神奈川・茅ヶ崎市立松浪小が500万点達成


(2021/12/02)印刷する

 神奈川県茅ヶ崎市にある市立松浪小学校(安倍武雄校長、児童980人)のこれまでに集めた累計点数が今年4月、500万点を超えました。同校がベルマーク運動に参加したのはちょうど50年前の1971年。活動はPTAが担い、毎年着実に点数を積み上げてきました。ただし、今回の大台達成はいつもと一味違うようです。と言うのも、達成直前に8万点もの点数を積み上げたのは子どもたちだったからです。

校長室前に掲示されている大台達成の感謝状。左が2013年5月の400万点、右が今回の500万点

 ベルマーク活動をリードしたのは昨年度5年5組だった子どもたち。送付に至るまで、いくつもの壁にぶつかり、その度に自分たちで解決策を練って乗り越えてきたそうです。当時担任だった萩尾雅貴先生は、今春から別の学校に勤務していますが、当時のお話を聞くことが出来ました。

 きっかけは総合的な学習の時間に萩尾先生がSDGs(持続可能な開発目標)の話をしたことでした。「よりよい学校づくり」というテーマでした。学びを深めていくうちに、子どもたちは「松浪小をもっとよい学校にすることはSDGsにつながる」という結論にたどり着きました。そこで、SDGsの「誰一人取り残さない」という原則に従い、「松浪小の児童全員のためになる活動」を考えることになりました。

 学校の現状を調べた子どもたちは、PTAのベルマーク活動が、コロナ禍の影響で思うように出来ていないことを知りました。みんな、ベルマークを集めると学校備品を買えるということは知っていたので、「自分たちでベルマークを集めて、コンビネーションジムを買いたい」と意見がまとまってきました。コンビネーションジムは、すべり台やジャングルジムが一体となった遊具です。かつて松浪小の校庭にもあって、子どもたちに人気だったそうですが、安全を考慮し、3年前に撤去されていました。

 いざ調べてみると、コンビネーションジムなどの遊具はとても高価。そのことを知った子どもたちはとても驚いたようです。「そこで諦めてしまえば、話は終わってしまう。でも、クラスみんなで最後までやり切ったという成果を出したかった」と萩尾先生は話します。

 「必要な点数を自分たちが達成できなくても、次の代につないでいけば、よい学校づくりになるよね。それって持続可能な社会を目指すSDGsの考え方と通じるよ」。このように萩尾先生がヒントを出すと、子どもたちはすぐさま理解し、クラス内でのベルマーク収集が始まりました。ところが、クラスの約30人だけだと、期待したほど多くのベルマークが集まりません。そこから、学校全体で取り組もうという大きな試みが始まったのです。

ベルマークポスト(歳常さん提供写真)
ベルマークポスト(神保さん提供写真)

 効率よく活動できるよう、まず5つの班をつくりました。校内放送で流す動画を制作するCM班、ベルマーク回収箱を改良するボックス班、マークの仕分けを専門とする数え班、紙パックを担当するテトラパック班、そしてポスターを使って活動をアピールするポスター班です。

 CM制作やボックス設置は、子どもたち自身で学校長に許可を取りました。ベルマークのポストは各クラスに置かれていましたが、それを集約して新たにデザインしたものを昇降口など校内6ヵ所に置きました。集まったベルマークは数え班を中心に、休み時間や放課後も使いながら仕分けました。今回集まった点数と、これまで貯まっていたベルマーク、回収箱に貯まっていたテトラパックも合わせて、合計で8万3252点。財団への発送の準備も自分たちの手で行いました。


左からベルマーク担当の久米麻里子さん、PTA会長の日野聖美さん、500万点達成の感謝状を持つ安倍武雄校長、昨年度PTA副会長の高橋容子さん、ベルマーク担当の市間敦子さん

 子どもたちの活動を見守っていたのがPTAの皆さんです。昨年度副会長だった高橋容子さんは、全家庭向けのお便りで「ベルマークのはなし~お助けマンは5年生~」と特集を組みました。そして、保護者と先生方は早速子どもたちに還元しようと話し合い、55型モニターとモニター台の購入を決めました。購入品について、安倍校長は「保護者の皆さんは、どのような備品が必要かを聞いてくれます。具体的な目標があったほうが頑張れるから、と言ってくれた方もいて、感謝しています」と話しました。購入したモニターは各教室に配備されているものよりも大きな画面で、子どもたちにも学習内容が伝わりやすくなったそうです。

購入した55型モニターとモニター台
モニターの裏にはベルマークシールが貼られている
高橋さんが作成したお便り「2020年度のベルマークのはなし」

 今は6年生になっている子どもたちに、活動を振り返ってもらいました。歳常夏梨さんは「交渉したり、文章を考えたりすることが難しかった」。でも、こうした活動で子どもたちは鍛えられていったようです。畑中爽甫さんは「宣伝する力が身に付いた。この力は委員会活動にも応用できそう」と語ります。

 校長室で交渉にあたった神保桃さんは、CMを流す目的やベルマークが集まったら何を買うかを問われたといいます。「これまでは捨てちゃうこともあったベルマークも、みんなで集めるとモニターが買えるほどにまでなることに驚きました」

 テトラパック班だった下川蓮太郎さんは「身近な商品にベルマークが付いていたり、普段飲んでいるものがテトラパックだったりと、新しい発見が出来ました」。また鷹司雅教さんは「ベルマークを数えることは楽しく、終わると達成感を味わえました」と感想を教えてくれました。

 500万点の大台達成は、5年5組の活動はもちろん、これまでのPTA活動の積み重ねでもあります。現在、松浪小学校では、働く保護者も多くいることなどから活動の見直しを図っています。「PTA組織のこれからの継続を考え、試行錯誤しながら改革している途中です」と話すのは今年度PTA会長の日野聖美さん。ベルマーク活動については今年度、委員会からボランティア制度に移行しました。在宅で仕分け・集計をするボランティアと、来校してテトラパックやカートリッジの整理・発送を担うボランティアの2種類があり、約80人の保護者が協力してくれているそうです。

松浪小には保護者が作ってくれたベルマークコーナーがある

ベルマーク商品

かんじれんしゅう S-402

ベルマーク検収

今週の作業日:4/15~4/19
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