長野でへき地教育研究大会/山村留学生が過半数の北相木小を見学


(2019/10/25)印刷する

 第68回全国へき地教育研究大会(文部科学省、長野県教育委員会、全国へき地教育研究連盟など主催)が10月10、11の両日、長野県で開かれました。全国のへき地校や複式学級がある学校、小規模校の教師ら1000人余が参加し、「心のふるさと信州で共に創ろう 未来を紡ぐ新たな学びを!」をスローガンに、公開授業などを通して研究や交流を深めました。

 長野県での開催は37年ぶり2回目です。10日の全体会は上田市で開かれました。長野県で教職員の職能向上と県民の生涯学習の支援を目的に130年以上にわたって活動してきた公益社団法人「信濃教育会」の後藤正幸会長が「教育の出発点のおきどころ」と題して記念講演をしました。後藤さんは「『寺ニ大小アレドモ、住持ニ大小ナシ』の言葉がいまも引き継がれている」と述べ、学校の規模の大小は関係ないと指摘したうえで、「最も重要なことは新たな学びをつくり出す教師のありようだ」と話しました。

全体会で「SING SING SING」などを演奏する上田市立西内小学校金管バンド

 続いてアトラクションとして、32人の小規模校ながらバンドフェスティバルなどで活躍している上田市立西内小学校の金管バンドが「SING SING SING」などの曲を力強く、澄んだ音色で演奏。アンコールにこたえて「聖者の行進」も披露しました。

 午後からは6つの会場で12のへき地学校の教育の取り組みが発表されました。2日目は、県内の10会場に分かれて公開授業がありました。来年は富山県で開かれます。

学習塾と連携、笑顔と輝く瞳

 11日の公開授業では、長野県東端の群馬県境に位置する北相木村の村立北相木小学校(大日方良彰校長)を訪れました。標高約1000メートルの山村にある学校で、村の面積の91%は山林です。人口は約750人。林業が中心の村でしたが、近年は高原野菜の生産にも力を入れているそうです。

公開授業の会場となった北相木小学校

 この村が最も注目されているのは、児童数の確保や村の活性化を図る目的で1987年から始めた山村留学事業です。今年で33年目を迎えます。始めた当初は全校児童数66人のうち山村留学生は6人だったそうです。また、村では都会出身者の移住を受け入れる「Iターン」政策にも力を入れ、2001年には児童数が82人まで増えたそうです。しかし、その後はIターン家庭の児童の卒業や山村留学生の確保が難しくなったことなどから、2010年には児童数が27人、留学生はそのうち3人にまで減りました。村議会では隣町との小学校統合の請願書を採択しましたが、村と教育委員会がそこから取り組んだのが、いまの山村留学事業だそうです。

 山村留学事業は民間団体と連携していましたが、団体が撤退したため、村直営に切り替えて、別の村で山村留学事業に携わっていた指導員を迎え入れました。また、2011年度からさいたま市に本部がある民間学習塾「花まる学習会」と提携し、思考力や自己肯定感の向上をめざした特色のある授業を取り入れたことで、山村留学の希望者が大幅に増えたそうです。さらに、村営の山村留学センターでの生活は原則3年生以上としているため、2015年度からは1・2年生を対象に親と一緒に公営住宅に移り住んで学校に通う「親子留学」もスタートさせました。

 その結果、今年度の児童数61人のうち、山村留学生は32人と半数を超えています。首都圏だけでなく、関西や遠くは沖縄からの留学生もいるそうです。32人のうち、山村留学センターでゲームもテレビもない環境で共同生活を送っている留学生が19人、親子留学が13人です。また、地元の児童もIターン家庭が多くを占めているということです。

 この日の1校時はまず、同校が取り入れている「モジュール学習」と呼ばれる15分間の授業が公開されました。3年生は最初の3分間、立ってモニター画面を見ながらテンポよく詩や短文、ことわざ、百人一首などを全員で声を合わせ、メリハリをつけて音読します。次の3分間は一転して机に向かい、余りの出る割り算30問に挑戦、静まりかえった教室で自分の目標に向かって時間を計りながら集中力を発揮します。続いて先生が暗算のカードを次々に示し、1人ずつ瞬時に答えていくリレー形式の授業です。「発散と集中」をテーマに交互におこなう独自の方式だそうで、15分間はあっという間に過ぎていきます。

英語モジュールで英文を書く5年生の児童たち

 5年生の「英語モジュール」では、先生が英単語を読んだら全員で復唱。続いてその英単語をワークシートに書き写します。次に今度はモニター画面の英文をリズムに合わせて読み、さらにその英文も書き写していきます。最後は全員で英語の歌をうたいました。ここでも「動と静」が交互に取り入れられていました。どちらの教室も、児童たちはみな笑顔で大きな声です。やる気に満ちて、目がきらきらと輝いていたのが印象的でした。

 2校時は6年生の英語の授業を参観しました。北相木村では1981年に中学校が隣町の小海町との組合立中学校に統合され、村に中学校はありません。山村留学生の多くは小学校を卒業すると地元に帰るなどして村からいなくなります。児童らの日常会話のなかで「北相木に中学校があったらいいのに」という話が出たそうです。授業では、これをきっかけにして、北相木の好きなところやほしいものなどを英会話で伝え合い、「夢の北相木マップ」の作成をめざすことにしました。

北相木村の好きなところやほしいものについて英語でグループトークをする6年生の児童たち
楽しく会話をつなげる工夫は?


 担任の先生と外国語指導助手の2人が「会話がつながるように意識しながら、楽しくグループトークしよう」「話す側はリピート、ゆっくりなど伝える工夫を。聞く側はリアクションを示して」などとジェスチャーをまじえながらアドバイスします。児童同士で「What do you want in Kitaaiki?(北相木にほしいものって何?)」と質問すると、相手は「ミュージアム」「アミューズメントパーク」「中学校」「スケート場」などと答え、さらに「Why?」「How about you?」「Good idea!」「Really?」などと会話がはずんでいきます。大きな地図にほしい施設などが次々にマッピングされていきました。

 最後に児童たちは学習カードにそれぞれ「きょうの活動の振り返り」を書き込みました。「会話がつながると楽しい」「日常会話で英語を使えるようになりたい」「みんなリアクションができていた」などの振り返りの発表がありました。

エイサーを披露する北相木小の児童たち

 この後、体育館でアトラクションがあり、20数人の児童たちが太鼓を持って沖縄のエイサーを披露しました。山村留学センターに沖縄出身の指導員がいて、伝統芸能活動のひとつとして取り組んでいるそうです。公開授業の参観に訪れた約40人の先生をはじめ、父母らから大きな拍手が送られていました。

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