海外の子どもたちの力になりたい/成田市立吾妻小「ベテラン募金会社」が寄贈


(2023/06/22)印刷する

 「困っている人に寄付することは今まで味わったことのない気持ちがしました」

 千葉県成田市にある市立吾妻小学校(西﨑祐一校長、児童699人)から昨年10月、協賛会社別に仕分けられたベルマークと手紙が届きました。差出人は「吾妻小5年4組ベテラン募金会社」。手紙の最後には、署名のように、手書きで社名が記されていました。さらに今年3月には、「後期分」として2回目の寄贈マークが財団に届いたことから、年間を通して活動してくれたことが分かりました。

寄贈マークと一緒に届いた手紙

 どのような会社なのか話を聞くため、同校にうかがいました。会議室に集まってくれたのは9人の子どもたちと、5年4組の担任だった島田康男先生です。「5年4組ベテラン募金会社」は社長の浅野衣咲さん、副社長の髙野友暖さん、社員7人の構成で、この日は全員が集まってくれました。初めは重役の2人だけが来てくれる予定でしたが、「最後までみんなで協力してきた活動だから」と浅野さんが呼びかけてくれたそうです。

 活動を始めたきっかけは、道徳の授業で、世界には困っている人がたくさんいる現状を知ったことでした。そのような人たちのために、「募金活動をしたい」と子どもたちが声をあげました。しかし、学校で子ども同士がお金のやりとりをするのは現実的ではありません。もともと、世界の貧困や難民問題などに強い関心を持っていた島田先生は様々な海外支援団体について調べましたが、多くはお金の寄付を募る活動でした。

 そこで、「お金以外で支援できるもの」を検索し続けた島田先生がたどり着いたのがベルマーク。財団に寄贈されたマークは、海外支援にも活用されます。島田先生は「お金の受け渡しが必要なく、学校内での子どもたちの活動にふさわしい」と考えました。

「吾妻小5年4組ベテラン募金会社」の9人。後列左が島田康男先生

 有志を募ったところ、興味を持ったのが9人の子どもたちです。島田先生のアイデアで、あえて「係」ではなく、「会社」を設立して活動することにしました。

 子どもたちの中には、身近な商品に付いているベルマークの役割を知っていた人もいれば、ベルの形をしていることしか知らない人もいましたが、「他の国の人たちのために役立ちたい」という思いは全員一緒でした。

 ベルマークの収集には自分たちだけでなく、先生や他のクラスの友達の協力も得ました。仕分けは休み時間や行事の準備の合間など、少しでも空いた時間を見つけて取り組みましたが、仕分けられないほどのマークが集まったため、放課後に活動した人もいました。浅野さんによると「あと1週間くらいで6年生になるときには、数えきれないと思って公園に集まって活動した」そうです。

 整理したベルマークを1回目に財団に送るとき、みんなで決めたのが「吾妻小5年4組ベテラン募金会社」という社名です。「『寄付のベテラン』みたいになりたい」「世界に貢献したい」と、活動に込めた強い気持ちを表しました。9人に感想を聞くと、「みんなで協力する活動はとても楽しかった」と口をそろえて話してくれました。

 島田先生がアイデアを出した「会社」活動は4年前から、先生が担任になったクラスで始めた取り組みだそうです。学校では「係」を設けることが一般的ですが、島田先生は「やって当たり前として捉えられがち。活動の効果も見えづらい」と感じました。「会社」としての活動にし、役員を決め、給料のシールを手渡すことで、「自分たちの頑張りを見える形にし、社会の一員だという自覚も芽生えたら」とのねらいがあります。「子どもたちを見ていると、話す機会があまりなかった子同士の交流の輪が広がったことも実感できた」と教えてくれました。

 「会社づくりいいな、4組に移りたいな」と友だちからうらやましがられた社員の子は、とても誇らしい気持ちになったようです。

ベルマーク商品

ゴールデンハヤシライスソース193g

ベルマーク検収

今週の作業日:4/30~5/2
2/20までの受付分を作業中