見学してきました ~リネットジャパンのパソコンリサイクル~
(2026/09/07)印刷する
協賛会社のリネットジャパンリサイクル(ベルマーク番号11)のベルマーク運動は、家庭で眠る不用パソコンを同社に送ると、1台につきベルマーク50点になる仕組みです。教育支援とリサイクルを組み合わせた取り組みで、同社は2024年度から協賛会社に加わりました。
パソコンを学校に持っていく必要はありません。同社のサイトで申し込むと、段ボールに詰めたパソコンを自宅から宅配便で無料回収してくれます。パソコンは古くても、動かなくても、ハードディスクがなくても大丈夫。回収後、同社から参加団体に対し、はがきで点数証明書が届きます。この証明書を財団に送付すると、ベルマーク預金になります。現在、360以上の団体が参加しています。
名古屋市名東区にある同社の「スマイルファクトリー名古屋(以下、SF名古屋)」を訪れ、回収されたパソコンがどうリサイクルされるのか、見学してきました。データ消去を始め、解体は細心の注意を払って進められ、現場では障がいのある社員も活躍しています。
*リネットジャパンのベルマーク運動の仕組みについては、こちらもご覧ください。
https://www.smile-eco-program.jp/bellmark/
【見学した内容を動画にまとめました】
金属探知機を通って作業フロアへ
SF名古屋は2019年に稼働を開始しました。佐川急便の集荷施設の4~5階を借りています。集荷施設と同じ場所にあるので、宅配便で回収されたパソコンを作業フロアにすぐ運び込むことができます。1日2回、昼と夜、各地から荷物が届くそうです。
古いパソコンを処分しようとして、多くの人が心配するのは、情報漏洩(ろうえい)です。作業フロアへの出入りの際は、回収されたもの以外のパソコンや小型家電を持ち込んだり、持ち出したりしないよう、厳重にチェックされます。
セキュリティーゲートがあり、空港と同じように金属探知機を通らなくてはいけません。来訪者だけでなく、従業員も同じです。「工場内では作業着の着用が必須で、作業着にはポケットがないんですよ」。案内してくれたSF名古屋のグループリーダー、中根康裕さんが教えてくれました。
5階のフロアは、約800平方メートル。通路を挟んで、各工程が並び、途中で折り返して入り口に戻るよう、レイアウトが工夫されています。
まず段ボール箱からパソコンを取り出し、送り主の伝票を確認して、1台ずつ登録していきます。パソコンに加え、キーボード、マウス、ケーブル類や古い携帯電話、スマホ、小型家電を同封して送っても大丈夫です。
解体作業では「フレンド社員」が活躍
一部リユース可能なパソコンを除き、そのほとんどは手作業で解体されます。
この作業では、知的障がいのある「フレンド社員」が活躍しています。工場の従業員は約100人で、そのうち25人がフレンド社員です。
働いて6年目のフレンド社員の作業を見せてもらいました。
古いパソコンは内部にほこりが積もっていることがあり、作業台の上から伸びた集塵機で、ほこりを常に吸引しています。金属のパーツでけがをしないよう、マスク、手袋、ゴーグルで保護。電動工具を使い、カバーを外し、中から手際よく基板などのパーツを取り出していきます。仕事は「達成感があって楽しい」と話してくれました。
フレンド社員は定着率が高く、ほぼ辞める人がいないそうです。採用にあたっては、適性に合わせ、その人にどんな仕事ができるのか、を考えます。作業量も、1日単位ではなく、1週間や1カ月などのトータルで計る柔軟性を持たせ、なるべく負荷を少なくして仕事に取り組んでもらっているそうです。目指すのは、障がいのある人も、健常者も働きやすい「笑顔あふれる職場」です。
解体後、パーツは基板、樹脂、ディスクドライブ、バッテリー、デスクアルミ……など細かく分類されます。
最適な方法を選びデータを完全消去
中根さんによると、初期化して送られてくるパソコンも含め、完全にデータを消去するため、①データ消去ソフトを使った削除②磁気消去③物理破壊の三つの方法から、パソコンの状態に応じて最適な方法を選んで実行しているそうです。
データ消去ソフトは海外の政府機関でも使われている信頼度の高いもので、リユースできるパソコンはこの方法でデータ消去します。
解体されたパソコンから取り出された記憶装置は、磁気消去か物理破壊されます。HDDの場合なら強力な磁気を当てて情報を破壊し、磁気消去できないSSDは細かく破砕します。古いものから新しいものまで様々な機種が持ち込まれるため、対象によって消去方法も変えています。
これで分解、破砕、選別は終了。処理されたパーツは中間処理会社に出荷されます。
同社で回収するパソコン、小型家電の量は年々増えているそうです。そこから、鉄、アルミ、銅、貴金属(金や銀)、レアメタルといった有用な金属が取り出され、リサイクルされることになります。
日本で1年間に使用済みとなる小型家電は65万トン。そのうち、有用な金属は28万トンもあります。都市にある鉱山という意味で、「都市鉱山」と呼ばれます。
中根さんは「世の中の金属資源は有限です。パソコン、携帯電話といったものに入っている貴金属の埋蔵量はかなりの量があります。これを再資源化し、有効活用するためリサイクルに取り組んでいます。国内で資源を循環させ、世界一の資源大国にしたい。回収するパソコンを増やし、知的障がいのある人の雇用の拡大も目指しています」と話してくれました。
リネットジャパンのベルマーク運動は、教育支援とリサイクルだけでなく、障がい者雇用にもつながっていました。


