生徒2人、離島の中学からマーク届く/岡山・笠岡市立白石中
(2020/09/28)印刷する
瀬戸内海に浮かぶ白石島(岡山県笠岡市)の市立白石中学校(小橋重一校長、生徒2人)から8月下旬、ベルマークが届きました。人口433人の島で唯一の中学校で、マーク集めには島民たちが協力しました。同校は再来年、島外の中学に統合される予定で、これが白石中としての最後のベルマーク送付になる見込みです。
白石島は、県の南西端に位置する笠岡諸島のひとつで、市内の笠岡港から高速船で22分。周囲約10kmの島の各所には花崗岩が露出し、多くの奇岩や巨石が見られるほか、夏は海水浴やマリンスポーツも楽しめます。
白石中は1949年に開校し、1987年に現在の場所に移りました。小高い丘の上にある鉄筋3階建ての校舎からは、港や海水浴場、瀬戸内の島々などを望むことができます。
島の人口減や少子化のため、1950年の177人をピークに生徒数は減り続け、今春に3人が卒業した後は、生徒は天野公平(きみひら)さん(3年)、河田拳志郎さん(2年)の2人だけになりました。
白石中には入学予定者が今のところおらず、今2年生の河田さんが卒業した後の2022年度には在籍者が0人になる見込みで、同年度から本土側にある市立神島外(こうのしまそと)中学校に統合される予定です。
今年度は新型コロナ禍による休校がありましたが、4月の遠足では、島中央の鬼ヶ城山頂近くにある壁状の「鎧岩」や、「大玉岩」といった観光スポットを巡るトレッキングコースを歩き、7月には海辺の学習でシーカヤックなどを体験したそうです。
ベルマーク運動に白石中が参加したのは1984年。以前は島の公民館などにマークの回収箱を置いたほか、学校に直接マークを寄せてくれる人もいたそうです。集めたマークは生徒が先生と一緒に仕分け・集計をして財団に送り、2016年は各教室で使う加湿器を買いました。でも生徒が減ったため、近年はマークの収集の呼びかけはしていなかったそうです。
今年8月の夏休み中、校内を整理する機会がありました。今年度に入ってから、事務職員がマークを持参してくれたことなどもあり、校内で保管していた未整理分のマークを、天野さんと河田さん、それに先生も加えて一緒に仕分け・集計しました。その際2人はベルマークの仕組みなどについてもインターネットで調べてくれたそうです。財団に届いたマークの送り状に書かれた点数は1063.2点でした。
「島民の方々の協力がたくさんあって集めたマーク。今回が最後と思って送りました」と小橋校長。島ではみなが生徒の名前を知っており、学校での様々な活動にも「先生、困ったことがあったらいつでも行くよ」と声がかかるとのこと。島に古くから伝わる国指定重要無形民俗文化財の盆踊り「白石踊」は、総合的な学習の時間に生徒が地元の人から踊り方を学習。練習を積んで披露してきました。現在の2人も昨年開かれた県中学校文化連盟の発表会でステージを踏んでいます。小橋校長は「島民の方々は、学校やPTAだけではできないことに積極的に協力して下さるので助かっています」と感謝を述べ、「ベルマーク預金は統合前に有効に使いたいです」と話しました。
白石中は2017年度、財団が実施しているへき地学校支援の対象校に選ばれ、簡易教材提示装置や電子ピアノなどを買いました。「学校予算では購入できない物品を支援でいただき、ありがたく思っています」と小橋校長は話しました。