119人で作った圧巻の絵/宮西達也さんのオーサービジット・明石市立清水小


(2019/12/24)印刷する

 絵本作家の宮西達也さんが12月13日、兵庫県明石市の市立清水小学校(児童674人)にやって来ました。本の作者が学校で特別な話をする朝日新聞の人気企画「オーサービジット」のベルマーク版で、2年生の119人が宮西さんによるワークショップに参加しました。

宮西達也さん

 宮西さんは朝9時前、北門から車で学校入りしました。すると、簗田憲男校長が「実は、2年生全員が正門でお出迎えする準備をしていて……」。そこで宮西さんはいったん校外に出て、態勢が整ったのを確認した校長先生のゴーサインで再度、正門から登場しました。大きな拍手で迎えた子どもたちは、それぞれ宮西さんの絵本のキャラクターのお面を頭にかぶったり、自作のメッセージカードを持ったり。その列の中を、宮西さんは笑顔でハイタッチしながら通り抜けました。

宮西さんがやって来た!

 会場の体育館には宮西さんの絵本やパネルが飾られていました。司会の北田綾香先生が「待ちに待ったオーサービジットの日ですね」と呼びかけ、みんなで姿勢を正し、宮西さんに「よろしくお願いします!」とあいさつしました。

 最初は宮西さん自身による自作の読み聞かせです。いろいろな動物が返事をする「はーい!」、仲良し兄妹が登場する「まねしんぼう」……。宮西さんの声色の変化に呼応して、子どもたちの大きな笑い声が響きます。3冊目の「おまえ うまそうだな」は、ティラノサウルスが主人公の人気本。表紙がスクリーンに映し出されると子どもたちも大喜び。主人公が草食恐竜の赤ちゃんと出会い、お話が進んでいくと、子どもたちも次第に真剣な眼差しになり、すっかり物語に聞き入っています。宮西さんが静かに本を読み終えると、体育館は大きな拍手に包まれました。

体育館に飾られた宮西さんの本

真剣な眼差しで物語に聞き入る

 続いて、前半と後半の二組に分かれてワークショップ。段ボールの小片に思い思いの絵を描き、あとで一つの作品にまとめます。違う絵でも何かのルールを守れば、ちゃんと1つのものができることを学んでもらう狙いです。使うのは黒とオレンジの2色。これも統一感を出すためのルールです。読書ボランティアと図書ボランティアがサポートに入ります。

 前半組のテーマは「水の中に住んでいるものとオバケ」。子どもたちは、体育館の床に新聞紙を広げ、絵に取りかかります。地元明石の名産・タコが人気のよう。でも絵柄はウインクしていたり、口から墨を吹き出していたり。他にも魚、カニ、クラゲ……。一方のオバケについて宮西さんは「自分の想像だよ」と言います。子どもたちの間を回りながら「きれいだね」「もうちょっと大きく描いてね」と声をかけたり、頭をそっと撫でたりします。

 描いた絵はハサミを使って切り抜きます。厚みのある段ボールに子どもたちは苦戦。宮西さんは「最初は大まかに切ると楽だよ」とアドバイスします。切り抜いた絵は宮西さんが大きな額縁の中に貼っていきます。絵と絵を重ねるなど、変化をもたせながら作業を進め、一つの大きな作品が出来上がりました。絵の裏に段ボールのチップを貼って厚みをもたせたので、とても立体感のある仕上がりです。

絵を描く子どもたち
声をかけられてニッコリ

描いた絵は額縁の中へ

 続いて後半組の作業。子どもたちが交代します。今度のテーマは「空にいるものとオバケ」。描かれる絵は飛行機、気球、鳥、UFO、太陽、三日月、さまざまなオバケ……。「見て!魔法使いみたいでしょ」とアピールする子もいて、みんな個性的です。できた絵は前半同様に切り抜き、宮西さんが一つの作品にまとめます。

 午後1時半過ぎ、後半組のワークショップが終了。宮西さんが額縁を立てると、「わーっ!」という歓声と拍手が起こりました。

一緒にハサミを動かす
絵とともに宮西さんのもとへ

絵が次々と貼られていく

 子どもたちに授業の感想を聞くと「楽しかった」「上手に出来た」「切るところが難しかったけど頑張れてよかった」。山岸謙晨くんは宮西さんのことを「すごい人だった」と振り返りました。

 宮西さんも、子どもたちの絵を「本当に大作。圧巻だったと思います」とたたえました。この作品から新たな物語がつくられることを期待しているそうです。簗田校長は「子どもたちは心から楽しみながら取り組んでいました。体全体で喜びや驚きを表現していたことに感激しています」と述べました。


 清水小は1981年からベルマーク運動に参加し、累計398万点を集めています。オーサービジットへの応募は読書ボランティアの代表・桝田朋子さんからの勧めでした。2年前にも応募しましたが落選。今回は2年1組が「おまえ うまそうだな」の感想や質問を色紙につづり、宮西さんの心を射止めました。みんな授業を楽しみに待っていて、「この日は絶対休んだらあかんねん!」と、手洗いうがいを頑張る子もいたそうです。桝田さんは「なかなかお会いできない絵本作家に、読み聞かせやワークショップをしていただき、とてもいい財産になると思います」と話しました。

 ちなみに宮西さんが出た小学校は静岡県清水町立清水小。授業の後に「僕も清水小学校だったんです」と明かし、「これも縁なのかな」と語っていました。

北田綾香先生(右)と一緒に恐竜のポーズ!

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