高知・黒潮町立拳ノ川小で宮西達也さんのオーサー・ビジット


(2021/12/23)印刷する

 「みんな、へんてこを描きましょう!」

 絵本作家・宮西達也さんの言葉に、少しけげんそうな子どもたち。こんなふうに言われて絵を描いたことなんて、きっと初めてでしょう。みんな恐る恐る、ペンを走らせます。

 「ちょっと、めちゃくちゃ変にしたけど、いいかなあ」なんて、自信なさそうな子もいます。でもそのうち、みんな調子に乗ってきました。

 「いいこと考えた!」「オバケ描いちゃお」「キャハハハ」「なんか変なクマになった」「馬の耳がこんなに多くなってしもうたわ」……。

 ある子が「カンペキや!」と自慢していると、後ろから見ていた宮西さんが指摘します。「完璧だけど、一匹やん。もっとたくさん描かなきゃ」

 高知県黒潮町の町立拳ノ川小学校(上田壮校長、児童16人)で12月3日に宮西達也さんの「オーサー・ビジット」がありました。本の著者が学校を訪れて特別な授業をする、ベルマーク財団のソフト事業「教育応援隊」のメニューのひとつで、朝日新聞との共同企画です。

 拳ノ川小へは、高知市から車で高速を使い、1時間半ほどかかります。山あいを流れる伊与木川に沿った小さな集落の、神社の隣が学校です。

 子どもたちは1~6年まで、各学年2~4人という人数。授業は2学年ずつまとまって実施しますが、給食はみんなで食べます。この日は車の事故で給食が届くのが遅れ、お腹をすかせて待っていました。午後からは、楽しみにしていた宮西さんの授業を、みんな一緒に体育館で受けるのです。

 宮西さんは12年前にも拳ノ川小を訪れたことがあります。ご本人は残念ながら「高知はあちこちに何度も来ているし……」と覚えていませんでした。でも学校側はみんな知っています。校舎2階の図書室に、なんと「宮西達也コーナー」があり、当時の写真と宮西さんの絵本がディスプレイされていたのです。本は今回購入したものも含め、なんと61冊も。周囲は手作りの絵本キャラクターできれいに飾られていました。

 この日の授業がある体育館も、絵本に出てくるティラノザウルスの絵などの飾り付けが施されていました。子どもたち全員と先生で、3時間かけて作ったそうです。

 「今日は遠くから、私たちのために来て下さってありがとうございます」。6年生の森稟花さんのあいさつで教室は始まりました。宮西さんが「こんにちは」と言うと、みんなも大声で「こんにちわーっ」と返します。

 最初は宮西さんによる読み聞かせ。スライドを映しながら著作の『はーい!』『はらぺこヘビくん』『うんこ』を読んでいきます。

 「うんこって、大きな声で言ってみよう」「うんこー」「みんな言ってない。特に後ろの大人。では大人だけで」「うんこーっ!」今度は先生方も声を張り上げます。最後はみんなのリクエストで『にゃーご』を読みました。

 続いてワークショップ。段ボールに黒とオレンジのペンで、自分の思うままにキャラクターを描きます。それを丁寧に切り抜き、額の中にうまく配置して貼りつけていくと、立体的な「作品」が出来るのです。

 「自分の好きなように描いて。大きいものや、小さいもの、どんどん描いてください」と宮西さん。犬猫や熊、馬、魚、自動車、宇宙人、オバケ……。子どもたちは色々なものを描きます。宮西さんはみんなの間を回りながら「あー、いい感じだね」「いいよ、いいよ」「どんどん描こう」と励まして回ります。描いた後の切り抜きに苦労している子も。「がんばれ。苦労しただけ作品がよくなるから」と宮西さん。

 切り抜きが終わると、みんな額を持って宮西さんの前に並びます。「かわいいね」「すてきだよ」と言いながら、宮西さんは額の中に子どもたちが切り抜いたキャラクターを配置し、接着剤で固定していきます。この日の日付と、子どもたちの名を記した宮西さん特製のプレートも一緒に貼ります。キャラクターが大きすぎて貼る場所がみつからない時、「なんで、こんな大きなうんこ描いたんだ」などと宮西さんはぼやきますが、表情はうれしそうです。こうして、とっても個性的で素敵な16の作品が誕生しました。

 最後に宮西さんはみんなに語りかけました。「絵って、少し構図を変えただけで、全然違うものになる。立体にすると、光と影も加わります。みんなも、ちょっと工夫することを覚えて、絵を描くのは楽しいなって思って下さい。今日は楽しかったですか?」

 「はーーいっ!!」。とっても大きな返事が体育館中に響きました。

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