バッジに光をためて、マントで紫外線をつかまえた/山梨・早川南小で理科実験教室
(2017/12/18)印刷する
太陽の光を利用して、不思議な現象を体験する理科実験教室が11月22日、山梨県の南アルプスに連なる七面山(しちめんざん)のふもと、早川町の早川南小学校でありました。光をためるバッジやスライムバルーンづくりに児童は歓声をあげ、先生たちも加わって楽しみました。
ベルマーク財団がへき地校で開く出前教室の一つです。全校児童21人のうち、3年生から6年生の16人が理科室に集まりました。講師は元高校の理科教師で宮崎県都城市の都城発明協会理事の村上規代さんです。
村上さんが仲間の協力も得て最近作ったスライド「ぼくは しがいせん」をまず上映し、紫外線の性質、地球を取り巻くオゾン層の大切さ、それを壊すフロンガスと地球温暖化について学びました。
体に害のある紫外線を避けるため、「帽子のつばは7㌢以上、長袖を着ること」「1時間ごとに15分は木陰に入ったり、タオルで体を覆ったりする」「好き嫌いせずに何でも食べよう」と、村上さんは説明していきます。
理解するには、楽しみながら実験するのが一番。ウルトラマンのバッジを作ります。透明な溶液に蓄光剤をまぜると熱を帯び、型枠に流し込むと白く固まりました。枠から取り出せば、ウルトラマンが出来上がりです。「ワーッ」と驚きの声があちこちから上がりました。
バッジを太陽光や蛍光灯に20分ほど当てると、ひと晩中光ります。光をため込んだわけです。
次は、目には見えない紫外線をつかまえる実験です。村上さんが「忍者えのぐ」と呼ぶインキを使います。これを練り込んだナイロンテープのマントを着て、屋外で紫外線を当てると赤紫やピンクの色を発し、紫外線を見えるようにしました。室内に戻ってしばらくするとドロンと色が消えるから、「忍者」です。
忍者バルーンスライムも作りました。「忍者えのぐ」と洗濯のり、お湯、ほう砂を使ってよくかきまぜると、「スライム」ができます。ドロドロの半液状の固まりです。ストローを差して息を吹き込んで膨らませればバルーンになります。これも紫外線を浴びると発色しました。
1時間20分の教室でした。「理科はもともと好きだけど、バッジやバルーンを作り、もっと好きになりました」と、児童代表はお礼を述べました。
小尾一彦校長は教室の始まりのあいさつで、こう話しました。「たくさんの人がノーベル賞をもらっていますね」「みんなの中から科学者が出てくれば、うれしいなあ」
村上さんは家の手伝いをする大切さを語りかけ、「そうすると、どうすればうまくいくかを自然と考え、いろんなアイデアが浮かんできます」と締めました。