ふるさとに夢と誇りをもって/全国へき地教育研究大会、兵庫で開催


(2023/10/26)印刷する

 山間部や離島など都会から離れた地域にある学校の教育について研究する「第72回全国へき地教育研究大会」(全国へき地教育研究連盟など主催)が10月12、13日の両日、兵庫県内の会場で開かれました。オンラインも使った「ハイブリッド型」で実施され、多くの教職員らが参加しました。

 へき地学校への支援はベルマーク運動の原点です。

 12日は姫路市市民会館で全体会があり、元タカラジェンヌでいまは兵庫県宝塚市で実家のダリア農家を継いだ梓晴輝(あずさ・はるき)さんが記念講演をしました。宝塚歌劇団を退団した後、介護福祉士も経験した梓さん。いくつもの大きな転機を経て、自分の原点はふるさとだと気付いたと言います。「ふるさとは自分の栄養分であり、安心できる場所。そんな場所を大人が子どもに教えてあげることが大切」と話しました。

元タカラジェンヌの梓晴輝さん

 ステージでは、兵庫県丹波篠山市の市立西紀北小学校の児童らと県立篠山鳳鳴高校デカンショバンドのみなさんによる「丹波篠山デカンショ節」が披露されました。「デカンショ節」は、丹波篠山の自然や文化、歴史、人情が歌われています。江戸時代の民謡がもとになっていると言われ、300番を超える歌詞はいまでも増え続けているそうです。

デカンショ節に合わせて踊りも披露

 午後は課題別に6つの会議室に分かれ、計12の小中学校が、それぞれの特色を生かした取り組みを発表しました。

 青森県むつ市の市立川内小学校は、地域と連携した防災訓練などを報告しました。実際に、地震発生後の避難所開設を想定して、地域の人たちと協力しながら、体育館で段ボールベッドやパーテーションを設置。その後のワークショップでは子どもたちから、プライバシーを確保するためにはルール作りが必要といった意見が出たそうです。

 奈良県天川村の村立天川小中学校は、「ふるさと学習」と「ICT活用能力育成」を報告。生徒たちは、半年から1年かけて地域の人たちに取材、インタビューをして、観光マップや村を紹介する動画を製作しました。

会議室に分かれて各校が取り組みを発表

 13日は、県内8つの小中学校がそれぞれの公開授業の中で、研究の成果と課題を発表しました。

 その一つ、姫路市の市立家島小学校は、姫路港から定期船で約30分の家島にあります。周囲の島からは良質な岩石が採掘され、関西国際空港や神戸空港などの人工島、阪神・淡路大震災の復興工事に活用されました。

家島小学校は船が並ぶ港の目の前

 児童数38人の家島小では、3~6年生を対象に学年の枠を超えて、ふるさとの海を学びの場とする「われら海底保安庁」「家島海洋研究所」「家島っ子産業振興課」「家島!未来の地産地消守り隊」という4つのグループをつくっています。この日は、「家島うみの時間」の授業として、それぞれのグループによる発表会が公開されました。

 「われら海底保安庁」は、防潮堤の高さはどうやって決めているのか、といった身近な疑問について調べた結果を報告。「家島海洋研究所」は、島の周りの海にいる生物の中から「推し」を見つけて紹介しました。「家島っ子産業振興課」は、家島の魅力を多くの人に知ってもらい、観光客を呼び込むためのアイデアを発表。「家島!未来の地産地消守り隊」は、家島で取れる食材だけを使ったお弁当「家島てんこもり弁当」を披露しました。

グループ発表をする家島小の児童たち
海から見た家島の町並み

 3~6年生の児童が協働する独自の取り組みについて、小林生也校長は「身近にある海を調べることを通して、人と自然とのつながりを大切にし、考え方の違いを認め合い、自分の思いや考えを表現する力の育成を図るとともに、自分たちが生まれ育った、ふるさと家島に対して関心や愛着、そして誇りをもたせたい」と述べています。

 ベルマーク運動は、全国のへき地学校の先生たちが1957年に朝日新聞社の社長あてに送った陳情書がきっかけで生まれました。ベルマークを集めて学校の備品を買うと、購入額の1割がベルマーク財団を通じてへき地や被災地の学校への支援金になります。その仕組みは、60年以上たったいまも変わっていません。

 「第73回全国へき地教育研究大会」は来年10月に岡山県で開催される予定です。

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