教育評論家の尾木直樹さん、茨城・日立の中学校で特別授業


(2015/12/24)印刷する

 子どもたちに人気の本の作者(オーサー)が、学校を訪問(ビジット)して、とっておきの特別授業をする「ベルマーク版オーサー・ビジット」が12月17日、茨城県日立市の市立坂本中学校(澤畠明校長、238人)で開かれました。訪れたのは、「尾木ママ」のニックネームでテレビでもおなじみの教育評論家・尾木直樹さん。「みんな、まじめな顔しないでね。まじめな顔されるとチョーやりにくいの」。トレードマークのおネエ言葉で、体育館に集まった全校生徒の緊張感を一気に解きほぐします。お話は、いじめの問題から、インターネットのLINEとの付き合い方、思春期の大切さ、さらにはテレビ・芸能界の裏話まで縦横無尽。熱心なPTAの方々120人も詰めかけた体育館は、大きな笑い声と、真剣な眼差し、うなずく顔にあふれました。

楽しく、熱く会場を沸かす

 坂本中は4年前から「IBI(いじめ撲滅委員会)」という活動に取り組んでいます。当時の1年生が上級生に心無い一言を言われたのがきっかけでした。1年生から始まった活動は全校に広がり、「いじめゼロ!一人一人をクリーンな心にしよう!」をスローガンに、定例会議、あいさつ運動、IBI新聞発行、IBIフェスティバルなど様々な取り組みを行っています。今年はついに生徒会の正式な委員会になりました。

図書室に著作コーナー
生徒の中へ

 オーサー・ビジットは、呼びたいオーサーに、その熱い思いをぶつけた色紙を書いて応募するのですが、坂本中の生徒たちはこのIBI活動を色紙のメーンに据えました。それが、いじめ問題を深く憂える尾木さんの目にとまり、この日の授業が実現しました。

あなたはどう思う?

 尾木さんは、授業のために事前に生徒たちにいじめに関するアンケートを取りました。「IBIを応援する子は結構いるけど、実際に活動してる人は意外に少ないね」「否定的な少数意見もあるけど、それはなぜ?って考えることがとても大事なのよ」。アンケートの分析から話はだんだんいじめの核心に入っていきます。「一番深刻なのはねぇ、無自覚ないじめなの」。自ら調査にもあたった、中学生のいじめによる自殺事件などを例にとりながら、「いじめた本人も両親も、遊びだと思ってた。自覚がないから反省もできない。相手の痛みを感じる感性の問題なんです」と、言葉に力を込めます。

 では、その感性を養うにはどうすればいいのでしょうか。尾木さんは坂本中が取り組んでいる「KKS(くつのかかとをそろえよう)」運動を引き合いに出しました。「靴をそろえる。そんな普段の小さな仕草が相手との心を通わせる文化になり、その人の人柄になります。そのレベルが上がっていけば、努力しなくてもいじめはなくなります。心を耕すためには日ごろの小さな心がけが大事なんです」

笑顔いっぱいの授業

 つめかけたPTAや先生たちに向けた言葉もありました。「つい嫌味を言ったり、いじめちゃう子は、家庭の問題などで辛い思いをしていることが多い。兄弟を比べちゃダメ。一人一人が素晴らしいんだから。他人と比べちゃダメ」。そしてアドバイスを送ります。「いじめや喧嘩をしてる子がいたら、すぐに怒らずにまず『どうしたの?』と声をかけてください。そこで弁解が始まったらしめたもの。行為の原因が分かる。分かったら『大変だったねぇ』って、もうひと押し。それ共感といってとっても大事。共感してもらったと思えば、そこから反省が始まります。お集まりのお母さん方、お家に帰るまでに『どうしたの?』『大変だったねぇ』を5回ずつ練習してくださいね」

 最後に、生徒たちに尾木さんから宿題が出ました。アンケートで、半数以上が「使っている」「使いたい」と答えたLINE。「返事がすぐ来ない」なんて些細なことがいじめにつながり、問題になっています。しかも、傍からは見えにくいので困りもの。「だから、LINEによるいじめを防ぐにはどうすればいいか、IBIで話し合って、坂本中ならではのLINEのルールを考えてください」

ありがとうございました
見つめる

 この日の授業は生徒たちの心にもしっかり残ったようです。「共感、声の掛け合い。いじめと向き合うヒントをたくさんもらいました」と小野愛美さん(3年)。小松勇登さん(同)は、「困っている人には解決案を出すことが大事だと思っていたので、共感という新しい視点が新鮮でした」と話します。

 にっこりと笑顔で授業を終えた尾木さん。生徒たちの握手攻めでもみくちゃになりながら、名残惜しそうに体育館を後にしました。

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