児童がマークを集めて仕分け、台風の被災校に寄贈/東京・多摩市立南鶴牧小


(2020/03/05)印刷する

 昨秋の台風15号で被災した千葉県の学校に役立ててもらいたいと、東京都多摩市立南鶴牧小学校(關口寿也校長、児童526人)が、1万3000点余のベルマークを集め、館山市立船形小学校(阿部庸一校長、126人)に寄贈しました。活動の中心になったのは児童たちでした。

 きっかけは昨秋、児童の代表委員会が設置している意見箱に入っていた「台風の被害に遭った千葉の人に向けて募金活動をしたい」という投書でした。

 4年生から6年生までの18人による代表委員会で話し合った際、「募金は保護者からお金をもらう形になり、子どもたちが集める活動にはならない」と考えた担当の鶴田昭彦先生が、ベルマークによる支援を提案しました。鶴田先生は以前から「ベルマークは子どもたちの力でも集められる」と考えていたそうです。

 こうして委員を中心に、まずはマークを集める活動が始まりました。普段はPTAが担当しているベルマーク活動を子どもたちで展開するのは初めてでした。

 委員たちは全校集会の後でマーク収集への協力を全児童に呼びかけ、朝の会や給食の時間に各クラスを回って収集方法を説明しました。その際、委員たちがインターネットで調べた被災地の様子を、タブレットを使ってスライドショーで説明したそうです。お昼の放送でも協力を呼びかけ、先生と委員が作ったお便りを配布して保護者にも協力を求めました。回収日は11月中旬の3日間に設定。委員たちが朝から箱を持って教室を回り、マークを集めました。

 寄贈先の学校に迷惑をかけないよう、仕分け・集計も子どもたち自身ですることにしました。作業は2段階。まず鶴田先生が受け持つ5年生のクラスの32人が会社番号で10番ごとに分別。それを代表委員がさらに会社別・点数別に仕分けます。毎日、休み時間や給食前の時間を使って少しずつ作業し、2カ月以上かけて進めました。委員たちを手伝う子どももいたそうです。仕分け用に用意した100個ほどの紙コップでは足りず、箱も使って作業しました。送り状や整理袋は財団から取り寄せ、点数は鶴田先生がとりまとめました。

 鶴田先生は「普段気づかず捨てているマークを集め、自分たちの力で被災地のために活動した、という実感を持たせたかった」と話します。子どもたちは活動の中で「ここにもあった!」「ここにも」とマークを見つけるなど、ベルマークに対する意識が高まったそうです。


 寄贈先は、館山市教育委員会を通じて、市内の被災校でベルマーク運動参加校でもある船形小を選びました。今年2月はじめ、財団を通して1万3311点のマークを贈りました。

 船形小は館山湾のそばにあります。コンクリート3階建て校舎のサッシのすき間から、台風の強風にあおられた雨水が入り、2・3階は教室の床が水びたしに。図書室の本も濡れてしまいました。周辺では倒木も多く、市の給食センターは屋根に穴があきました。このため市内の学校はご飯、牛乳、レトルト食品といった簡易給食が続いていました。

 マークを受け取った船形小は、阿部校長と5、6年生のベルマーク委員会の子どもたちによるお礼の手紙を南鶴牧小に送りました。船形小では児童のベルマーク委員が中心になって集めたマークの仕分けや集計をしているそうです。「集めたベルマークを送って下さってありがたいです。本校で集めた分と合わせ、子どもたちのために使っていきたいです」と阿部校長。デジタルカメラや図書を購入する予定だそうです。

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