協賛会社インタビュー① スミフル


(2014/04/14)印刷する

株式会社スミフル マーケティング部部長 佐藤豊さん

バナナにマークつけ、差別化図る


 自社の商品にベルマークをつけ、ベルマーク運動の協賛会社であること。それは、教育支援という社会貢献活動(CSR)によって企業イメージを高めるとともに、販売促進やPR面でどんなメリットがあるのでしょうか?
 協賛会社でベルマーク運動を担当されている方々に、運動参加へのいきさつや、効果、企業活動における運動の活用法などについて、シリーズで伺っていきます。

 初回は、「バナナの王様 甘熟王」でおなじみの、株式会社スミフル(旧社名:住商フルーツ)です。2007年4月、果実業界としては初めて、自社商品にベルマークをつけた協賛会社です。佐藤豊・マーケティング部長にお聞きしました。(聞き手 ベルマーク財団・海野哲生 撮影 朝日教之)

キャラクターの「バナージュ王子」を持つ佐藤部長


――まず、マーケティング部の業務内容をお聞かせください。

 主な業務は、ブランド開発、販売促進活動、広告宣伝活動、PR活動になります。たとえば、ポスターや店頭POPなどの制作、ホームページやSNSの運営、テレビCMの企画立案・制作や、各種メディアを通じたPRなど。特に、年間で数千件におよぶ試食販売の手配や管理、店頭に陳列された商品の品質調査などについては「より品質がよく、より美味しいバナナ」をお届けするために専門スタッフと連携を図り、強化しています。

――「バナナにベルマークをつける」というアイデアは、どこから出てきたのでしょうか?

 まず私の娘が、小学生だった頃に通っていた学校でベルマーク運動に参加していたので、我が家でもベルマークを集めていました。授業参観でも教室内を見渡すとどのクラスにもベルマーク収集箱があることから、私が改めてベルマーク運動について興味を持ち、参加されている企業や学校数を調べました。
 日本で最も消費されている果実である「バナナ」は、季節を問わず1年中、安定供給できる商品でもあり、子どもから大人まで大好きな商品。マーケティング戦略のひとつのアイデアとして、「バナナ」にベルマークをつけることで、商品の差別化ができないか、と思ったのがきっかけです。
 そこで、2006年春にベルマーク財団に問い合わせました。当時は生鮮果実にベルマークをつけている会社がない状況です。そもそも、バナナにマークをつけられるのか、費用はどのくらいかかるのかなどを確認しました。ただその時点では、まだ私個人のアイデアとして準備していました。

――そこからベルマーク運動協賛に至るまで、どんな経緯があったのでしょうか?

 そして2006年秋の社内会議で、営業部員から「バナナにベルマークをつけられないか」という、同じアイデアが出てきました。その年の春に私がすでにベルマーク財団に問い合わせて協賛会社としての参加要件を確認していましたので、その会議の席で、バナナにベルマークをつけられることやコスト面の情報を提示したところ、「では、前向きに検討してみよう」となったわけです。

「ひとつ上の甘さ」の“熟撰バナージュ”

若い層への拡大目指す


――その社内会議から、協賛会社として正式に参加する2007年4月まで、かなり短い期間ですが、社内で理解を得たり説得したりと、なにか苦心されたことはないですか?

 私がすでにアイデアと情報を持っていたところへ、営業部員からも同じアイデアの声が上がるというタイミングが重なったこともあって、ほとんど苦労はありませんでした。決め手は、社会貢献に繋がる全国的な取り組みをまだバナナ業界ではやっていなかったということと、若年層の果実摂取量拡大へのキッカケになると考えたからです。
 ベルマーク運動の最も良いところは、それが、子どものためであること。子どもにバナナを食べてもらうことで「バランスの取れた食生活へのサポート」にもつながる。地域や社会貢献の活動にもなる。協賛参加に向けて、トントン拍子で事が進みました。


――協賛会社になることで、佐藤部長が見込んだもの、期待したことは何ですか?

