「人のためになることができた」/大阪府立中央聴覚支援学校、絵本を届ける運動に初参加
(2020/10/05)印刷する
大阪市内にある大阪府立中央聴覚支援学校が、ベルマーク財団「教育応援隊」のひとつ「絵本を届ける運動」に初参加しました。
この運動はシャンティ国際ボランティア会(SVA)が続けており、貧困や紛争によって本に触れる機会が乏しいアジアの開発途上国の子どもたちに絵本を送ろうと、翻訳シールを貼って母国語で読めるようにして届けるボランティア活動です。ベルマーク財団は2000年から支援を続け、毎年ベルマーク運動に参加している中から有志の学校がシール貼りに協力しています。
中央聴覚支援学校では、幼稚部から高等部まで幅広い年齢の生徒が学んでいますが、今回この活動に参加したのは中学部の生徒28人。学校として参加するのは今年が初めてですが、実は冨川裕子先生は昨年、個人的に絵本を3冊取り寄せ、中学部の生徒数人と作業を体験済み。実際にやってみた上で「これはぜひみんなにもやってほしい」と感じ、道徳(国際貢献)の授業の一環として今回の参加を決めました。
まずは9月2日に事前学習として、シャンティ国際ボランティア会の活動を紹介。自分たちが作業をした絵本がどのようにして外国の子どもたちの手に渡るのか、そしてその子どもたちがどんな風に絵本を活用するのか、ビデオを見ながら学び、具体的なイメージをふくらませました。そして16日、いよいよ実際の作業です。中学部1年生から3年生までの28人が縦割りで3グループに分かれ、ミャンマーに送られるビルマ語の絵本を作りました。
作業のすすめ方については自由。先生からの細かな指示はなく、生徒たちが話し合って決めるため、グループによってさまざまな方法が見られました。シールを切る人、渡す人、貼る人と役割を分担するグループもあれば、1人に1冊を割り当てて各自で黙々と仕上げるグループも。
「この学校の生徒は、できること、できないことがみんなそれぞれ違うのですが、それを理解し、お互いに助け合う姿が見られてよかったです。いつもおとなしい生徒が意外なリーダーシップを発揮するなど、新たな発見もたくさんありました」と冨川先生。
「授業時間内に完成できるのだろうか」と心配していた先生方でしたが、みんなの頑張りは予想以上。各グループさまざまなハプニングを乗り越えながらも、時間内に全部で24冊の絵本を完成させました。
作業を終えた生徒たちは「名前をビルマ語で書くことが難しかった」「1人だと作業が間に合わなかった。みんなで協力する大切さを知った」「自分がシールを貼った絵本を、たくさんの人に読んでもらえるとうれしい」「人のためになることができて良かった」と感想を披露しました。
ほかにも学校では、ペットボトルキャップ回収やベルマーク収集にも取り組んでいます。高等部は4年前から災害ボランティアにも参加しており、昨年の西日本豪雨の時には数人が被災地へ向かいました。
冨川先生は、「日頃、支援されることが多い生徒たちにとって、自分が支援する側にまわる経験はとても貴重です。社会の一員としての充足感と達成感を得ることができるので、こういった運動に参加させて頂けるのはとてもありがたい。これからも積極的に続けていきたいです」とほほ笑みました。
【今回送る絵本】あのひのこと(佼成出版社)、けんかのきもち(ポプラ社)、とべ!ちいさいプロペラき(福音館書店)、みずうみにきえた村(ほるぷ出版社)、ブレーメンのおんがくたい(福音館書店)