第70回全へき連大会、宮崎でリアル開催/公開授業などはオンライン配信


(2021/11/05)印刷する

 山間部や離島など都会から離れた地域の教育の在り方を研究し、当地の教育振興をはかる「全国へき地教育研究連盟」(全へき連)主催の全国大会(宮崎大会)が10月28、29の両日、宮崎県内の10会場で開かれました。70回の節目となった記念大会は、開会式や基調報告、記念講演を宮崎市民文化ホールでの来場型で開催。一方、ブロックごとの発表会や公開授業は現地の学校などからオンライン配信で行う、初めての「ハイブリッド型大会」で実施されました。富山で開かれる予定だった前回大会が紙面発表大会となったため2年ぶりのリアル大会です。新型コロナ禍のなかでしたが、多くの教職員・児童・生徒らが参加しました。

 開会式では主催者を代表して、丸山洋司文科省審議官、宮崎県教育委員会の黒木淳一郎教育長、全へき連の柿崎秀顕会長があいさつ。黒木教育長は「今年度をICT元年に位置付けている宮崎県では、今後もへき地・小規模校・複式学級の教育実践に取り組んでいきたい」と語り、柿崎会長は「宮崎では実に53年ぶりの全国大会。コロナ禍のなか、重要な大会をハイブリッド大会で開くことができて大変うれしい」などと述べました。

久世元日本代表コーチの記念講演「夢を夢で終わらせない」

 記念講演は、「夢を夢で終わらせない」と題して、競泳五輪メダリストの松田丈志選手を育てた熊本出身の元日本代表コーチ・久世由美子さんが登壇。松田選手との二人三脚で歩んできた20余年を振り返るドキュメンタリービデオを見ながら、「選手の強化だけでなく、挨拶や返事、感謝の気持ちを大切にして指導することで、息の長い選手に育ってほしかった。夢はいきなり達成できない。一つひとつステップアップすることで、夢は必ず実現できる」などと話しました。

 基調報告は、全へき連の第9次5か年研究推進計画の3年目の推進状況を温泉敏研究部長が報告。宮崎大会を踏まえ、宮崎県のへき地・小規模校の教育状況や課題については、宮崎大会実行委員会の鎌田浩二研究部長が報告しました。

 午後からの課題別分散会では、全国12の小中学校の研究成果が発表されました。長野原町立西中学校(群馬)、伊是名村立伊是名小学校(沖縄)、備前市立東鶴山小学校(岡山)、熊本市立中緑小学校(熊本)、広川町立津木小学校(和歌山)、宗像市立大島学園(福岡)、石巻市立牡鹿中学校(宮城)、杵築市立大田小学校(大分)、南砺市立上平小学校(富山)、阿久根市立田代小学校(鹿児島)、えりも町立東洋小学校(北海道)、対馬市立乙宮小学校(長崎)。

えりも町立東洋小学校(北海道)の分散会

 えりも町立東洋小学校の発表では、児童が主体的に考えをもつために必要な時間の工夫などについて報告・討議が行われました。ここでは問い返しのむつかしさや少人数学級での学力格差、異学年交流について、チャットによる質問も受け付けながら活発に議論が行われました。

 また、対馬市立乙宮小学校の発表では、「乙宮スタイル」と呼んでいる、主体的な学びの仕掛けづくりや児童同士で学び合う間接指導の設定などが紹介され、議論が進みました。

 2日目は、宮崎県内8つの小中学校の公開授業があり、オンラインで配信されました。

 公開事業があったのは、延岡市立方財小学校、美郷町立美郷南学園(南郷小・中)、五ヶ瀬町立三ヶ所小学校、西米良村立村所小学校、西米良村立西米良中学校、小林市立須木中学校、都城市立縄瀬(なわぜ)小学校、日南市立榎原(よわら)小学校。

延岡市立方財小学校(オンライン配信画面から)
五ヶ瀬町立三ヶ所小学校(同)

西米良村立村所小学校(同)
同村立西米良中学校(同)

 五ヶ瀬町立三ヶ所小学校は職員児童合わせて約80人。オンライン配信では6年生の総合的学習などを公開授業しました。五ヶ瀬のふるさと五ヶ瀬の魅力に関心をもってもらい、自らが地域に貢献しようとする態度を養うことなどを目的にした授業です。

 算数の授業を行った延岡市立方財小学校は、学習内容に応じてのアウトプットの仕方を研究。自分のことばで説明したり、友達の意見も生かしながら自分の考えを再整理したりして説明できるかといった「アウトプット」の授業が展開されました。

 全へき連の全国大会は来年、山形県での開催を予定しています。

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