九州北部豪雨・被災校ルポ


(2017/10/11)印刷する

 福岡、大分両県で37人が死亡、4人が行方不明となった7月初めの九州北部豪雨。被害が集中した福岡県朝倉市と大分県日田市では校舎が被災し、他校に仮設した教室で授業を続けている学校があります。ベルマーク財団にどんな支援が出来るかを探るため、現地を訪ねました。

 


 

 福岡、大分両県で37人が死亡、4人が行方不明となった7月初めの九州北部豪雨。被害が集中した福岡県朝倉市と大分県日田市では、校舎が被災していまも戻れず、他校に仮設した教室で授業を続けている学校があります。

 福岡県中部にある朝倉市。緑の山々はあちこちで褐色の土がむき出しになっています。豪雨の傷跡です。道路や町並みは一見、普段通りですが、土砂で埋まった家屋や流木などが時おり目に飛び込んで来ます。土で埋まった農地も点在しています。住民は「豪雨直後は国道も泥だらけで、車が通れなかった。悪夢でした」と語ります。

 

志波小の体育館と校舎。斜面の木が生えていない所が、崩落して補修された部分。この一帯は畑が広がっていましたが、土砂で埋まり、川の流れも変わりました
泥で埋まった松末小の校庭

 被害が大きかったのは、市東部の旧杷木(はき)町です。志波(しわ)小学校(児童数26人)を訪ねました。市の支所(旧町役場)から役3キロ西の山あいの高台。裏手の川が増水し、校舎と体育館の脇の斜面をえぐり取りました。

 断崖となった現場はいま、階段状に土を盛り、土のうを置いています。雨で再び崩れる危険性があり、校舎は使えない状態です。

 大分県寄りの山間部にある松末(ますえ)小学校(同27人)にも立ち寄りました。豪雨で道路が寸断され、一帯が孤立。土石流で校舎1階が床上浸水しました。

 現在も車両の通行は制限され、運動場で土砂の撤去作業が続いています。浸水した周辺の家々は開け放たれてひっそりとしていました。あふれた川は学校の脇にあり、ホタルが飛び交う清流でしたが、いまは泥水が流れています。

松末小のすぐ脇にある乙石川。泥水が流れ、清流の面影はありません

 両校とも旧町の中心部に近い久喜宮(くぐみや)小学校に移りました。運動場に設けられたプレハブの2棟が仮校舎です。保健室、職員室、校長室はそれぞれにあり、理科室、音楽室、体育館は久喜宮小の施設を使っています。

 志波小では家が被害に遭った児童はほとんどいません。一方、松末小は多くの子の家が被災し、校区外に移りました。両校ともスクールバスが通学の足になっています。

 3校はもともと、旧杷木町にある杷木小とともに来春1校に統合される予定でした。新校舎は杷木中学校敷地内に建設中です。

 児童の様子について、志波小の三浦千鶴子校長は「来年度から同じ学校に通う子らと仲良くなろうと、明るく前向きです」と話します。松末小の塚本成光校長は「ほとんどの子が楽しく過ごしています」としつつ、「低学年では、雨が降ると気持ちが不安定になって登校を嫌がったり、泣き出したりする子もいます」。定期的にカウンセラーが派遣されています。

 両校とも図書を置くスペースがあまりなく、読書の環境を整えられないことが悩みです。来春の統合時に松末小から持ち寄る予定だった机やいす、ピアノなどが被災で使えなくなったことも想定外でした。市の財政が厳しい中、どう調達するか、頭を痛めています。

 元の校舎には戻れないかもしれません。「せめて閉校式は地元で」。両校長ともそう考えています。

 

久喜宮小の運動場に建てられた仮設校舎。右が松末小、左が志波小

 


 

 朝倉市の東隣にある大分県日田市。JR日田駅から9キロほどの山あいにある市立小野小学校(児童数33人)は、町側へ約4キロ下った市立戸山中学校で間借りしています。

 小野小はがけ崩れで道路が埋まり地区ごと孤立。運動場や校舎の一部も浸水しました。道路は仮復旧したものの、安全面を考慮し、当面は戻らない方針です。スクールバス通学し、遠い子は16キロ先から来ています。教室は戸山中の2階で、1教室を仕切って2学年で使っています。

 冷川善幸校長は「子どもらは中学生との交流を楽しんでいますが、慣れない環境でストレスはたまっているはず」と言います。

 「いま必要なものは」との問いには、「ブックワゴン」との答えが返ってきました。以前から読書には力を入れており、戸山中の2階にも図書スペースを設け、100冊ほど並べています。「小野小から持って来ている本はほんの一部ですが、教室間を移動可能なブックワゴンがあれば、児童が本に触れる機会を増やせる。不便さを少しでも解消してあげたい」。ささやかだけど切実な願いです。

 

戸山中の2階にある小野小の5年生の教室。パーテーションの向こう側は6年生の教室になっています
戸山中2階の小野小の図書スペース。長机の上に本が並びます

 


 

 朝倉市立比良松中学校(生徒数160人)は校舎は無事でしたが、体育館などが被害を受けました。

 目の前の川が増水し、運動場につながる橋が損壊。コンクリートの堤防も崩落し、体育館と技術室の基礎部分が流失しました。隣接する体育施設などを利用してしのいでいます。技術室はひしゃげて危険な状態で、機械や工具が取り出ない状態。体育館も用具が置かれたままです。

 3割近い生徒の自宅が被災。県内外から支援金や激励の手紙が相次いで寄せられました。復旧のめどは立っていませんが、坂井満校長は「応援への感謝の気持ちを忘れずに前へ進みたい」と話しています。

 

堤防が崩れ落ちて損壊した比良松中の技術室。右奥の体育館は基礎の支柱が露出しています

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