コロナ禍で「新しいスタイル」も/防災科研の令和2年度成果発表会


(2021/03/02)印刷する

 ベルマーク財団と防災科学教室を共催している国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)は2月10日、最新の研究内容を報告する「令和2年度成果発表会」を東京国際フォーラム(東京都千代田区)で開きました。メインテーマは「来るべき国難級災害に備えて」。コロナ対策で会場への入場者は約60人に絞った一方、ウェブ会議システムなどで内容を同時配信し、1100人以上の方々がプログラムに参加しました。

コロナ対策のため、入場者数を絞って開催した

 プログラムは3部構成。第1部は災害情報に関する研究が紹介されました。積乱雲が次々と発生する「線状降水帯」の事前予測の試みや、複数の機関が連携した「火山観測データ一元化共有システム」、今いる地域で地震が起きた場合に予想される被害程度などを表示するサイト「地震10秒診断」など。首都圏の気象情報を地図に重ねて見ることができる「ソラチェク」は、雨・風・雷・ひょうに加え、今年2月から雪の情報が追加されたそうです。

 防災科研はコロナ禍をうけ、従来の会場でのポスター掲示による発表に代わる「新しいスタイル」を試みました。それが研究者一人一人による成果発表動画の公開です。100人を超す研究者が各3分程度の動画を作り、昨年12月にウェブ上で公開しました。

 発表会の第2部では、そのうち一般視聴者からの評価にもとづき決定した成果発表動画ベスト10が発表されました。さらに防災科研内の二次評価を経た「優秀研究動画賞」として、マルチハザードリスク評価研究部門の先名重樹さん、同部門の内山庄一郎さん、防災情報研究部門の伊勢正さんの3人の動画が上映されました。中でも伊勢さんは災害情報の広域共有について、関西弁で情熱的かつ分かりやすく説明していたのが印象的でした。

関西弁で情熱的に分かりやすく説明する、伊勢正さんの発表動画
左から、防災科研の林理事長、ジャーナリストの池上彰さん

パネルディスカッションの様子

 第3部は「『東北地方太平洋沖地震』の教訓を南海トラフ地震へ」と題し、まず研究者4人が講演しました。南海トラフ地震は今後30年以内に高確率で起こるとされています。

 講演によると、東日本大震災のときは海域に十分な観測網がなく、地震や津波の規模が過小評価され、被害を大きくする一因にもなったそうです。現在は観測網も広がり、南海トラフの想定震源域では防災科研が中心になって整備を進めています。南海トラフで過去に発生した地震についてもさまざまな研究が進んでいるようです。

 続いて、4人の研究者に加え、特別ゲストコメンテーターとして招かれたジャーナリストの池上彰さんを進行役に、防災科研の林春男理事長、首都圏レジリエンス研究推進センター長の平田直さんも加わってのパネルディスカッション。池上さんは「国や専門家が一般の人にどう避難や警戒を呼びかけるのか、大きな課題だ」と問いかけました。林理事長は「地震は起こる、という前提で一人一人が備えていくことが大事」としつつ、国が被害の予測を一つのシナリオだけで伝えている現状については「改めないといけない」と述べました。平田さんは、発生そのものは予知できなくても「震源域の隣でまた地震が起きるかもしれない」とし、「次の地震の可能性を専門家がきちんと言えるようにしなければ」と語りました。

 今回のメインテーマ「来るべき国難級災害に備えて」は来年、再来年とシリーズ化して続けていくそうです。

 発表会の様子は以下から見ることができます。2/25現在で再生回数が2200を超えました。

 研究発表動画は以下から。
 https://www.bosai.go.jp/info/event/2020/seika/kenkyudoga/index.html

 防災科研が開発した各種システムはこちらから。
・火山観測データ一元化共有システム(https://jvdn.bosai.go.jp/portal/ja/
・地震10秒診断(https://www.jishin-hoken.jp/10sec-sim/
・ソラチェク(https://isrs.bosai.go.jp/soracheck/storymap/

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