難民キャンプで「本の力を生きる力に」


(2016/11/02)印刷する

シャンティ国際ボランティア会が15年度事業報告

 アジアの6地域で学校、図書館建設を中心に子どもへの教育・文化支援を続ける公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(本部・東京都新宿区)が10月13日、ミャンマー難民キャンプの2015年度事業報告のために財団事務所を訪れました。財団の「友愛援助」対象事業の一つです。

 財団を訪れたのは、経営推進担当兼国内事業課課長の岡本喜代一さん、海外事業課ラオス担当、ミャンマー(ビルマ)難民事業担当の鈴木淳子(あつこ)さん、ミャンマー難民事業事務所・所長代行のセーラー(ジラポーン・ラウィルン)さんです。

左から岡本さん、セイラーさん、鈴木さん。セイラーさんが来ているのは、色鮮やかな刺繍のカレン族の衣装です

 2002年以来、これまでに7カ所の難民キャンプに21の図書館を建てました。材料は、東南アジア原産の国内のバンブー(竹)を使います。紐でつなぎ合わせたバンブーを、土台となる土に刺しながら固定していきます。1棟の建設費は約20万バーツで、日本円に概算すると59万円です。難民の人たちの手助けもあり1棟は1~2カ月で完成します。

 現地の教育部会と連携し、図書館は週に5日間開館し、12歳以上には貸し出しもしています。蔵書数は一館8千冊~1万冊で、毎月約100冊以上の新しい図書を届けています。子どもへの読み聞かせや紙芝居、人形劇、ゲームや手遊び、お絵かき、折り紙もしています。

 カレン語やビルマ語による民話や絵本など出版物は80タイトル以上です。難民の人たちがミャンマーに帰還した後で、日常生活の役に立つ技術や能力向上を目的として、子どもから大人まで幅広く利用できる活動をしています。

 子どもたちに本を読む習慣と読む力をつけさせることを目的とする移動図書箱は、保育施設や小学校、中・高校、特別支援学校、寄宿舎や学生寮でも不定期に実施しています。

 2014年からは、ミャンマー国内からも中・高校の学習参考図書の購入を始めました。

 2006年に設立した図書館青年ボランティアは、キャンプごとに約20人の青年たちが年2回、学校施設を利用し人形劇公演を開催しています。毎週土曜日には、図書館で子どもたちに読み聞かせもしています。

 岡本さんは、「今、一番力を入れているのは、難民の将来の選択や帰還に関係する情報提供と、情報を共有するサービスの関係機関との協力です。実際には、オフラインのUNHCR(国連の難民支援機関)のポータルサイトを使ってミャンマー本国や難民キャンプに関する情報を届けています。難民キャンプという閉ざされた世界の中では、活力は失われがちですが、本の力を生きる力にして欲しい。若い人たちから、やる気を感じられる時は嬉しいです。難民キャンプがなくなるまで支援を続けます」と話しました。

 1984年に正式に難民キャンプが設立され、現在も国境近くの9カ所に10万3千人が暮らしています。最低限の生活必需品の配給を受け取ることができますが、その配給もシリア問題が大きく取り上げられてからは減少傾向にあり、特に食料配給の減少は著しいそうです。

 シャンティ国際ボランティア会は、カンボジアの難民キャンプで教育・文化支援をするために1981年に設立され、現在はアジアの6地域で教育・文化支援を続け、国内外の災害に対しても緊急救援をしています。

 

図書館の外観
本を運ぶ難民キャンプの子どもたち

子どもたちに読み聞かせ活動をする青年ボランティア
難民キャンプの全景
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