未来を切り拓く子どもの育成/全国へき地教育研究大会、新潟で開催
(2025/11/18)印刷する
山間部や離島などにある学校の教育について、先生たちが研究を深める「第74回全国へき地教育研究大会新潟大会」(全国へき地教育研究連盟など主催)が11月6、7日の両日、新潟県内の複数の会場で開かれました。へき地の学校の先生が集まり、公開授業や実践発表を通して成果を共有する場です。オンラインも使った「ハイブリッド型」で、会場以外からも多くの教職員が参加しました。
ベルマーク運動は、全国のへき地学校の先生たちが1957年に朝日新聞社の社長あてに送った陳情書がきっかけで生まれました。へき地学校への支援はベルマーク運動の原点です。大会には財団からも出席しています。
今大会のスローガンは「一人一人が朱鷺(トキ)めく ふるさと新潟の学び しなやかに未来を切り拓(ひら)く子どもの育成」です。
6日は長岡市の市立劇場で全体会がありました。文部科学省初等中等教育局主任視学官の田村学さんが「探究を中核とした教育課程の創造~学習指導要領の改訂を視野に入れて~」と題して特別講演をしました。
学習指導要領はほぼ10年ごとに改訂され、文科相が昨年、中央教育審議会に答申した内容が議論されており、2030年度に導入される見通しです。田村さんはスケジュールや指導要領の変遷などを解説しました。
興味深かったのは、「総合的な学習の時間」についての話です。1998年の指導要領改訂で創設された総合的な学習の時間は当初、先生たちから「どう教えればいいのか」と戸惑いがありました。今でも基礎知識を身につける時間にあてるべきだという批判があります。しかし、その目的は①課題の設定②情報の蒐集③整理・分析④まとめ・表現を身につけることで、どんな教科にも役に立ちます。実際のデータを踏まえ、「総合的な学習の時間は、学力向上の効果があった」と総括する田村さんの講演は説得力がありました。
午後は課題別に6つの分散会が4会場に分かれて開かれました。
北海道根室市立おちいし義務教育学校は、小・中の9年間を見据えたカリキュラムに取り組んでいます。学校統合で昨年誕生した同校では、漁協のイベントに参加したり、地域芸能の太鼓保存会の人たちを講師に招いたりして、子どもたちは地元への愛着を育んできました。市内の他校との集合学習なども積極的に実施しています。成果は上々でしたが、「大人の『教えたい』『体験させたい』を抑えられるか」という課題も見えてきたそうです。
茨城県大子町立さはら小学校は、地域住民とのお茶摘みが伝統で、13年前には子どもたちでつくる「さはらファミリー会社」という模擬会社をつくりました。ただ、長く続けるうちに、マンネリ化が見られ、子どもたちも「伝統だから」「先生に言われているから」と目的意識が曖昧になってきました。
そこで、今年度は改めて、「カリキュラムマネジメントを工夫することで、より学びのある体験活動が実現するだろう」という想定のもと、先生たち、子どもたちが話し合い、活動を見直しました。子どもたちが「大子町に合う野菜は何か」を調べ、地域のアドバイザーの指導で、野菜や米、お茶、こんにゃくなどを栽培し、オリジナルブランドとして地元の「道の駅」で販売しました。
おちいし義務教育学校、さはら小学校とも、共通するのは、子どもたちの自主性を引き出す工夫の大切さで、報告の後は、熱心な質疑応答がありました。
翌7日は、新潟県内七つの小中学校がそれぞれの公開授業を実施し、研究の成果と課題を発表しました。
その一つ、長岡市立東谷小学校(児童50人、郷美奈子校長)は、長岡市の北東、旧栃尾市に所在し、名物の「栃尾あぶらげ」が有名です。3・4年の複式学級の総合的な学習の時間の公開授業では、同校が長年続けているホタルの保護活動について、児童17人が話し合いました。ホタルを守るため、ダムをなくしたり、天敵を駆除したりすると、今度は自然災害や生態系の破壊の心配も出てくる……。簡単に答えが出ない問題ですが、たくさんの見学の先生たちが見守る中で、子どもたちは熱心に意見を出し合いました。
全校児童による図画工作の公開授業では、低学年、中学年、高学年のそれぞれが課題に沿った作品を製作し、体育館に展示しました。
「第75回全国へき地教育研究大会」は来年11月に岐阜県で開催される予定です。


