瀬戸内海の豊島小・中学校で理科実験


(2017/11/24)印刷する

 ベルマーク教育助成財団のへき地校支援の一つ「理科実験教室」が11月8日、瀬戸内海の豊島(香川県土庄町)にある豊島小学校・中学校(岡下朋平校長、小学生24人、中学生14人)で催されました。国立研究開発法人・防災科学技術研究所の研究員「Dr.ナダレンジャー」こと納口恭明さんが考案したユニークな実験装置とお笑いのパフォーマンスを駆使して、子どもたちの興味をかき立てながら、災害に備える心構えを訴えました。


 金髪のかつらに、紙で作った3Dメガネと付けヒゲ、地下足袋……。奇抜ないでたちの納口さんが、ピンク色のアフロヘアの助手「ナダレンコ」こと罇(もたい)優子さんとともに体育館に登場すると、子どもたちの間から歓声が上がりました。皿回しのリレーでみんなの気持ちを一気につかんだ後、自己紹介しました。

 「こう見えても雪崩(なだれ)を研究している博士なんです!」

突風マシンで風を送るナダレンジャー(左)とナダレンコ

 続いて、「突風マシン」と名付けた空気砲を取り出し、会場のみんなをめがけて次々と発射していきます。

 「どう? 突風を感じた? おもしろいよねー。でも、このマシンがこの体育館ぐらいの大きさだったらどうでしょう。みんなはアリさんぐらいで、1㍍は飛ばされるよね。人間なら100㍍以上。大けがしたり死んじゃったりする」

 「災害をおこす自然現象もミニチュアにすればおもちゃになる。これをナダレンジャー第1の法則といいます」

 さらに、30万個のピンポン玉を雪崩に見立てて山でおこなった実験を紹介したうえで、それをミニチュア化して、発砲スチロールの細かい粒をビニール袋に詰めた装置を使い、みんなで雪崩を疑似体験しました。

実験装置「ナダレンジャー0号」で雪崩を体験

 「こんな粒でも、東京ドームのような大きな建物に詰めて山の上からいっぺんに流したら、先頭のスピードは新幹線ぐらいになるんだよ」という解説に、子どもたちは「えーっ」。落石事故に遭遇しながらも、機転を利かせて奇跡的に生き延びた家族のエピソードも披露し、「大きな災害では救助が間に合わない。自分たちの命は自分たちで守ることがとても大切」と強調しました。


 ここからいよいよ、メーンの実験です。最初の装置は液状化現象をペットボトルで観察する「エッキー」。針がついた丸いピンと砂、水をボトルに入れてシェイクしたあと、逆さにして、しばらく待ちます。ボトルの横を軽くたたくと、あら不思議。砂の中に沈んでいた丸ピンが浮き上がってきます。そして、棒をエッキーに差し込んで指ではじくと、今度は棒が沈みました。

 マンホールが地上に飛び出したり、電柱が地中に沈んだりしている東日本大震災の写真を見せながら、「地面の中にある軽いものは浮き、地上の重いものは沈むんです」。地震で液状化が一度発生すると何度も繰り返されることも実験で確かめました。

液状化実験装置「エッキー」をみんなで作ります
ボトルをたたいて振動を加えると、砂に埋まっていた丸ピンが浮かび上がってきました


 2番目の装置は、地震で建物が揺れる固有周期を比較する「ゆらゆら」。長さが違う3種類のスポンジを並べ、ビルに見立てています。「地震が起きたら、どれが一番揺れるかな?」。大半の子が、「一番長いスポンジ」と答えました。でも、早く揺らすと低いビルが揺れ、ゆっくり揺らすと高いビルが揺れました。

 「建物ごとに揺れやすいリズムがあるんだよ」

 「自分の家はこの前の地震では揺れなかったから大丈夫、と安心しないこと。いつかはその建物が揺れる地震が起きる可能性がある。忘れないでね」

実験装置「ゆらゆら」で建物の揺れ方を比較します

 最後は、車付きの板の上に発泡スチロール製のブロック36個を積み上げて「超高層ビル」を作り、どれくらいの揺れで倒れるかを実験しました。「下敷きになりたい人はいますかー」。ナダレンジャーの呼びかけに応じて、4人の子がブロックの両側にうずくまり、頭を抱えて丸くなります。ナダレンジャーがブロックを少しずつ強く揺らしていくと、やがて崩れ落ちました。「キャー!」「ワーッ!」。みんな大騒ぎです。

積み上げた発泡スチロール製のブロックの横にうずくまり、下敷きを体験します

「うわー、倒れるー」

 「さっきも言ったけど、ミニチュアにすると災害の実験は面白く感じます。でも、本物だったら死んじゃうってことわかってね」

 「ただし、勉強する時は楽しい方がいいから、楽しくやりまーす」。そう言ってナダレンジャーがナダレンコと一緒にかつらなどの変装を取って素顔を披露すると、子どもたちから大きな拍手が起きました。

 納口さんは「子ども時代に災害に対する興味関心を持ってもらい、大人になって怖さを学んでほしい」と、20年ほど前から、こうした防災科学教育に取り組んでいます。

 「むずかしいことはおもしろく、おもしろいことはむずかしく」をモットーに、凄腕の大道芸人や対面販売の達人の集客術、そして、詐欺師のテクニックさえも分析しながら、「Dr.ナダレンジャー」のスタイルを作り上げ、年間200カ所以上で「授業」を重ねています。こうした活動が評価され、2007年3月には第3回小柴昌俊科学教育賞奨励賞、12年には「科学技術分野の文部科学大臣表彰」で「科学技術賞(理解増進部門)」を受賞しています。

 豊島は小豆島から4キロほど西にある15平方キロほどの小さな島です。人口は約900人。2010年から3年おきに開催されている瀬戸内国際芸術祭をきっかけに、アートの島としても知られるようになり、外国からの観光客も増えています。


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