県立岡山聾学校が50万点達成


(2019/12/04)印刷する

 岡山市にある県立岡山聾学校(岡本由美校長・生徒数59人)が8月に累計50万点を達成しました。ベルマークの仕分け・集計は、PTA文化部(幼稚部の保護者)の「チャレンジベルの会」が中心となり、少人数ながらも継続して活動してきました。

さすが「晴れの国おかやま」。とってもよいお天気でした
創立100周年の際に制定された校訓

 JR岡山駅から山陽本線で10分、3つ目の東岡山駅で降り、北へ700mほど直進すると学校が見えてきます。この地域は「岡山平野」というだけあって、低く平らな土地が広がっています。

 県内の聾学校は同校だけ。それだけに様々な機能が求められます。岡本校長は「乳幼児教育相談をはじめとして、聴覚障がい教育のセンター的役割も持っており、地域とのつながりも大切にしています」と話します。幼稚部から高等部までの子どもたちが通い、遠方に住む子どもたちのために寄宿舎があります。

 PTA文化部は現在10人。「チャレンジベルの会」という名前は、1991年に参加登録をしたときの保護者が「頑張って活動しよう」という気持ちを込めて名付けたのではないか、と教えてくれました。幼稚部教頭の岡田千登勢先生は「文化部の皆さんは、ベルマークの集計でも、幼稚部祭りの準備でも、素晴らしいチームワークを発揮してくださいます」と感謝の気持ちでいっぱいだそうです。

 部長の岡本菜摘さんは、「部長といってもひとりで仕切る仕事ではありません。みんなに協力してもらっているので、楽しくやっています」と言います。下の名前で呼び合うメンバーもいて、雰囲気の良さをうかがうことができました。「私たちの活動が子どもたちに還元されて、子どもが楽しそうに遊んでいる姿を見るのが嬉しい」と岡本さん。

PTA文化部の皆さん。下段右から2番目が岡本菜摘さん

 全家庭にマークを入れる袋を配り、月に1回持ってきてもらいます。仕分け・集計の作業は不定期で、平均すると月1回程度ですが、メンバーが集まることができるタイミングを見計らって決めています。毎回約2時間を費やしますが、終わってからその場でお弁当を食べて、子どもを迎えに行くこともあるそうです。

 作業は2段階です。最初はマークを会社別に分け、次に10枚ずつにまとめます。まとめ方はマークの素材によって工夫し、紙のものはセロハンテープで、クルクルと丸まりやすいビニールのマークはホチキスを使います。

まずは会社別に仕分け
仕分けには紙コップを使用しています

 参加者からは「私の出身校は小・中・高とベルマークを集めていませんでした。もっと早く知っていたら小さい頃から集めていたと思う。集めていないのがもったいなかった」「仕分け、結構楽しくやってます」「この作業で集まるマークを見て、『これにも付いてるんだ』と知り、家でもベルマークに気をつけるようになった」という声や、自らも同校の卒業生だという方からは「私の在学時にはすでに集めていました。お母さんがマークを切っている姿を見て『これはなあに?』と聞いたらベルマークでした。『切ったらお金に変わるんだよ』とも教えてもらいました」というエピソードもありました。


 昨年7月の西日本豪雨で同校は幼稚部と聴力測定室が床上浸水の被害を受けました。防音設備のある聴力測定室は、聾学校に通う子どもたちにとって必要不可欠なものですが、この被害で改修を余儀なくされたと言います。「学校周辺は夜、川のようだったみたいです。朝、学校に来てみたら、水は引いていたものの、スリッパなどいろいろなものが動いて、あちこちに散らばっていました」と岡本校長は当時を振り返ります。

 他にも多くのものが水に浸かりました。そのひとつが、子ども達が楽しみにしている、運動会の綱引き用の綱。直後の9月には、体育祭が控えていました。そこで救いの手を差し伸べたのが大手自動車部品メーカー、デンソー(本社・愛知県刈谷市)の社内ボランティアグループ「昼ボラ隊」。生徒の就労に関して連携をとっている経緯があり、昼ボラ隊の社員がお見舞いと状況について電話で話した際に、被害を知りました。

新しい綱で綱引き


体育祭の応援に駆け付けたデンソーの社員
綱に記念ラベルを貼りました

 「昼ボラ隊」は2011年、東日本大震災をきっかけに「昼休みにボランティアをしたい」有志が集まって結成されました。現在も主に昼休みを中心としてベルマークの仕分けや集計をし、これまでに14校に計230万点のマークを寄贈してきた実績があります。

 この昼ボラ隊から約16万点のマークが緊急に寄贈され、同校はそれを使って新しい綱引きの綱を買うことができました。体育祭当日には社員5人が応援として駆け付け、学校側も来場者と子どもたちに購入の経緯を説明して感謝の意を伝えました。

 同校は昨年度、ベルマーク財団から特別支援学校の援助先として短焦点プロジェクターを贈っています。こうした経緯もあり、事前に答えていただいたアンケートには「今後とも教育設備充実にお力を貸していただければ幸いです」とありました。

 岡本校長は「幼稚部から高等部までありますが、幼児児童生徒59人という小さな学校です。PTAの皆さんが地道に積み重ねてきたことや、企業さんなどにお世話になっての50万点達成です。ありがとうございました」と話しました。

幼稚部祭りでは、保護者が一生懸命作ったアトラクションで盛り上がりました
幼稚部の子どもたちの作品。「おじいちゃんおばあちゃん、いつもありがとう」

高等部の産業デザインコースでは、木工製作の技術を身に付けます
過去に生徒が製作したカレンダー。大切に使われています
生徒が考案したマスコットキャラクターの「たっぴー」

ベルマーク商品

鉛筆

ベルマーク検収

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