都市ならではの災害に対応するには/東京・笹塚小で防災科学教室
(2026/01/07)印刷する
財団のソフト事業「教育応援隊」のプログラムのひとつ、「防災科学教室」が11月8日、東京都渋谷区の区立笹塚小学校(西田香校長、児童550人)で開かれました。この教室は国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)と財団が、ベルマーク運動の参加団体向けに共催しているものです。防災科研の研究者が講師を務めます。
この日は、笹塚小PTAと地域学校協働本部が共同で開催する「防災宿泊体験会」。6年生を対象に参加を呼びかけ、希望者が防災を学ぶイベントです。日帰りまたは泊まりを選び、親子で参加することもできます。児童と保護者合わせて約40人が集まりました。
今回の講師は水・土砂防災研究部門の特別研究員、横山仁さん。テーマは「都市のヒートアイランド現象とゲリラ豪雨」で、横山さんがスクリーンに資料を映しながら講話をしました。
まずは、防災科研とはどのような機関なのか、横山さんはどのような仕事をしてきたのかといった自己紹介から始まりました。茨城県つくば市にある防災科研は、地震や火山、津波などのさまざまな災害を「予測・予防、応急対応、復旧・復興」というすべての局面から研究している機関です。
横山さんは防災科研に所属する前、都の研究機関でも働いていました。現在は、ひょうや突風などによる気象災害、特に農業に対する被害を中心に研究しています。
次に横山さんが映したのは大きな渦を巻く雲の写真。約1ヵ月前に日本列島の東を通過した台風22号です。教室を開催したこの日のニュースでは、台風26号の進路が報じられており、タイムリーな話題でした。
授業はクイズを交えながら進みます。「写真にある赤い円、黄色い円、白い円はなんだろう?」「台風はどっち回り?」「ここ数年、台風がどんどんすごくなっている要因は?」と続く質問に、どの児童もしっかり手を挙げて答えました。
答えは、赤い円が暴風域、黄色い円が強風域、白い円が予報円。台風の回り方は反時計回りで、風がより強いのは右側。台風の力が増している要因は地球温暖化です。
地球温暖化によって、世界の年平均気温は100年で0.77℃上がりました。次のクイズは「日本で見ると1.4℃上がっています。その中でも大都市東京は3℃くらい上がりました。なぜ東京だけ?」です。正解はヒートアイランド現象。アスファルトの多い東京は、太陽から多くの熱を吸収します。熱中症で亡くなった人の数は、20年前は年間500人にも満たなかったのが、近年は2000人近くまで増えました。そして、ヒートアイランド現象のあたたかい空気が引き起こすのがゲリラ豪雨。どちらも、都心に住む笹塚小の児童にとって身近な気象現象です。
大雨が降る予兆となる積乱雲、近年ニュースで取り上げられることの多い竜巻やひょうの写真や映像も映し出されました。住宅地を大きな砂ぼこりがうねりながら移動する竜巻の怖さに、子どもたちの表情がこわばります。横山さんは「竜巻やひょうには前兆がある場合が多く、例えば急に冷たい風が吹いてきたりしたら要注意。頑丈な建物に避難したり、カーテンを閉めたりすることが重要です」と説明しました。
講話の最後に、渋谷区が発行している「渋谷区民防災マニュアル」を確認しました。「自分の住んでいる地域の地形や、昔どのような土地だったかにも関心を持ちましょう。日頃から天気、気温、湿度の変化に興味を持つこともいざというときに役立ちます」と横山さんは防災への心構えを伝えました。
笹塚小学校のベルマーク活動は長年、PTAの保護者が担ってきました。ベルマーク以外にも委員会があり、子どもが入学してから卒業するまでの6年間のうち、2年程度いずれかの活動に参加することが指針になっていました。「年間で拘束されることのないよう、時代に合った活動に変えよう」とPTA活動全体の改革に取り組んだのが、2024年度にPTA会長を務めた村竹あつこさんです。
渋谷区内の公立小中学校では、昨年度から「探究学習」の時間を増やす取り組みが始まりました。「ベルマークこそ、子どもが気軽に自分たちでできる探究活動になる」との考えから、村竹さんは1年間かけて、児童がベルマーク活動に取り組めるよう学校に交渉しました。
今年度から活動の中心を5、6年生の環境美化委員会に移し、保護者はサポート役として児童を見守る体制になりました。学校の協力を得て、年間のスケジュールに3回ほどのベルマーク活動を組み込んでいます。
村竹さんは改革の成果について「子どもも楽しんでいるし、保護者からも学校の様子を見ることができて楽しいという声が上がっています。どちらも嬉しくなることを目指しています」と語ってくれました。


