レモネード大作戦で10万円寄付/関西学院大の学生たち
(2018/11/16)印刷する
「明日からレモネードを売って、その売上金を西日本豪雨被災地に援助したいのですが……」
10月15日、財団にこんな電話がかかってきました。関西学院大学理工学部3年の竹本みぞれさんです。翌16日から3日間、同大学で開かれる生協祭にレモネードのスタンドを出すのだそうです。
財団では西日本豪雨の被災学校への緊急友愛援助を募集しており、もちろん現金の寄付もOK。竹本さんの指示で、同大人間福祉学部の森美月さんのところに、財団からベルマーク運動の冊子など資料をお送りしました。
17日朝、竹本さんからメールが届きました。添付された写真には、レモネードの現物や出店の様子、手書きの宣伝ボードを持つ学生たちの姿などが映っていました。初日は336杯が売れたそうです。
後日、森さんからもメールが届きました。3日間で合計959杯が売れ、その他個別販売も加えて目標の10万円を達成し、ゆうちょ銀行経由で財団に振り込んだとのことでした。財団から出す領収書の宛名はどうするか訪ねたところ、森さんの返事はこうでした。「レモネード大作戦――西日本豪雨被災校援助の寄付金として」
竹本さんと森さんに話を聞くことにしました。理工学部と人間福祉学部はキャンパスが離れているため、お二人がそろう日時に電話でインタビューしました。
関西学院大にはボランティア活動支援センター「ヒューマンサービス支援室」という仕組みがあり、ボランティア活動の情報収集・発信を担っています。阪神淡路大震災時以来の伝統ある組織です。現在の「支援室」という形になった2016年、熊本地震があり、学生たちが現地にボランティアで入りました。森さんと竹本さんは、そのときに現地で知り合ったそうです。「キャンパスも違うので、ボランティアがなければ会うこともなかったかも」と二人は笑います。
今年7月の西日本豪雨を受けて、ボランティア仲間のミーティングで何か募金活動をしようということになりました。話し合った結果、生協祭にあわせレモネードスタンドをやって売上を寄付することに。さっそくレモンを買い付けるため、瀬戸内のレモン農家を探してメールで問い合わせをしました。
すると、なんと広島の2農家から、趣旨に賛同するから無償でレモンを送るという連絡がありました。そして、計68㎏、約800個ものレモンが送られてきたのです。「全然知らなかった方なのに……。とてもありがたかった」
頑張ってレモンを搾りまくり、基となるベースを作成。味は「おいしかった。果肉も入っていたし」。レモネードスタンドに関わったのは計27人。手製のボードを手に宣伝や呼び込みもしました。スタンドの位置が食堂の近くのいい場所だったこともあり、よく売れて、ほぼ目標を達成。「おいしく楽しく、手軽に、という形で、参加しやすい企画になりました」。買ってくれた人の中には「今度被災地にボランティアに行くよ」と話す人もいたそうです。
売上を寄付する先は色々と探したのですが、結局ベルマーク財団を選んだのは、使い道が具体的だったことがポイントでした。「子どもたちのために使われるのって、いいよね」。みんなにも納得してもらえるし、何よりベルマークならみんな知っているというのが大きかったそう。「私たちも子どもの頃、マークを切っていましたから」。
お二人とも今3年生ということで、そろそろ将来の進路を考える時期です。竹本さんは「私は大学院に行こうと思っています。そして、専門性を身につけた上で、さらにボランティア活動をしていきたいです」と言います。
森さんは「誰かに働きかけるという仕事に興味があり、そのためには、伝える側の思いだけではなく、受ける側の効果やメリットはどうか、ということも知りたい。学部を移ってもっと勉強しつつ、被災地に企画を持ち込んで支援することができたら」と話してくれました。
お二人のような学生が次の時代を担ってくれたら日本も安泰――そんな気持ちになりました。これからも頑張ってください。