作家あさのあつこさんが特別授業/愛知県豊橋市立旭小学校で「オーサービジット」、物語つくる素晴らしさ学ぶ/笑顔いっぱい、楽しく90分


(2015/10/28)印刷する

 人気の本の作者(オーサー)が学校を訪ねて(ビジット)特別授業をする「オーサービジット」(ベルマーク教育助成財団、朝日新聞社主催)が10月26日、愛知県豊橋市の市立旭小学校(鳥居孝三校長、164人)でありました。訪れたのは、青春野球小説「バッテリー」などの作品で知られる作家のあさのあつこさんです。臨時教諭の経験もあるあさのさんは、優しいまなざしで児童たちに語りかけ、想像力を引き出す手法で物語をつくる基本を教えました。児童たちは目を輝かせて取り組み、笑顔と笑い声が絶えない楽しい授業となりました。

 あさのさんは岡山県出身。1991年に作家デビューし、少年野球のバッテリー(投手と捕手)を主人公にした「バッテリー」などがベストセラーになり、野間児童文芸賞などを受賞しました。児童文学や時代小説などの分野で活躍しています。大学卒業後、岡山県の小学校で約2年間、臨時教諭を務めたことがあり、児童たちと会うのを楽しみにしていました。

児童たちへの宿題作品「わたしのペット」の出来栄えに感心するあさのあつこさん
授業を楽しむあさのさんと児童たち

 特別授業を受けたのは6年の25人です。あさのさんから事前に「わたしのペット」という宿題が出されていました。こんなペットがいたらいいなと、架空の生き物やロボットを色紙に色鉛筆で描き、特別授業に提出することになっていました。

 児童たちは、羽根の生えた猫や水かきのある犬、下半身が人魚になった馬、カラフルな甲羅をした亀など、ユニークな生き物を描きました。

 あさのさんが、それぞれのペットの▽名前▽長さ(大きさ)▽特徴▽食べ物を尋ね、児童たちが班ごとに壇上で発表しました。

 さらに、あさのさんは▽ペットにどこで出会ったか▽その時にどんな会話をしたか(人間の言葉でなくてもいい)と尋ねました。

 児童たちは、楽しそうに考えて、ノートに記していきました。

 それは……思ったことを言葉にしてしゃべることができる猫の「たまちゃん」、その人の体調に合わせてイスやベッドなどになる「れい君」(ゆうれいの略)、困った時に駆けつけてくれる筋肉マンのような人間「エドワード」、災害時に活躍できる羽根のついた屈強なキャタピラー「ウィング・ザ・ガピー」、ほうきに乗って空を飛べる「よう子」(妖精の子どもの意)などです。

 奇抜な名前や特徴、出会いの様子、ペットと話したことなどが次々と発表されました。授業参観した先生や保護者たちも、しきりに感心していました。

班ごとに楽しく話し合いました

 90分の授業はあっという間。時間があれば、回答をつなげて小さな物語を書いてもらう予定でしたが、児童たちの頭の中には、素晴らしいストーリーがそれぞれ出来上がっているようでした。

 最後に児童を代表して、新井佑実さんが「きょうは私たちのために授業をしていただき、ありがとうございました。あさの先生の本は、人間のもろさやたくましさがよく描かれていて、私も、人間とはどんなものかを教わりました。これからも美しい作品を描き続けてください」とお礼のあいさつを述べました。さらに、児童がひくオルガンの伴奏で、東日本大震災復興応援ソング「花は咲く」を全員で歌って、感謝の気持ちを伝えました。

児童たちの思わぬユニークな発表に驚くあさのさん

 特別授業をしてもらうために熱烈なメッセージを作って応募した三浦雄一郎君と奈良田悠喜君は、あさのさんの作品の愛読者です。「自分たちの発想をそのまま受け入れてくれて、想像力を大切にしてくれる先生。とても楽しい授業でした。より一層、あさの先生のファンになりました」とうれしそうに話していました。

 授業のあと、あさのさんを追いかけた女子児童もいました。将来は作家になるのが夢です。「どんな作品を読めばいいですか」と尋ねて話をし、希望を抱いたようでした。

あさのさん(2列目中央)を囲んでみんなで記念撮影

 旭小では、春には「アジサイ読書期間」、秋には「コスモス読書期間」を設け、読書に力を入れています。鳥居校長は「あさのさんは子どもたちの心をつかむのがうまく、子どもたちのいいところをどんどん引き出してくれました。子どもたちが自然に物語を作れる状態にしていただき、素晴らしい授業になりました」と感謝していました。

 あさのさんは、「物語を作ることは特別なことではなく、楽しく作れることを伝えたかったのですが、私の想像を超えて、子どもたちの方がはるかに上でした。みんな自信をもって、希望に向かって頑張ってほしいですね」と話していました。

 あさのさんは、旭小の児童とベルマーク運動で頑張る全国の児童たちのために、メッセージを色紙と文庫本に書いてくれました。「最速の一球を」。自らの作品に出てくるような心に響く言葉でした。

あさのさんのメッセージ「最速の一球を」。文庫本「バッテリー」の末尾に書いてくれました

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