Dr.ナダレンジャーが楽しく防災の実験教室/大阪府茨木市の忍頂寺小学校


(2016/01/06)印刷する

 大阪府茨木市の山間部にある市立忍頂寺(にんちょうじ)小学校(森亮校長、児童26人)で12月17日、ベルマーク財団のへき地理科実験教室が開かれました。講師はDr.ナダレンジャーこと、国立研究開発法人防災科学研究所の研究員、納口恭明(のうぐち・やすあき)さん。奇抜なコスチュームとユニークな話術で子どもたちを引き付け、大地震の際に起こる液状化現象や高層ビルの揺れ方などのメカニズムを実験で披露し、防災の大切さを訴えました。

 金髪のかつらに紙製のサングラス、足には地下足袋。「不審者じゃないよ、これでも雪崩(なだれ)の専門家で、ナダレンジャー!」。納口先生が教室に登場すると、集まった4年生以上の14人は大喜びです。皿回しや空気砲で児童を引き付けた後、防災の実験に入りました。

児童たちに大人気だったDr.ナダレンジャー

 東日本大震災でマンホールのふたが地上に飛び出した写真を見せて「これが液状化と言います。どうして起こるか実験してみよう」と切り出し、水と砂、軽いビーズ玉をいれたペットボトルを取り出しました。納口先生が特許を取得した液状化実験装置「エッキー」です。

ペットボトルと砂、水だけで液状化を観察できるエッキー

 ボトルを振った後、机の上に置いて砂と水が分離するのを待ちました。ビーズは砂に埋まっています。「指でボトルをはじくとどうなるかな」と納口先生がピンとはじくと、ビーズ玉が表面に飛び出しました。児童たちはびっくり。さらに「東日本大震災ではこんなことも起こりました」と地中に埋もれた電信柱の写真を見せました。エッキーに旗を付けた棒を差し込み、また指でボトルを弾くと、ストンと砂のなかに落ち込みました。

 「面白いでしょう。でもこれが大地震で起こると大変な被害になるんだ」と納口先生は話します。

 続いて、納口先生が開発した地震の揺れ実験装置「ゆらゆら」。長さの違う三つの細長いスポンジを板に張り付けたものです。スポンジには窓枠が書かれ、ビルに見立てています。「今から板を前後に何度も滑らせます。どのビルが揺れるでしょうか」と聞きました。多くの児童は「一番、長いもの」と答えました。にやっと笑った先生は、素早く板を滑らせると最も短いビルが揺れました。児童たちは「あれっ」と不思議そうです。今度はゆっくりと長く滑らせると、最も高いビルだけが揺れました。「地震の揺れの波の違いでビルの揺れ方が変わるんだよ」と話しました。

どれだけの揺れでブロックが倒れるか実験です

 最後に会場を体育館に移しました。「では、どれだけの強さでビルが倒れるか実験しよう」。滑車の付いた板の上に発泡スチロールのブロック36個を積み上げました。児童たちが一列になって脇に座ります。「ちょっとずつ強く揺らすから、倒れてきたら逃げていいよ」と先生が話して揺らし始め、強くしていくとブロックが児童たちの上に落ちていきます。「わーっ」と騒ぎましたが痛くはありません。「これも実験だとハラハラドキドキで楽しいけど、本当の地震だと非常に危ないよね。」と締めくくりました。児童は「今まで知らない揺れのことを体感できて楽しかった」と話しました。

 納口先生は、「地震や雪崩、台風などを子どもの時に面白いと思って興味を持ってもらい、大人になって怖さを学んでほしい」と約20年前から子どもたちに防災教育をしています。楽しいおしゃべりで人気でした。ところが、初めて大阪の子どもたちに実験をしたところ、まったく受けなかったそうです。そのため何とか引き付けようと現在の「Dr.ナダレンジャー」のスタイルが出来上がったそうです。2007年には第3回小柴昌俊科学教育賞奨励賞を受賞しています。

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