 まず、商品の差別化です。弊社の商品の中でも、ベルマークをつけているのは「バナージュ」というバナナです。弊社の主なバナナ商品は価格で大きく分類すると、100円、200円、300円前後の三つのラインアップがありますが、「バナージュ」は160~200円で中間の商品にあたります。
 バナナに限った話ではなく、ラインアップが三つある場合、中間のものに注目を集めて実際に手に取ってもらうことは容易ではありません。ただ、「バナージュ」は高原で栽培した「ひとつ上の甘さ」のバナナで、一般的なバナナに比べると糖度が高く、美味しい商品です。
 「美味しさ」による差別化と、「ベルマーク」による差別化で、この商品をスーパーなどの売り場に並べてもらい、お子さんのいるお母さん方を中心に選んでいただけるバナナに育てたいと考えました。

ひとつ上の甘さPR


――ベルマーク運動に協賛し、ベルマーク点数をつけるには、費用がかかります。脱退時に返却する保証金を除いても、初年度には、相当の費用(*1)が必要です。また、御社のベルマーク点数を学校が集めてくだされば、それに応じて市場調査費(*2)がかかります。費用にみあった、効果はありますか。

 「バナージュ」の場合、弊社の「甘熟王」のようにCMを積極的に打つことはむずかしく、かといって、キャンペーンを企画して商品を定着、定番化させることも容易ではありません。一過性のものになってしまう恐れもあります。
 そこにベルマークをつけることによって、子どもとそのファミリー層へ継続的にPRできるものとして、効果があると考えています。「せっかくバナナを買うのなら、ベルマークつきのバナナにしようか。『ひとつ上の甘さ』とも書いてあって美味しそうだし、値頃感もあるし……」というふうな購入のきっかけになれば、ということもあります。

ベルマーク説明会で、来場者にサンプルのバナナを配布するスミフルの社員=東京・新宿

――その期待はある程度、達成できていると……。

 他社の商品を含めて、ベルマークのついているバナナは「バナージュ」だけです。スーパーなどにそれをアピールすると、「テスト的に売り場に並べてみて、反応が良ければ定番化しましょう」という流れにつながります。
 「バナージュ」は、ベルマークつきであることがひとつの売りですから、より目にとまりやすいよう、パッケージ記載のベルマークのサイズを大きくしたり、色をもっと工夫したりすることも検討中です。

 スミフルのホームページによると、バナナの輸入量は年々増えています。売り上げも当然伸びているとみられ、それは、ベルマーク運動参加学校・団体からベルマーク財団に送られてくるマークの集票点数からもわかります。2007年の協賛会社加入以来これまで、全国約17000校・団体がスミフルのベルマークを送ってきました。
 協賛2年目の2008年度の集票点数は初年度比で3.5倍以上となり、2013年度は初年度に比べて約8倍になりました。(編集部)

集票点数のデータ活かし、地図作成


――集票点数については、毎月、どこの学校がベルマークを何点送ってきたのか、都道府県ごと、学校区分ごとで、ベルマーク点数が何点送られてきたのかというデータを提供させていただいております。実際のところ、そのデータは、どの程度役立っているのでしょうか。

 集票点数のデータは、大いに役に立っています。おもに営業担当者がスーパーなど小売店にさまざまな提案をする際に活用しています。

――具体的にどのように活用されていますか? 差し障りのない範囲でお願いします。

 「バナージュ」の取り扱いのないスーパーに商品を提案するときの資料など、そのデータをもとに作成しています。たとえば、「店舗の位置」と「近隣の学校の位置」がひと目でわかる1枚の提案Mapです。「近隣の学校」とは、集票点数データから抽出した「スミフルのベルマークをベルマーク財団に送ったことのある学校」です。つまり、スミフルのバナナを購入する、子どものいる家庭が近隣にあるということです。スミフルのバナナを買おうとする家庭がスーパーに足を運ぶ可能性が高いわけです。
 スーパーのご担当者でも、学齢期の子がいない場合には、「ベルマークつきのバナナ」というだけではアピール性は強くないかもしれませんが、この資料を提示することで、スミフルのバナナが購入される可能性、スーパーのメイン客層であるファミリー層が来店する可能性を提案することができるのです。

