ミャンマーの子どもたちへ本を/茨城・神栖市立神栖第四中学校が「絵本を届ける運動」に初参加


(2019/09/02)印刷する

 茨城県神栖市の神栖第四中学校(生徒419人)が、ベルマーク財団の「教育応援隊」のひとつ、「絵本を届ける運動」に初参加しました。紛争や貧困といった状況にあるアジアの子どもたちへ届ける絵本に、現地語の翻訳シールを貼るボランティア活動です。

 同校は昨年4月にベルマーク運動を始めた新しい参加校。福祉・奉仕委員会の生徒たちが、収集したマークの仕分け・計算を担っています。担当の石津京子先生は、以前勤務していた小学校でベルマークに関わっていたことから、参加の道を開きました。今年度初めに財団から贈った資料の中の「教育応援隊」のチラシを見て、生徒たちで絵本づくりのお手伝いをしたいと応募したそうです。

真剣に作業する生徒たち

 8月20日、同校は3日間の「サマースクール」の初日。先生が学期中にはない特別授業を用意し、生徒たちは希望のものを選択します。3千度の鉄を作る化学実験、好きな絵を貼る「デコパージュ石けん作り」、個別対応での復習……この中のひとつとして「絵本を届ける運動」も組み込まれました。受講したのは1、2年の23人。2、3時間目のふたコマを使い、石津先生とともに作業しました。

高校見学で不在の3年に代わり、石津先生も作業の一員に

 同校に送られてきた箱には、「ええところ」「へいわってどんなこと?」など5種類5冊ずつ、計25冊の絵本と、ミャンマーの公用語であるビルマ語のシールが入っていました。この日作業する絵本は、ミャンマーの子どもたちのために送られることになります。

 さあ、作業がはじまりました。シールの文字部分を切り取って、該当する日本語の部分に貼るのです。ポイントは、シールの文字を囲んでいる枠線の1ミリ程度内側を切り、枠線が残らないようにすること。そして、文字の上下や貼る位置に注意しながら、元の日本語が見えないようにシールを貼ることです。

ハサミの手付きは慎重に
位置を合わせてシールをはがします


 教室内の生徒たちは真剣な眼差しで「切って、貼る」作業に集中していました。絵本によっては、小さくて形が複雑なシールもあります。「時間はかかっていいから、丁寧にね」と石津先生。

小さなシールも丁寧に貼ります
貼る箇所が多いページも


 開始から30分過ぎ、静寂を破るように、すべてのシールを貼った1人の生徒から「終わった!」と声があがりました。すかさず別の生徒から「早(はや)っ!」と返しが。ここでしばし作業の手を止め、石津先生が、絵本の巻末に貼る署名シールの説明に入りました。作業した人の名前を、ビルマ語とひらがなの対照表を見ながら、その両方で書き込むのです。慎重に書きます。曲線がつながったようなビルマ語の文字に、生徒たちは「書くのが難しい」「もっと字の間隔を空けないと」などと話しながら、一文字一文字に気持ちを込めるように自分の名前を書いていました。

ビルマ語の文字はなんだか不思議?
仕上げに署名を書き込みます

すてきな絵本が完成しました

 1年生に感想を聞くと、浦田龍生くんは「楽しかった」、広島春花さんは「ビルマ語は見たことがない字だった」、塚本陽代莉さんは「本を読む人が増えるといいな」と話しました。一方、2年生の石山夢華さんは「けっこう疲れたけれど、細かい作業は好き。ミャンマーで楽に読んでもらえたら」と、絵本を無事完成させることができてほっとした表情です。福祉・奉仕委員として参加した2年の平島雄悟くんは「ベルマークの収集は、クラスのみんなに呼びかけています。ビルマ語の文字は不思議。たくさんの人に絵本が読まれてほしいです」とまっすぐな目で答えました。

つくった絵本を手に、笑顔で記念撮影

 石津先生は「どんな本を作るか、担当する絵本を各々が読んでからの作業でした。作った本がミャンマーの子どもたちに読まれるということで、生徒たちは一生懸命頑張ったのでは」と振り返りました。

 作業の様子を見に教室を訪れた大槻豊校長は「みんなのために役立つ活動が、次へのステップにつながります」と話してくれました。また神取克英教頭は「世界に目を広げるきっかけとして、いい機会をもらえました」と、生徒たちのこれからに期待を寄せました。

 「絵本を届ける運動」は、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が実施しています。今年4月までに届けた絵本は31万2236冊になります。この運動は有料で個人でも参加することができます。詳細はシャンティのホームページ http://sva.or.jp/lp/ehon/ で。

 太平洋に面する神栖市は、2011年の東日本大震災に際して津波や液状化の被害を受け、断水からの復旧にも約1ヶ月かかりました。大槻校長の話によれば、この学校でも地盤沈下で体育館が浮き上がり、グラウンドが液状化するなどの影響があったそうです。

 同校では、生徒たちを伸ばすきっかけにしようと、復興支援プロジェクトを立ち上げ、地域の幼稚園や小学校、高校とともに年1回イベントを開催しています。生徒たちの出店や同校PTAによるバザーの売上、会場で集めた募金は、これまで石巻市立大川小学校(宮城県)への支援や熊本城の復興、茨城県内の防災林復旧などにあてられました。昨年度からはイベント名を「神四『絆』プロジェクト」として支援先の輪を広げるなど、生徒たちによる貢献活動が息づいている学校です。

震災の被害を受けた県内防災林復旧のため、募金や植樹を行った
イベントで売る商品として生徒が作ったアクリルたわし


ベルマーク商品

「三ツ矢サイダー」PET 1.5L

ベルマーク検収

今週の作業日:11/11~11/15
9/12までの受付分を作業中