キユーピーみらいたまご財団がオンラインサミットを開催


(2022/07/04)印刷する

 食に関わる社会課題の解決を目指し、寄付を中心とした支援を展開している公益財団法人キユーピーみらいたまご財団が、6月11日に「第10回 地域の居場所づくりサミット」をオンラインで開催しました。この財団は、協賛会社のキユーピー(ベルマーク番号07)が食育や子どもの貧困対策などに取り組む団体を助成するため2017年4月に設立しました。昨年度の助成実績は107団体、3763万円です。

 サミットは午前と午後の2回開かれ、どちらかに事前申し込みする方式で、計200人ほどが参加したそうです。取材したのは午後の回で、助成事業内容の説明や助成を受けた団体による活動報告が第1部、「地域の居場所づくり講座」と題してコロナ禍における子ども食堂の運営について学ぶのが第2部、というプログラムでした。

 同財団は2つの助成プログラムを用意しています。プログラムAは食育活動、プログラムBは子ども食堂などの食を通じた居場所づくりがテーマで、それぞれ実践している団体に助成金を支給しています。

 第1部は、昨年度にプログラムAの助成を受けた「特定非営利活動法人ウイズアイ」の報告から始まりました。1995年に産後の母子をケアするボランティア活動を始め、現在は東京都清瀬市から子育て事業の受託もしている、歴史ある団体です。展開している事業の概要や結果を動画にまとめて説明しました。助成対象となった「個別型産後デイケア」事業は、1年間で54人、延べ70件の利用があったそうです。

特定非営利活動法人ウイズアイによる活動報告

 続いて、キユーピーみらいたまご財団の古田秘馬理事による講演です。古田さんは初めに、「共助のデザイン」というキーワードを提示しました。ここで言う「共助」とは、民間や行政が単独では解決できない課題を、新しい領域の組織が解決していくことを指しているそうです。ネットが発達した現状は「個人が世界とつながりやすくなり、共助のデザインもしやすくなっている」としながら、自身がプロデュースしてきた地域活性化プロジェクトについて解説しました。そして「暮らしに必要なインフラを提供することが地域のブランドになる時代。食を提供することはその核といえます」と食育の意義を強調しました。

キユーピーみらいたまご財団・古田秘馬理事の講演

 第2部は課題提起から始まり、その解決のために事例紹介や講演からヒントを探っていく形式で進められました。一般社団法人全国食支援活動協力会の平野覚治専務理事が「子ども食堂・居場所の再開に向けて」と題し、コロナ禍で活動する団体をどう支えていけばいいのか、という課題を投げかけました。

 それに対応する事例として、「くすのき子ども食堂」の田所桂子代表と、黒田宏子副代表が発表に立ちました。今年度の助成プログラムBに採択された、大阪府堺市にあるこども食堂です。もともとは予約なしで立ち寄れる場所でしたが、2020年5月以降はお弁当の宅配を取り入れたり、三密を避ける環境を整えたりと工夫して事業を継続してきました。現在は食堂を再開しながら、宅配やテイクアウトも並行して実施し、利用者数を着実に増やしています。事業継続のポイントは「変更・再開・中止などの決断を早く行うこと」。田所代表は、自分たちの強みを「変化を楽しみながら活動できること」だと話しました。

くすのき子ども食堂・田所桂子代表による発表

 「こども食堂」の名付け親として知られている一般社団法人ともしびatだんだんの近藤博子代表理事による講演もありました。近藤さんは東京都大田区で「気まぐれ八百屋だんだん」を運営しながら様々な教室などを展開、そのひとつに2012年から始めたこども食堂があります。

 コロナ禍での活動について「今までは食べることが中心。でも今は、より小さな活動、目の前の人を大事にすることが重要」と近藤さんは話します。これまでの活動でつながってきた子どもたちが対象の「お金の勉強会」、正社員を目指す一人親家庭のお母さんのための「パソコン教室」といった取り組みを紹介しつつ、近藤さんは「活動には学校や病院、自治会、保育園などとのつながりが欠かせない」とし、「それぞれが出来ることを、子どもたちのために持ち寄る。すると、地域の大きな力になります。人と人をつなげる接着剤が『食』だと思います」とまとめました。

一般社団法人ともしびatだんだん・近藤博子代表理事の講演

・キユーピーみらいたまご財団ホームページ

https://www.kmtzaidan.or.jp/index.html

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