学校行事にバナナ届ける


――ベルマーク集票点数のデータを、商品提案の切り口とその根拠として活用できるわけですね。ベルマークをPRに利用するという点で、スミフルはほかにも、「バナージュ王子からバナナをもらおう」という、ベルマーク参加校のみを対象としたキャンペーンも行っています。

 運動会などの学校行事にバナナをお届けするものです。私立の幼稚園などへのサンプリングとは違って、通常、企業が公立の学校や団体にコンタクトを直接とるのはむずかしいことです。
 しかし、ベルマーク協賛会社であることによって、妙な警戒心を持たれずにPTAのお母さん方を通じて、学校にキャンペーンなどを直接提案できることも、大きなメリットの一つだと考えています。このキャンペーンも、毎回好評で、開催した学校の子どもたちからお礼のお手紙で「今まで食べたバナナの中で一番おいしい!」など、うれしいコメントをいただくこともあるんですよ。

――毎年5、6月にベルマーク財団が全国で開くベルマーク運動説明会にも、スミフルは参加してくださり、数千本のバナナを来場される方にサンプルとして配布されています。これも、学校関係者へのPRの場として利用されているということでしょうか?

 説明会に参加される方のほとんどは児童・生徒の保護者であり、実際にお買いものをされる方々です。配布する「バナージュ」をPRすることももちろんですが、「スミフル」という企業ブランドも覚えていただきたいとの思いがあります。

――協賛会社としてベルマーク運動に求めるものや、ご意見をお聞かせください。

 学校などベルマーク運動に参加している団体と深く関わるだけではなく、社会や地域への接点をもっともっと増やしてほしいと思います。
 子どもが学校に通っている間はベルマークと接触する機会はありますが、卒業すると、機会が極端に少なくなります。あるいは接点がなくなります。
 そこでたとえば、プロスポーツの試合会場や、人の多く集まるイベントで、ベルマークを集めることを事前に告知して回収すれば、それは大震災の被災校やへき地学校への寄付に活用でき、そこから、社会貢献活動の意識も持つようになります。そうすれば、ベルマーク運動を再び認識してもらうこともできるのではないでしょうか。これまでベルマークに接していなかった人たちに働きかけていくことで、運動がさらに広がると考えます。

――スミフルは、バナナで国内トップクラスのシェアを誇っています。ベルマーク運動を協賛していることが企業活動のさらなる発展にもつながることを期待しています。

 これからも品質が良く、美味しいバナナを安定してお届けすること、バナナを通じて子どもたちのバランスの取れた食生活をサポートすること、消費者の皆さまに選んでいただけるバナナのブランドを目指して参ります。

――ベルマーク運動への関心をさらに広く社会に持ってもらえば、協賛会社であることの価値をさらに高めることにつながります。これからもいっそう、「お役に立てるベルマーク運動」を目指してまいります。


(*1) 毎年度かかる費用 
分担金:225万円(PR費用)
寄付金:参加から3年間は30万円/4年目から10万円
証票整理袋製作・発送費:約30万円

(*2) 市場調査費
学校・団体が集めて財団に送ったベルマーク点数1点につき、1.25円の市場調査費がかかる。1円がベルマークを集めた学校・団体のベルマーク預金に、0.25円が財団の運営費にあてられる。


ベルマーク運動参加をお考えの企業のみなさまへ

 御社の商品等にベルマーク点数をつける「ベルマーク運動への協賛」は、随時可能です。
ベルマーク運動協賛については、下記までお問い合わせください。
Eメール:gyomu@bellmark.or.jp
TEL:03-5148-7255

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