クモといえば「8」/糸魚川・根知小で「クモ教室」


(2018/09/26)印刷する

 クモってホントはいいヤツなんだ!――。新潟県糸魚川市立根知小学校(田中敦校長)で9月13日、とかく嫌われがちなクモに親しむ出前授業が開かれました。ベルマーク財団がへき地校支援として開いている理科実験教室の一つです。全校児童40人の前で「奈良市から来たスパイダーマンです」と自己紹介したのは、日本蜘蛛学会員のせきねみきおさん。全国各地でクモ観察会を開き、クモの面白さや自然から学ぶ楽しさを伝えています。


たくさん見つかったナガコガネグモ

 一昨年暮れの大火からの復興が今も続く糸魚川駅前を通り、路線バスで約40分。せきねさんは朝8時過ぎに根知小に到着しました。授業開始は10時半なのでずいぶん早い到着ですが、それには訳がありました。クモ探しです。

 早速、学校の周りを歩きます。事前に地図を見て目星を付けていた橋の下は、空振り。廃屋の軒下、小川の周り、茂みの中などしらみつぶしに探しますが、見当たりません。授業開始1時間前、校庭を囲む涸れた側溝の中にたくさんのナガコガネグモが巣を張っているのを見つけてホッと一安心。いよいよ授業です。


 まずはクモの「絵描き歌」から。学校の玄関前に集まった子どもたちを前に「クモといえばハチー!」と、せきねさんの愉快な声が響きます。クモの体は頭とお腹に分かれ、〇を二つ重ねた8の字の形。足は8本、目も八つです。説明を交えながら、どんどんクモの絵が出来ていきます。「クモの天敵は?」と尋ねると、子どもたちからは「トリ―!」と元気な声が帰ってきます。「そうだね、鳥だね。でも、他にもいるんだよ。それは蜂」。オチが付いたところでクモの絵も完成しました。

 続いてクモの網の標本作りに挑戦です。見つけたクモの網から、まずは小枝などでつついて主に退去願い、白いペイントと液体糊をスプレーで吹きかけ、紺色のケント紙を当てて貼りつけます。仕上げにラッカーをスプレーして固定すれば出来上がりです。玄関前の植え込みに張られていたヤマオニグモの大きな網でせきねさんがお手本を見せると、紺色の地にくっきり白く浮かび上がった幾何学模様に、大きな歓声が上がりました。

 先ほど見つけておいた側溝に移動。4人ずつ10班に分かれた子どもたちが次々と溝に下りて行きます。最初はおっかなびっくりでしたが、ひとつ標本ができるともう夢中。「そっちの網の方がかっこいい」「あ、切れた」「クモが逃げてくれない」…。昨夜からの雨雲が切れた青空に賑やかな歓声が響きました。

クモの網に白いスプレー発射! せきねさんがまずお手本
わ、こんなとこにいっぱい居る!
クモさん、早く逃げて


 子どもたちは広口びんを使って実際にクモを捕まえてみました。大きいのから小さいのまで、子どもたちが次々に持ってくるクモの名前を、せきねさんが瞬時に言い当てていきます。「さすがスパイダーマン」と、学校の先生や参加した保護者もびっくり。名前が分かればクモは逃がします。この日はヤマオニグモやナガコガネグモだけでなく、クサグモ、オオヒメグモ、アシナガグモ、ハナグモなど、12種類が観察されました。

どれどれ、このクモはねぇ

 最後は体育館に移って、映像を使ったクモの話あれこれ。クモの網の張り方や、その仕組み、実は鋼鉄の5倍もあるクモの糸の強さ、田んぼの害虫ハンターの役割、クモの糸のDNA研究、日本や東南アジアに伝わるクモ相撲の楽しさ。初めて聞く面白話にあっという間に時が過ぎました。

 授業を終えた松尾颯くん(5年)は、「いろんなクモの名前が分かって面白かった。側溝にあんなにクモがいるなんて、今日まで全然知らなかった。また網の標本を作りたい」。子どもたちはすっかりクモが身近になったようでした。

        
クモの面白話に興味津々

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