもんのうた」の長野版「信州うまいもののうた」を子どもたちが歌って、迎えてくれました。
本家・大阪版を披露しないわけにはいきません。「たこやき、ぎょうざ、お好み焼き、ぶたまん」と、子どもたちに身振りを伝えながら、歌います。
家が火事になっても「面倒くさい」と布団から出ないで死んでしまい、エンマ大王もあきれる面倒臭がりの親子の話や、「おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん」の読み聞かせでたっぷり笑ったあとは、沖縄の小学校1年生の詩に感動した長谷川さんが絵をつけた「へいわってすてきだね」でした。
安茂里小学校が、長谷川さんに来てもらうために応募した色紙は、果物かごの形をした色紙の中に、リンゴの形をした紙に一人ひとりがメッセージを書き込んで「来てほしい」という思いをぎっしり詰め込んだものでした。授業当日は、体育館の壁やパネルに子どもたちが考えたダジャレや長谷川さんの絵本の感想を張ったパネルを飾り、児童、先生が一体となって歓迎しました。
「うまいもののうた」を提案し、誘致や歓迎に活躍した図書委員長の松永果鈴さん(6年)は大の本好きです。
「作家さんというと堅いイメージですが、長谷川さんは私たちを笑わせようとしたり、歌ったり、いろんなことをしてくれて、とても身近な感じがしました。面白い本だけではなくて、平和を伝える本もありました。楽しい本で笑っていられることが平和ということなんだな、と思いました」と感想を話しました。